桃原さんから言われたこと その8
以前、偶然にできた知り合いで、パソコン関係に非常に詳しい人が居ました。同年代で話も合うので、年に3回ぐらい、謝礼を払って相談に乗ってもらっていました。お互い忙しいので、都心のカフェにモバイルPCを持ってゆき、その場で話しながらいろいろ教えてもらうというやり方でした。薄謝ながら毎回お礼をお渡ししていました。
ある日、モバイルPCではなく、デスクトップの操作で分からないことが出来ました。相談すると、「家電量販店のPCケアのところに電話相談するといいと思いますよ。PCの中を遠隔操作もしてもらえます」と言われ、続けて、「自分が行って調子を確認させてもらってもいいけれど、しずめさんのところの自宅訪問になるから、日程が合うかどうか・・・」とも言われました。
普段の僕なら「いや、是非お願いしますよ」と言ってしまいそうなところでしたが、その人が多少霊感を持っているという話を前に聴いたことがあり、一瞬の躊躇を覚えました。「自宅に来られて、桃原さんから言われていることと違うことを言われた場合、返事に困る」からです。
その数か月前に、PCの相談が終わり、世間話をしている最中にその人が「自分は、神社に呼ばれたと思ったらすぐに行くから、夜中でも行く」と話をしていたことがありました。その人の口調になんのおかしなところもありませんでしたが、僕は「それだけは違うように思うな。夜に神社に行ける人って神事を司れるぐらいじゃないと無理なんじゃないか?」という考えがちらと頭を掠めたのです。
その後、霊能者の桃原さんにお目にかかる機会があり、そのPCの人についてどう思うかを訊ねてみたところ、渋い顔をされながら、こんな風に即答されました。
「今みたいに外のカフェで仕事の相談をするだけなら、ずっと良い仲間でいられますが、その人には霊感はあまり無い。でも、自分であると思っている理由は、その人が小さな、知られざる宗教団体に入っていて、その中でおだてられているから。家に入れて相談に乗ってもらっていたら、そのうちに、しずめさんにその宗教団体を覗いてみないか?とお誘いが来ます。向こうとしては本当に、善意でそれを言ってくる。けれど、しずめさんにはしずめさんの信心があるから、それは断る。するとそこから仲が悪くなり、良いことにはならない。家に入れないほうが良い。将来のことを考えれば。外で相談や世間話するだけなら良いですよ」。
返事をもらって、ああ・・・と項垂れました。そういう状況であるならば、意志の弱い自分としては、今の態度を保てる自信がない。しかも、「向こうが善意で勧めてくる」となれば、余計に。となれば、今のうちにもう引き下がるしかない。
そう考えて、それからは連絡を取らなくなりました。先方から連絡が来ることもありません。
「残念だな・・・せっかくいろいろ教えてもらって助かっていたのに・・・」
そういう思いがする一方で、桃原さんにそういう相談を持ち掛けて、そういうことを言わせてしまった自分自身も反省しました。誰しも、人付き合いの点で、そんなネガティヴなことは言いたくないでしょう。
でも、桃原さんは常々仰います「霊に嘘はつきたくないのです」と。
見える状況と違う話をするわけにもゆかない、でも、言っても、相談者の人はあまり良い顔はしない。それでも言わざるを得ない・・・辛いお立場だなと思うのです。