病院見学の極意
「この世には3種類の病院見学がある。減点される病院見学と、減点されない病院見学、そして加点のある病院見学だ……!」
こんにちは、都内某ハイパー病院で働くDr.Jと申します。
今回は自分のマッチング時の経験と、逆に研修医になってからの体験を踏まえて、『病院見学の極意』についてご説明したいと思っております。
突然ですがみなさん、病院見学についてどんなイメージをお持ちですか?
『第一志望の病院は見学点無いから見学時の内容なんてほとんど関係ない!』
と言う人もいるかと思います。
確かに、「病院見学点なし」と謳ってる病院ならば、どんなに素晴らしい病院見学をしたとしても目に見える形で加点されることはないでしょう。
だからと言って、本当に病院見学では差がつかないのでしょうか…
残念ながらそんなことはありません。
確かに、目に見える形での加点はなくても、実は目に見えない形での加点をもらっている見学生は存在するのです。
例えば、以下は全て自分の体験談なのですが
・見学対応してくれた研修医が『この後飲みに行こう!マッチング対策もっと教えれるし、なんなら俺の履歴書とか小論文あげるから参考にして!』と言ってくれたり。
・見学した科の上級医に『ぜひ来年来て欲しい、時間ある時に履歴書の添削とか面接練習してあげるからライン教えて!』と言って頂けたり。
・そして最終的には、その科の部長に『初日に自分が面接官やるから初日の日程で受けて欲しい』『当日面接官する他の部長にも声をかけとくね』と猛プッシュして貰えたり。
…自分は無かったですが、内定をその場で貰えることもあるそうな。
このように見学点無しと謳っている病院なのに、見学後にあからさまなアドバンテージを貰えることを『加点のある病院見学』と自分は呼んでおります。
確かに表面上は見学点は0ですが、どう考えても加点はされているというわけです。
で、病院見学で加点が貰えると当日かなり楽です。
『自分は他の学生よりアドバンテージがある』という心の余裕が尚更、面接での自信ある振る舞いにつながり、ますます好印象になるわけです。
で、この加点してもらえるかどうかははっきり言って運も絡むと思います。
対応してくれた先生との相性、やる気、性格などなど。
ですが、ある程度努力で勝ち取ることはできると思います。
自分はもともと大学時代、ショッピングモールとかで某サブスクへの加入を勧誘する、いわゆる営業のバイトをしており、短期間で人の懐に入り込むスキルと、そこから目的のものを引き出すスキルは人よりずっと努力をしてきた自負があります。
そんなわけで今回は『加点のある病院見学』のやり方についてお話しさせて頂ければと思っております。
で、その前に。冒頭でなぜわざわざ3種類の病院見学があると(カッコつけて)言ったのかというと。
大半の病院は『減点されない病院見学』で十分だからです。
そりゃ、受かった人の履歴書貰えたり、面接官に自分が見学した科の部長がなってくれて直接加点して貰えれば確実に受かるでしょうが、そこまでしなくても筆記試験と面接を人並みより少し上手くできれば大体の病院はちゃんと受かります。
なので、今回は
1章:減点されない病院見学編
2章:加点される病院見学編
と分けてます。
1章は無料で読めるようにしてます。
まずはすべての学生さんにこのレベルを目指して欲しいからです。
そして半分くらいはこのレベルまでで十分だからです。
ですが人気病院に受かりたいという学生さんへ
具体的にはマッチング中間発表で倍率が2倍以上あるような病院を受けるような学生さんへ
あるいはそもそも絶対に受かりたい病院がある学生さんへ
やっぱり加点される病院見学をするべきです。
2章では加点される病院見学のやり方についてご説明いたします。
値段は1980円にしました。
私が医学部6年生の時に買ったマッチング対策の本が4000円で、その時の中身がほぼ1章の減点されない病院見学術で、『こんなの当たり前やろ…』と落胆した経験があります。
それに比べたらはるかに有益な情報を書いてるつもりです、そもそも病院見学のような短期間で相手に気に入られて加点してもらう能力は、初期研修医になっても使う一番大事なスキルです。(初期研修医がもっとも効率よく成長するには上級医に気に入られて手技のチャンスをもらったり、直接教えてもらうことだから。)
かなり力入れて書いたのでぜひ読んでもらえると幸いです。
ではまずは、減点されない病院見学から!
【申し込み編】
①メールの相手が事務員さんだからといって侮る事勿れ
見学する科の部長とコネがある場合を除き、ほとんどの場合は病院のHPに記載されているメールアドレスから病院見学を申し込むと思います。
そして病院見学当日まで、そのメールアドレスとやりとりをする事となるのですが、大体その病院の事務員さんが対応してくれています。
で、ここでよくあるのが
『事務員さんでしょ?マッチングには関係ないから!』
と言ってメールの対応を軽んじてしまう人がいるのですが、絶対にやめましょう!!
