今日は何の日(2019/12/31)
1. 大晦日(大つごもり)
大晦日は1年の最後の日のことで、旧暦では12月30日、または12月29日(年によって異なる)、新暦では12月31日です。
日本で千年以上使われていた太陰太陽暦(旧暦)では、毎月の最終日のことを晦日(みそか)とよびました。そして、晦日のうち年内で最後の晦日、つまり12月(または閏12月)の晦日のことを大晦日と呼びました。元々「みそ」は「三十」のことで、「みそか」は30日の意味でした。ですが、旧暦では月の大小が年によって変動するので、実際には29日となることもありました。その後新暦(グレゴリオ暦)へ改暦されると、12月31日を指すようになりました。
大晦日のことを大つごもりともいいました。「つごもり」は、晦日の別名で、「月隠り(つきごもり)」が転じたものです。なお、「晦」も月が隠れるという意味です。(反対に月が現れる意味を表す漢字が「朔」)
大晦日に対して、大晦日の前日は「小晦日(こつごもり)」と呼ばれます。
2. 大晦日と年神様
元旦には「年神様(としがみさま)」という新年の神様が、1年の幸福をもたらすために各家庭にやってくるので、年末最後の大晦日は、年神様を一晩中寝ないで待つ日とされていました。年神様を寝ないで待つことを年籠りといいます。あまり早く寝てしまうと「シワや白髪が増える」などという恐ろしい言い伝えもありました。そのため、この夜ばかりは夜更かしの子供も叱られないわけです。
また、年によって年神様が来られる方向は異なり、その方角のことを「恵方」と呼びます。
3. 大晦日の行事・風習
3-1. 除夜の鐘
大晦日の夜は旧い年と新しい年が入れ替わる夜なので、「旧い年を除く」という意味で「除夜」と呼ばれます。除夜といえば、除夜の鐘が有名ですね。大晦日の夜から1月1日にかけて寺院では108回鐘をつきます。一般的には、107回は旧年の内につき、残りの1回は新年につきます。
108回鐘をつく理由として一般的によく知られているものは、人間には108の煩悩があり、鐘の音でそれらを祓うという説です。他には月の数の12、二十四節気の数の24、七十二候の数の72を足した数が108となり、1年間を表すという説もあります。
3-2. 年越し蕎麦
細く長く長寿であるよう願い、大晦日に食べる蕎麦で、江戸時代から始まった習慣であるといわれているようです。また、蕎麦の麺は切れやすいことから「一年の災厄を断ち切る」という意味もあるそうです。
年越しそばの起源は、月末にそばを食べる「みそかそば(晦日蕎麦/三十日蕎麦)」という風習ではないかといわれているようです。「みそかそば」の風習が大晦日だけに残ったものが年越し蕎麦というわけです。
また、当時の江戸江戸患い(脚気)が流行しており、「そばを食べている人は脚気にならない」といわれていたことも年越しそばが定着した理由のひとつであるという説があるそうです。
一部地域では、年越し蕎麦の代わりにうどんが食べられるそうです。
4. 大晦日と第九
4-1. 第九とは
大晦日に演奏される定番曲といえば「第九」です。
第九はベートーベン作曲の交響曲で正確に言うと、「交響曲第9番ニ短調作品125」と言います。この交響曲は「合唱」や「合唱付き」とも呼ばれ、1時間を超える長大な演奏時間、それまでの交響曲でほとんど使用されなかったシンバルやトライアングルといったティンパニ以外の打楽器の使用、独唱や混声合唱の導入など、それ以前の交響曲の常識を打ち破った交響曲でした。(ちなみに、通常のCDの記録時間が約74分であることは、この曲が1枚のCDに収まるようにとの配慮の下で決められたともいわれています。)
この曲は4つの楽章からなり、第四楽章が「歓喜の歌」として親しまれています。年末によく演奏されるものもこの「歓喜の歌」です。歓喜の歌の歌詞に用いられているのは、シラーの詩『歓喜に寄す』です。なお、合唱・独唱が入るのはこの第四楽章のみです。
4-2. 日本と第九
日本で最初の「第九」の演奏は、1918年6月に徳島県の鳴門市にあったドイツ兵捕虜収容所で行われたそうです。これは、第一次世界大戦の青島攻略戦で捕虜となっていたドイツ人たちによる演奏で、この演奏を聴けたのは捕虜兵と収容所の従業員のみだったそうです。
日本での公式初演は、1924年11月29・30日に東京音楽学校のメンバーがドイツ人教授、グスタフ・クローンの指揮によって演奏したものだとされており、プロ・オーケストラによる日本初演は新交響楽団(現在のNHK交響楽団)により1927年5月3日に行われたそうです。
年末に第九が定着した理由としては、
(1)1943年12月に上野奏楽堂で行われた学徒壮行音楽会で「第九」が演奏されたことに由来するとする説
(2)戦後の貧しかったオーケストラが年末のボーナス獲得のために「第九」を演奏したことに由来するとする説
などがあるそうです。
4-3. 海外で年末に演奏される曲
ところで、海外で年末に演奏される曲は何でしょうか?
アメリカやイギリスなどの英語圏の国々では、大晦日から年明けにかけて「オールド・ラング・サイン (Auld Lang Syne)」という曲を演奏することが多いようです。オールド・ラング・サインはスコットランド民謡です。オールド・ラング・サインという曲名はなじみがないと思いますが、この曲に稲垣千頴さんが作詞した歌詞をつけたものが「蛍の光」です。ちなみに、多くの公共施設や商業施設において、閉館・閉店直前のBGMとして流される曲の多くは蛍の光ではなく、オールド・ラング・サインを三拍子に編曲した「別れのワルツ」という曲だそうです。
英語圏以外の国では、特に決まった演目を年末に演奏する習慣はないようです。
5. 紅白歌合戦
年末のもう一つの定番と言えば、日本放送協会(NHK)が放送しているの「NHK紅白歌合戦」です。紅白歌合戦は、1951年(昭和26年)から大みそかに放送している男女対抗形式の大型音楽番組で、2019年(令和元年)で通算70回目となりました。
ところで、対抗する2組に「紅」と「白」が使われる理由は何でしょう?
日本における「紅白」のルーツは源平合戦とされています。源平合戦では、源氏が白旗を、平氏が赤旗を掲げて戦っていました。ここから、日本においては伝統的に対抗する配色として「紅白」が用いられるようになりました。ではなぜ「赤白」ではなく「紅白」なのかというと、中国の影響や源平合戦の故事に由来するといった説があります。(詳しくは、参考文献の「NIKKEI STYLE」の記事をご覧ください。)
6. 関連する行事
6-1. 元日(1/1)
6-2. 1月2日