親戚まわりで喧嘩する男女
結婚しましたので、地元に帰って、お互いの親戚に挨拶をしてきました。
特に、奥さんの親戚は、初めて会うので、めちゃくちゃ緊張しました。
お義父さんには二人のお姉さんがおり、ご家族同士が近くに住んでるということだったので、親族大集合してるお宅に会いに行ってきました。
車で一時間くらいの距離でした。
車内で奥さんとほぼノンストップで喧嘩しました。
到着するころには、僕の声が枯れ果ててました。
喧嘩した原因は3つです。
1つ目は「僕が車の洗車をしてなかった」ことです。
その日は、普段は親父が乗ってる車を借りて、親戚の家に向かう手筈でした。
僕が「洗車」の存在に気づいたのは車に乗る時でした。黒い車なので、泥でまだら模様になってる姿を見てやっと、車の汚さに気づきました。
うちの親父は、人生の選択肢の中に「洗車」が存在しないので、いつも車が汚れてます。
僕が、帰省して気分が乗れば、洗車をするのですが、今回は、親戚に挨拶に行くことで頭がいっぱいで、僕の辞書からも「洗車」の二文字が見事に落丁してました。
こんな車で、ご親族のとこへ行ったら、恥かくぞと思いました。時間はかかるけど、行きの道中でやろうと決めました。
奥さんとは実家が近いので、彼女の家まで迎えに行きました。
すると、彼女は、到着した車をまじまじと見て、助手席に乗るなり一言
「はあ、言えばよかった。」というのです。
「え?」と聞き返すと、彼女は「いつも車汚いの知ってるから、昨日のうちに洗車してって言えばよかった。」と、ため息交じりに言うわけです。
こっちからしたら「逆になんで昨日、気づいてたのに言わないの?」です。
すると、僕の表情を察して、すかさず彼女は「今日は親戚の家行くから、言わなくても、さすがに洗ってくると思った。」というのです。
出たよ。言わなくてと分かると思った。
こちとら、言わなくてもわかるのは、自分が腹減ってるかどうかだけですよ。
すべてにおいて、言われなきゃわからないです。
これを奥さんに言うと「絶対、仕事できないよね。」と言われます。
本当に、失礼しちゃいますよ。
できるわけないでしょ!仕事!
僕がそういうことに気付く「できる」人間だったら、今頃、芸人なんてやらずに、宮内庁とかで働いてますよ。
今頃、エリート官僚として、国のために、レジ打ちとか品出しとかお弁当温めたりとか、いろいろやってるはずですよ。
これが、今回のFIP(ファーストイライラポイント)です。
そんなやりとりをしていても、しょうがないので、道中のガソリンスタンドで洗車することを決め、出発しました。
すると、奥さんが「飲むわらび餅」なる店が、道中にオープンしてるらしいから、寄りたいというのです。
親戚の家にお邪魔する約束の時間は決められてます。
僕は、ため息をつきながら
「はあ?飲むわらび餅?そんなのさ、寄らざるを得ないじゃん。」
と吐き捨て、奥さんの案内の元、店を目指しました。
奥さんの情報だと、お店は、この道を真っ直ぐ進んだ反対車線にあるということで、いつでも右折できるように準備をしていました。
「たぶんこのあたり」と奥さんがいうので、ウインカーを出し、右折車線に入りました。
すると、お店は、なぜか左側にありました。
これが、S I P(セカンドイライラポイント)です。
「おい、右側じゃねえのか!このやろう!これ曲がるしかねえじゃん!!」
「あたしだって知らないよ!」
「ふざけんな!アホんだら!」
「だって右側にあるってお母さんが!!」
(※あとでお義母さんにきいたら、左側って言ったじゃん!って怒ってました)
ワーワー言いながら、どうにかアホを車から降ろし、僕は「ぐるっと回ってくるから、買っといて」といって、車を走らせました。
そのお店には駐車場がなかったので、奥さんが買い終えたら、連絡してもらい、店の前で拾うことにしました。
なので、比較的空いてる道でハザードを出して待っていました。(図1)
待つこと数分、買い終わったというラインが来たので、今から行くと伝え、車を店の前へと走らせました。
すると、なんと彼女が、店の前ではなく、僕が来た方へ向かって横断歩道を渡ってくるのです。(図2)
まじで、どういうことー!?です。
車の中で「ふざけんなよ!頭おかしいのかよ!なんで渡ってくるんだよ!」と大声で発狂しました。
しょうがないので、また大きく一周して、彼女を拾う羽目になりました。
その日は炎天下でした。
彼女が外の暑さにやられないように、店の前で拾おうと思ってるのに、何ちょこまか歩き回っとんねんこのどアホです。
彼女としては、店の前は車どおりが多くて危ないと思ったとかほざいてましたけど、そんなわけないだろ!と思いました。
そして肝心の「飲むわらび餅」はというと、
ぬるかった。
むきーーーー!!!!ですよ!
暑さのせいなのか、彼女が、外を歩いたせいなのか、めちゃくちゃ、ぬるかった。
もっと、フラペチーノみたいな冷たさだったら、おいしいと思いました。
いつもはどうなんでしょうか!?
