【調剤薬局の現場から③】PCR等検査無料化推進事業の経験から感じていること
こんにちは。
株式会社サッポロドラッグストアーで薬剤師として勤務をしている小島です。
「PCR検査」という言葉はここ数年ですっかり耳馴染みのある言葉になりましたが、今回はその『PCR等検査無料化推進事業』について、当社における取り組みのご紹介や私が感じていることをお話しさせていただきます。
PCR等検査無料化推進事業とは?
まず、本件について簡単に説明すると、無料検査の対象者(感染が不安な方、無症状の方、濃厚接触者ではない方)であれば、予約して検査をすることで「無料」かつ「検査結果証明書」を発行することができます。
「PCR等検査~」の等は何を指しているかと言いますと、この事業で実施できる検査は【PCR検査】に加えて【抗原定性検査】も含まれ、事業所や薬局によって受けられる検査が異なります。
事業の内容や検査の違いについて一般の方にはわかりにくいこともあり、当社でもPCR検査が受けられると思ってお問い合せいただく方もいて、ご説明させていただくのが心苦しくもあります。
サツドラにおけるPCR等検査無料化推進事業の2022年実績
当社の本件の実績ですが、2022年(1月17日~12月25日)は約13,000件の検査を実施いたしました。単純計算で月平均で約1,100件になりますので、非常に多くの方にご利用いただいております。
また、検査での陽性率は平均0.84%となりましたが、検査対象者が「無症状の方」ということを踏まえると、少し高い割合かなとも思います。(実際はこの数値分析はもう少し後になってから評価できると思っています。)
患者さまの声
ここで、実際に患者さまからいただいた声をほんの一部ですがご紹介させていただきます。
当社が導入している検査予約システムから予約をして利用した患者さまから、利用後のレビューをいただける仕様になっているのですが、こんな感じのあたたかいレビューもいただいております。
日ごろの薬局業務でも直にお声をいただく機会はありますが、このような新たな事業に取り組んだ結果、普段ご利用いただく患者さま以外にもたくさんの方からの感謝の言葉やあたたかいお声をいただくことができ、非常にやりがいを感じる事業となりました。
サツドラ薬局での予約方法・検査方法について
対象者に当てはまる方で「検査したい!」という方に向けて、サツドラでの抗原定性検査の予約方法と検査方法をこちらでもご紹介させていただきます。※2023年3月時点での予約方法となります。※
以下のリンクから希望する店舗の予約ページを押していただき、予約・スケジュールから予約可能日時をご確認の上、ご予約をお願いします。
また、処方せん枚数が多かったりスタッフ数が少ない店舗は、通常業務に支障が出ると考えられるため予約可能件数を抑えている場合もあるのですが、システム内で他の店舗の空き状況も見れますので、最寄りの薬局が満席でもぜひ他の店舗も探してみてください。
検査は隔離スペースで実施をする店舗が多いです。しかしスペースを確保することが難しい一部店舗では患者さまのお車での検査を行っていて、お車での来局を必須とさせていただいている店舗もあります。
予約の傾向としては、全体的に感染者が増えてくると不安に感じる方も多いためか、予約が早く埋まってしまいます。また、冬はインフルエンザとの同時感染も心配でしたが、2月頃からは検査数も落ち着いてきています。※薬局ではインフルエンザの同時検査はできません。
『全国旅行支援』(北海道ではHOKKAIDO LOVE!割ですね)は3月末までですが(※2023年3月上旬時点の情報です。)、政府は4月以降も延長の可能性があるとの意向を示しています。その支援で割引を受けるために使える陰性証明を取得するために薬局へ検査をしに訪れる方も多いです。
この事業での経験を通じて感じたこと
私は薬剤師として調剤薬局に長く勤めておりますが、こんなにも薬局として地域医療や公衆衛生に貢献できているなと感じた業務は初めてです。
事業が始まった頃は未知の部分も多く、あるスタッフからは「自分が感染してしまうと、同居している祖父に迷惑をかけてしまう…」と泣かれてしまったこともありました。他にも「もし自分が感染したらどうするんですか?」「とても不安です…」という相談をたくさん受けました。
ですが医療従事者としての教育を受けて薬剤師として働くスタッフは、きちんと説明したら不安はありながらも理解し、それを周りのスタッフにも伝えて業務にあたってくれました。おかげで、途中で投げ出したスタッフは一人もいませんでした。
感染に対する不安や、通常業務に加えて検査業務があり大変な中で、現場スタッフは患者さまへ真摯に対応してくれて、その裏で本社スタッフは検査キットの手配や在庫管理などを担い、調剤薬局部門が一丸となって大変な時期を乗り切ることができたと思います。
そんな中、患者さまからこのような声がたくさん届きました。
この取り組みから、共に働く従業員と支え合うことの大切さを感じ、薬局として地域の皆さんに貢献できていると実感することができています。
最後に
第7波のオミクロン株が流行していた2022年夏ごろから、新型コロナウイルス感染症も風邪と同等程度と捉えられる空気感も出てきました。
この事業は3月31日までですが(※2023年3月上旬時点の情報です。)、5月8日以降は新型コロナウイルス感染症は『コロナウイルス感染症2019』という名称に変わり、感染症の位置付けも危険度の高い「2類相当」から季節性インフルエンザ並みの「5類」に緩和される方針が厚生労働省から発表されています。個人的には、その前の5月7日までは事業延長するのでは?と予想しています。
調剤薬局の事業を通して今後もできることとして、「5類」に緩和されても引き続き基本的な感染予防を忘れずに、かつ世の中の経済活動が止まることがないように、微力ながら協力できればなと思っています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
また記事を書く機会がありましたら、よろしくお願い致します。