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【夏の終わりに】

もう1人の僕はタフで前向き、少々のことではへこたれない。僕が悲しみに打ちひしがれ歩くことさえできずにいるのに、もう1人の僕は平然としている。痛みも感じていない。そればかりか悲しみを肥やしにし笑いにかえているように思う。

もう1人の僕はこの僕を抱え、ふらふらの僕を立たせて歩かせる。そうしてゆっくりでいいから歩こうと耳元で囁く。僕は抗うことができずにただ頷く。
ただ頷く。
僕には意志がないのかもしれない。無意識のうちに、もう1人の僕に僕の意志の全てを委ねたのか。

僕は残りの人生を、行き先などわからないのにもう1人の僕に抱えられながらゆっくり歩くのだろう。
笑うことなどは彼にまかせて…

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