温泉とアートの週末旅行 in佐賀
ONSEN Saturday
9:00 リムジンバスは予想どおり40分早く羽田空港に到着した。旅に必要な細々としたものを買うためドラッグストアに入ると、日焼け止めを両手に持ったアジア人の女性に「which is better?」と聞かれる。わたしは人に何か尋ねられるのが好きで、それが海外の方ならなおさらだ。旅先に日本を選んでくれてありがとうという気持ちからだと思う。「i like this one.」アネッサと即答したけど、あとで「アネッサとウォータージェルの安価な日焼け止めは特徴や利用シーンが違うよなぁ、もっと丁寧に説明したほうがよかったかもしれない。なんて言ったらよかったのだろう」と頭の中でぐるぐると英語のスクリプトを組み立た。
手荷物検査場を通過し、ISETAN HANEDAに直行する。ここをのぞくのは旅の楽しみのひとつ。テンションを上げてくれるちょっと質の高い品々。その後、本屋さんで観光本をパラパラ立ち読み。佐賀市の情報があまりにも少ない。でもそれもいいと思う。調べすぎず、旅先での出会いを楽しみたい。
羽田空港 10:15 ✈︎ ✈︎ ✈︎ 福岡空港 12:10
12:30 福岡空港に到着し、リムジンバスの切符を買う。券売機でクレジットカードが使えなくて、地方に来たことを実感。お腹すいた!でもお昼ごはん食べる時間はない。セブンイレブンで有明海産の海苔という文字が目に入っておにぎりを買う。でも東京のもそうだった気がする。
福岡空港国内線 12:40
↓ リムジンバス 予約不要(往復乗車券¥2,210)
佐賀駅バスターミナル 13:53
14:30 佐賀駅のドラッグストアで足りないものを買い足し、観光案内所に立ち寄る。パンフレットや冊子をいくつかピックアップしたあと、遅めのランチをとれるお店を聞く。喫茶店と定食屋さんを教えてもらったけど、どうせなら地元らしさのある食事がしたい。九州のお出汁のうどんとか。駅構内の「寅ちゃんうどん」を教えてもらう。ゴボ天うどん¥450だったかな。おにぎりを食べていたから、うどんの量を少なくしてもらった。お出汁が体に染みる。
14:38 佐賀駅バスセンター
↓ 路線バス ¥890
15:24 古湯温泉
15:30 楽天トラベルで予約した民宿幸屋にチェックイン。一泊二食付 ¥8,850(入湯税150円別)。ひとり旅の宿はいつも安さ重視。
16:00 古湯はこじんまりとした温泉街で、少し歩けばぐるっと一周できる。夕飯まで時間はたっぷりあるし、せっかくだから事前調査で気になっていた「古湯温泉ONCRI」の日帰り入浴へ。ここは古湯温泉街から少し離れていて、建物の中は別世界のようだった。洗練されていて人がいっぱいで、売店もおしゃれなセレクトショップみたいで見ていて楽しい。温泉はぬる湯だからずっと入っていられる。赤ちゃんや小さな子どもが多いのも、このぬるめのお湯だからこそ。空を眺めて、雲が流れていく様子をじっくり見たのは久しぶりだなと思う。
17:30 旅の計画を立てているときにInstagramで見つけた、泊まれる図書館/珈琲 暁。古民家のあちらこちらに立方体の木箱が置かれている。これは色んな人が自分にとって大切な20冊を選んでつくった本棚とのこと。縁側、ソファ、囲炉裏…。皆、思い思いの場所で本を読み、静かで温かい時間が流れる。人がまばらな山奥の温泉街に突如現れたこのホットスポットのような空間は、ここにいる人たちの間に秘密を共有する連帯感のようなものを生んでいるようだった。ふと、きょうのハイライトはいまこの瞬間だと思った。
✴︎古民家の中。昔ながらの細やかな装飾はとても贅沢に感じる。
