1/31「『それ以外が全て見えているのであれば見えているも同義』と、モランディ。」

呪術廻戦を最後まで読んで、いちばん印象的だったせりふ。

侍が見えない呪霊と戦うとき、あまりに的確に剣を振るうから「ほんとうに見えてないのか?」と聞かれてこう答える。

見えてないかだと!?
それ以外が全て見えているのであれば
最早それは見えているも同義である!!


このせりふを絵にすると、こう。


ジョルジョモランディ(1890-1964/伊)の版画。ピュアな見方をすると、彼の絵は瓶を人間関係に当てはめて楽しむことができる。この瓶とこの瓶は仲良しとか、この瓶だけ仲間はずれとか。こいつは恥ずかしがり屋とか。

でもそんなことはどうでもいい。
肝心なのは地と図の関係。

何かがあるってことは、何かがないってこと。
ひるがえって、ないものだけをすべて見つめれば、あるものが浮かびあがってくる。
あるとないは主従関係じゃない。補完関係なんだ。どちらも平等にあつかうことで、絵はより強くなる。


見えてないかだと!?
それ以外が全て見えているのであれば
最早それは見えているも同義である!!

って、侍かっこいいぜ。

この22巻ではほかにも、空気中の面の捉え方について考察してる。連載中は作者にとってなにか絵画的発見が豊かな時期だったのかなあ。




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