もしかしたら、もっと混ぜて飲むのかもしれません。
彼女にイライラしながら、甘ったるぬるいわらび餅をすすり、親戚の家を目指すことに。
すると、大きめのガソリンスタンドを発見したので、どうにか洗車することができました。
洗車した後、さっきまでのイライラが嘘のように気分が軽くなりました。
心の汚れまで洗われたようでした。
田園風景と雲ひとつない空とピカピカの車のマリアージュが僕をそうさせたようでした。
せっかくなので、奥さんにこの素晴らしいドライブの写真を撮ってくれとお願いしました。
こんな感じで、動画や写真を撮ってもらいながら、運転していたら、曲がるべきところを、通り過ぎてしまいました。
気づけば、奥さんが普段、親戚の家に向かう道ではなくなっていました。
Uターンするにも、一車線なので、できず、そのまま道なりに進むしかありません。
このままだと、全く別の場所に着くので、覚悟を決めて、本来曲がるべきだった方向へ左折しました。
そこから、ここに住んでる人しか使わないような、細い田舎道をどんどん進行することになりました。
こういう時、僕の悪い癖でウキウキしてしまって、ついスピードを出しすぎて、彼女に怒られました。
ムカつきました。
そして、野生の勘でどうにか、それらしい道にでました。
そして、ここから、どういけばいい?と尋ねると
彼女は「いつもの道じゃないからわからない」と言うのです。
「うん。いつもの道じゃないのは、申し訳ないけど、駅の方とか、大体こっちとか」
「駅は別に近くない」
「じゃあ、親戚の家の近くになにがある?」
「なんにもない」
「うん。じゃあ、住所入れて調べて」
「住所わからない」
「え?」
「親戚の住所なんてわかるわけないじゃん」
「うん。そっか。じゃあ、親戚に連絡して、住所きいて」
「なんで、住所きかなきゃならないの?」
「いや、辿り着けないから」
「いやだよ。何回も行ったことあるのに迷ったとか言うの!」
「はぁ?!そっちは何度も行ってるけど、こっちは初めてなんですけど?!」
「しらない!きかない!」
「ふざけてんの?!」
「絶対いけるから!あっち!はやく!」
「あ?言ったな?このやろう!どうなっても知らんぞ!」
さっきまでのあの透き通った気持ちはどこへやら、
怒りに任せて、勢いよく左折して、それらしい方向へ進んでいきました。
僕は内心、親戚の家に遅刻したらどうしようと不安でいっぱいになっていました。
すべてにおいて、第一印象が肝心ですから。
ご親戚に、嫌な思いをさせたらどうしようと悪い想像をしてしまいました。
洗車は事前にしておけばよかった、、、。
わらび餅ドリンクなんて買ってる場合じゃなかった、、、。
すると、前方に踏切がみえてきました。
そして、彼女が「あ!この踏切知ってる!!!ここ!この踏切渡って!!」というのです。
え!?と驚きつつ、踏切を渡ると、なんと、奇跡的にいつも彼女がつかう道に戻ってこれたのです。
彼女は嬉しそうに「ここからは大丈夫!もうすぐ!」と言いました。
安心しました。このままいけば、約束した時間の5分前にはつきそうだなと思いました。
そこから、奥さんの案内で住宅地を進んでいきます。
そして、TI P(サードイライラポイント)の登場です。
ここから何度も道を間違えられました。
一向に親戚の家に到着しません。
意味がわからなかったです。
住宅地から、なぜか大通りまで出て、Uターンしてまた細い住宅地に戻ったりしました。
「このやろう!いつもの道ならわかるって、全然わかってねぇじゃねぇか!!」
「たしか、この辺なの!!」
「この辺だけでたどり着けるか!アホ!いいから、親戚の住所きけ!」
「はぁ?あとちょっとで着くのに、きけるわけないでしょ!」
「なんでだよ!遅刻しちゃうじゃん!」
「したっていいんだよ!いいから、さっきの道戻って!!どっかで左折!」
「もう、ふざんけんなよ!!わらび餅もぬるいしよぉ!」
「それあたし関係ないでしょ!!いいから左折!」
「ここしか曲がるとこないよ?!ここのラーメン屋を左でいい?」
「絶対違う!わたし、こんなラーメン屋知らない!」
「わからんよ!もう!とりあえず、曲がってみるから!」
「勝手にすれば!??!」
僕は勢いよく、車を左折させました。
なぜか親戚の家に到着しました。
びっくりしました。
「あ!ここ!ここ!」なんて彼女はテンションが上がってます。
僕は、放心状態です。
何でこいつはこんな方向音痴なんだよ、、、。
家の前に着くと、ご親戚のお父さんが出てきてくれて、駐車しやすいように誘導してくれました。
車を停めると、彼女は「運転ご苦労様」と僕に言い、そそくさと車を降りました。
僕はもう怒る元気もなく、黙りながら
「(あれ、声枯れてるわ)」と思いました。
(次回、親戚の家で大緊張する男です)
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