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壊と懐

実家の“取り壊し”が迫ってきた。今までそれについてじっくりと向き合うことができなかった。日々あれこれ忙しかったからというのは表向きで、本当のところはそこにかこつけて敢えて考えないようにしていたのではないかと思う。
現実からは目を背けることはしたくないし、なるべくしないようにしている。けれど日頃精神的に重くなるようなことは重くないと見せかけて対処しているところがある。いつだったかそうすることがとても楽であることを学んでから、それ以来そうすることにしている。


空き家に何かを求めることはもうできなくなる。それはずっしりと重く私にのしかかる。

しばらくはずっしりと重く私にのしかかる。



【懐】

懐かしいあの時代は
二度と戻らないあの時代は
なめらかな感触で
からだに纏わりついて
こそげ落とせないほど
つよく纏わりついて

ときどき
あつく焦がれては
進むしかないことに
打ちのめされ
ゆっくりと歩きだす

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