そもそもメールのやりとりをする事務員さんがマッチングに無関係である保証は一切ないです、なんなら自分が受けた病院の1つは事務長が面接官の1人だった、なんてこともありました。
また、例え面接に絡んでいなくても、医者(特に面接を担当する部長クラス)と事務員さんが仲良いというのはあるあるです。見学の後、部長が事務員さんと雑談していて『あの学生さんは社会人のマナー全然なってないです!』なんて事務員さんに言われたら一発レッドカードになりかねません。
以上の理由から、事務員さんだと思って失礼な態度をしないように心がけて下さい。(そもそも社会人として事務員さんの方が数十年先輩です、しっかりと丁寧に対応をしましょう。)
②社会人としてのマナーを守る事
じゃあ具体的にどう接したら良いのかというと簡単です。
社会人としてのマナーをきちんと守れば良いのです。
・返信は必ず当日に!
面倒だとは思いますが、社会人としてメールのレスポンスは早くしましょう。
最低限、メールが送られてきた当日には返信しておく必要があります。
マナーとしての意味もありますが、それ以上にレスポンスが遅いと仕事できないやつ認定されてしまうからです。(仕事できる人にLINEの返信遅い人はいない)
申し込みをした後は、『朝・昼・夕・寝る前の4回』メールチェックをするようにして下さい。
・メールアドレスの確認!
ふざけたメールアドレスにしてないか確認しときましょう。
うっかり『aiueo0123@gmail〜〜』とかふざけたメールアドレスになってないですか?
『本名+数字@gmai〜〜』などのオフィシャルなメールアドレスを就活用に用意しましょう。
・メールの署名忘れに注意!
メールの最後に署名をするのを忘れない様に気をつけましょう。
※Gmailなら最後の署名を自動で記入してくれる『署名の設定』というものがあります。登録しておくことで記入漏れを無くすことができますのでぜひぜひ登録しておいて下さい。やり方は『Gmail 署名 設定』で検索してみて下さい。
・正しい言葉づかいに気を付ける
間違った敬語表現に気をつけましょう、例えば
『御院』『了解しました』『お伺いします』『(初メールで)いつもお世話になっております』…などなど
ちょっとでも表現に自信がなかったらググって下さい、30秒もあれば正しい表現かどうかわかるので。
③提出物を期限ギリギリに出すこと勿れ
さて、申し込みメールをした後は『××という書類を〇月○日までに提出して下さい』と言われることがほとんどです。
当然ですが、そう言った書類は必ず期限の3日前には到着するようにしましょう、間違っても締め切り前日に速達で送らないように!
提出書類は推敲してから出したい!という気持ちは分かりますが、早ければ早いほど向こうは余裕を持って対応できますし、ギリギリに出すと宛名ミスや何かの手違いで配送されなかった時に詰みます。
あと、書類を封筒で出すときは、その書類を新品のクリアファイルに入れてから封筒にいれるようにして下さい。
④提出する書類は写真に撮って保存して置く事
見学動機が書いてある書類などを提出するときは、必ず写真に撮っておきましょう。実際に見学した時に、書類と違うことを言うと説得力がなくなってしまう恐れがあるためです。
自分が何を書いたか見返せるよう、写真を撮っておいて下さい。
⑤常識知らずな時期に見学を申し込まない事
以下に非常識な見学日を載せときます。
・申込んですぐ(見学日の3週間以上前には申し込みをしておきましょう)
・年末年始
・3月末から4月頭(人事異動でドタバタしているため、GW以降が良い)
・HPに記載してあるダメな日(HP見たら分かるだろ!って呆れられます)
以上が申し込み編です。
え、長いって??
それは申し訳無いです、ですがここまでやってようやく減点のない病院見学となります。
裏を返すとここまでで加点要素はゼロ。社会人としてできて当たり前扱い。
果たして皆さん、今まで本当に減点の無い病院見学ができていたと自信を持って言えますでしょうか…?
【身嗜み編】
さて、次からは身嗜みについての話なのですが…
結論から言います、医大生のほとんどが身嗜みを気にしてなさすぎです!特に男子!
