今日は何の日(2019/12/26)

1. ラジウム(radium)の発見(1898年)

フランスの物理学者ピエール・キュリー (Pierre Curie, 1859-1906年)、マリー・キュリー (Maria Curie, 1867-1934年) 夫妻がピッチブレンド (pitchblende, 瀝青ウラン鉱) という鉱物のなかに、ポロニウム(polonium)につづく2番めの放射性元素が存在することを発見し、1898年12月26日にフランス科学学士院で発表しました。
この放射性物質にはラジウム (radium) という名前が付けられました。ラジウムは放射線を出しているため、ラテン語の"radius" (光線、放射) にちなみ命名されました。放射能 (英:radioactivity, 仏:radioactivité) という言葉もこの発見の際につくられました。
放射性物質は、一見してエネルギー保存の法則に矛盾しているように見えるため、当時の基礎的な物理学の知見に再考を迫るもので、初期の原子核物理学に大きな影響を与えました。

ラジウムは原子番号88の元素で、元素記号はRa、安定同位体は存在せずアルファ崩壊をしてラドンになります。
ちなみに、ポロニウムはマリー・キュリーの祖国の名前、ポーランド (ラテン語:Polonia) が語源です。ポロニウムは、原子番号84の元素で、元素記号はPo、安定同位体は存在しません。

2. ラジウムの単離とノーベル物理学賞

キュリー夫妻は、1902年にはラジウムの単離に成功しました。その後、キュリー夫妻はラジウム精製法に対する特許を取得せず公開しました。このため、他の科学者たちは何の妨げもなくラジウムを精製使用することができました。

1903年にキュリー夫妻は、放射現象の研究の業績によってベクレル (Antoine Henri Becquerel, 1852-1908年) とともにノーベル物理学賞を受賞しています。(ただし、キュリー夫妻の授賞理由は放射現象の研究、ベクレルは放射能の発見)

3. ラジウムの利用

キュリー夫妻は、ピエールの腕にラジウムを貼り付けることにより、放射線に細胞を破壊する効果があるということを確認しました。この実験から、キュリー夫妻はラジウムががんの治療に利用できるのではないかと考えました。夫妻はその治療法を実現させることはできませんでしたが、マリー・キュリーの死後、実際に放射線によるがん治療は実用化され、1950年ごろまでは放射線治療の線原としてラジウムが用いられていました。

また、ラジウムが発する放射線が蛍光物質に当たることで光を発することが分かりました。この性質を用いて、1990年代以前は時計の文字盤などの夜光塗料としてラジウムが利用されていました。

4. キュリー夫妻が名前の由来となったもの

4-1. 放射能の単位
ラジウム1 g 当たりの放射能を元にキュリー (curie, Ci) という単位が定義され、かつては放射能の単位として用いられていました。現在、放射性核種の放射能の単位にはベクレル (becquerel, Bq) を使用することになっています。1 Ci=3.7×10^10 Bq (定義値)、1 Bqは1秒の間に1個の原子核崩壊を起こす放射能です。

4-2. キュリウム (curium, Cm)
キュリウムは原子番号96の元素で、1944年に発見されました。名前はキュリー夫妻をたたえてつけられました。

5. 参考文献

理科年表 平成26年

フランケンシュタインの誘惑「放射能 マリーが愛した光線」(NHK)

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