人類は私たちが滅ぼしました。
人類は500年程前に滅亡した。
私たちが滅ぼしたからだ。
私達は元は違う星に住んでいた。しかし、星の有限なエネルギーを食い潰した結果、私達の星は滅亡へと追い込まれ、新たな居住地が必要になった。
私達の偉い人は次なる住処を見つけた。
それが「地球」だ。
地球には水があり、空気があり、気温が安定し、生態系が存在した。素晴らしい星だった。
生態系の頂点には「人間」という存在がいた。
「人間」はあらゆる文明と歴史の中で様々な知恵を身につけ文化を築いていた。私達に最も近い文明を持っている種族だといえる。
偉い人は彼等の滅亡を私達に言い渡した。
裏ではそれに賛同するものもいれば、そうで無いものもいた。共存した方が有益なのではないかと言う事だ。
だがいずれにせよ、偉い人の命令は絶対だった。人類は滅ぶ運命にあった。
地球の上空に私達の船が浮かんだ。
私達の船は空を覆い隠し、辺りは一瞬で暗闇と化した。人々は突然の出来事に震えていた。
偉い人は言った。
「人間よ、お前達にチャンスをやる。質問に答えろ。
お前達は何の為に生きている?人間とは一体なんだ?答えろ。
1分だけ時間をやる。
出来なければお前らを殺す。」
あたりは静まり返った。人々の泣き声と絶望の表情しかそこには存在していなかった。
人々は次第に状況を理解したのか、急いで携帯電話を取り出し家族に電話をかけるものや、精一杯その場を離れ逃げようと試みるものもいた。
すると、1人の男が意を決したように声を挙げた
「人間とは、、
酒を飲みすぎた翌朝、満員電車の中で妊婦に黙って席を譲る事。
たまに友人と食べる食事と酒の旨さに感動して涙する事。
老いて小さくなった親に、汗水垂らして稼いだ金で、旅行券をプレゼントし「安かったんだよ」と少しだけ嘘を付いて笑顔で言う事。
それらの為に人間は生きています。」
辺りは光に包まれた。
一瞬にして人類は滅んだ。