「うるせー、たかが身嗜みだろ!大事なのは仕事できるかどうかだ!」
という意見があるかと思います、その通りだと思います。
ですが残念なことに、病院見学というたった1日の短い期間ではあなたの中身を完全に伝えきることはできないですし、むしろ短期間であればあるほど外面が与える情報の方が重要視されます。
要するに、短期決戦の病院見学ではパッと見の第一印象が超大事となってきます。
そもそも、見学生の対応をする病院側も毎日たくさんの見学生が来てくるため、だんだん初対面の印象である程度ふるいをかけてくるようになります。
この人は第一印象が良くて受かって欲しいからしっかり説明しよう、この人は印象悪いから適当でいっか、と言うふうに…
そんなの不公平だ!という気持ちもわかるのですが、残念ながら採用するのは人間です。私情入りまくりです。
そもそも医学界なんて大昔からコネがナンボの世界です、実力で正当な評価をされることの方が少ないのではないでしょうか。
ではここからは皆さんに身嗜みの大切さを実感してもらいたいと思います。
下の2人が病院見学に来たとします。あなたはどっちが仕事できそうだと思いますか?
左の人はピシッとスーツを着こなせているのに対して、右の人は袖が長けりゃ裾も長いですね。全体的にダボついていて冴えない感じが拭えません。
これだけでも右の人が普段スーツを着ていないことがばれますし、なんならちょっと『仕事できなさそう…』って思えてきませんか?
そうなんです、身嗜みが悪いと無意識に仕事ができなさそうと思われてしまうのです。
このように見た目につられて中身まで低評価されてしまいかねないのです、これを心理学用語でハロー効果と言います。
たかが身嗜み、されど身嗜み。
身嗜みで加点を取るのはかなり難しいですが、減点を取られないのは簡単です。というか社会に出てからも絶対に必要なスキルなので、ぜひこれを気に覚えましょう!!
【女性Ver】
【男性Ver】
ものすごく分かりやすい画像があったのでこれを参考にして下さい。基本的にこれを全部守ればOKです。
以下は医大生のよくあるミスをピックアップしてます。
・リュックで行かない!
(採用試験当日にもリュックで来るやつ数人います、論外です。)
・どれだけ熱い日でもネクタイ&ジャケットは身に着ける!
・ジャケットは一番下のボタンだけ開けておく
(女性は全部閉めてOK)
・白い靴下はNG!
・腕時計はなるべく外す!
当たり前を当たり前にできるようにしましょう
そして病院見学当日は、早めに到着しておいてコンビニとかのトイレの鏡で
・汗
・髪型
・ネクタイ&襟
・ジャケット
を鏡で確認して下さい
繰り返しますが、
身嗜みでマイナスを食うことほどもったいないことはありません!!
【下準備編】
さて、いざ病院見学にいく前に以下の準備もしておきましょう。
・病院見学ですべき質問リストの作成
自分が以前noteでまとめております、こちらをご参考にして頂ければ良いと思います。
+追加で『加点される質問』や『喜ばれる質問』もあるのですが、それは【加点される病院見学編】でご紹介します。
持ち物
・白衣
→アイロン必須、アイロンないなら病院見学用に新品の白衣を買いましょう!
・マスク+替えのマスク
・N95マスク
→持って無い人は病院実習の時にこそっとパクっときましょう
・ポケットサイズの手指消毒アルコール
・学生証
・名札
→student doctorの赤いやつ
・財布
・スマホ
・メモ帳
→質問事項を予めメモしておくとなおgood!
・筆記用具
・ファイル
・院内用の靴
・聴診器
・必要書類
→予防接種関連の書類とか同意書とか
持っていくべき魔法のアイテムとかは無いです、強いていうなら事前に色々書き込んであるメモ帳くらいでしょうか。
『質問事項』をメモに仕込んでいる人はそこそこいると思うのですが、他にも仕込むべきことはたくさんあります、これも最後の【加点される病院見学編】にてご説明します。
【病院見学当日編】
こちらは加点のある病院見学編でご説明しております。
減点されないという目的だけなら、いわゆる一般的なマナーさえ守っていれば十分かと思います。
【病院見学後編】
病院見学が終わったら必ずお礼メールを当日中に送りましょう。
送るべき相手は
①申し込みをしたメールアドレス
②見学対応してくれた先生(ラインでOK)
③その科の部長(見学行くと大体名刺をくれます)
の3人です。
以下に実際に自分が送ったメールの文面を貼っときます。
上の文の太字のところをアレンジしていただければ良いです。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
以上までが
『減点されない病院見学編』でした
長々と書いて行きましたが、普通の病院を受けるだけならここまでできれば若干オーバーキルかも知れません。
とにかくマナーを守って悪目立ちしないこと!
これを徹底した病院見学をして頂ければ良いと思います。
ですが、ある程度倍率のある病院を第一志望に考えている方へ
人気病院ともなると、ここまではできて当たり前の戦いになりますので、ここから先の『病院見学で他の学生と差別化する』レベルが要求されます。
というわけで、ここからは『加点される病院見学編』に参ります!
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