19:00 お宿に戻りひと風呂浴びて、部屋で夕食。米ナスではないけど大きなナスのゆずの効いた甘い田楽、ナントカっていう有明海にしかいないお魚(ワラスボではないけどそっち系)の煮付け、かぶのあんかけ、あんこう鍋など、どれも美味しかった。値段が値段なだけにお宿に期待をしていなくて、山奥だけどお刺身が特別なメニューとして出される感じかと思っていたけど(お刺身も出てきた。そして美味しかった)、いい意味で裏切られてうれしい夕食だった。
宿の風呂はもちろん温泉。ONCRIとは違う泉質。湯船に浸かった瞬間、サラッと熱い温泉がじわっと染みた。夕食後も朝も、この温泉を楽しんだ。
ART Sunday
8:00 朝風呂のあと、つやつやのごはん、豆腐とわかめの味噌汁、焼き鮭、味付けのり、卵、梅干し、ひじき、きんぴらの定番朝ごはんを頂く。美味しくて食べすぎる。食後にすこしゆっくりして、民宿のお母さんに大きな傘でバス停まで送ってもらい、雨の古湯温泉街を後にする。
9:48 古湯温泉
↓ 路線バス ¥890
10:34 佐賀バスセンター
10:56 佐賀駅バスセンター
↓ 路線バス
11:04 佐賀テレビ前
11:05 佐賀城公園
11:10 佐賀県立美術館
池田学展 The Pen -凝縮の宇宙-
わたしは池田学さんの絵が好きで、今回生まれ育った故郷の美術館で企画展を開くということを知り、足を運ぶことにした。東京まで来るのが待てないというより、地元開催は何か違うだろうと思ったから。
子供からお年寄りまで規制線のない作品(最新作除く)を間近に指をさしながらおしゃべり。ひとつひとつの絵の滞在時間の長さが、池田学さんの作品の特徴を表している。いつまで見ても飽きないし、見るたびに新しい発見がある。東京だったら混み過ぎて、緻密な絵をここまで存分に楽しめないかもしれない。
絵はもちろん、それを見る人たちの佐賀弁トークもおもしろく、1時間くらいだと後半かけ足。最後の新作にたどり着くころにはお腹いっぱい。「誕生」は想像以上に大きくて色味も新鮮で圧倒された。ただ細かく描かれた津波の残骸は私には重すぎてじっくり見るのは難しかった。
その後ごはん。この建物にはおしゃれなカフェがみっつあるらしい。わたしは博物館のほうにあるカフェで、佐賀名物というシシリアンライスを頂いた。季節感があるメニューではないけれど、野菜たっぷりで美味しい。家でも作ってみたい。
そして本日のメイン、池田学さんと、ミヅマアートギャラリーの三潴末雄さん、高校時代の美術の恩師 金子剛さんのクロストーク。新宿のギャラリーで、池田さんが金子さんを十二支の動物にした年賀状を見たことがあって、あの男性がいま目の前にいる人かと頭の中でつながった。
池田さんは穏やかだけど意志の強さが伝わってくる話し方で、三潴さんと金子さんはパワフルで強烈。三人の掛け合いがおもしろく、会場は何度も笑いに包まれた。いまここに三人と佐賀の人たちが集まったからこそ聞ける話だと思った。
予定時刻を過ぎても終わる気配はなく(笑)、質疑応答で抜け出して、最後にまた「誕生」を見てポスターを買い、帰路へ。
金沢21世紀美術館と日本橋高島屋でもやるみたいなので、また行きたいと思う。
佐賀県庁前
↓ 路線バス
佐賀バスセンター
佐賀駅バスセンター 16:00
↓ リムジンバス 予約不要
福岡空港 17:14
最後の悪あがき。空港でVITOのジェラートを食べる。
福岡空港 18:00 ✈︎✈︎✈︎ 羽田空港 19:35
END
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