ギリギリ笑える範囲、の手前の話
ネットをしていたら、とある番組に出ていたカンニングの竹山さんが、
いまはテレビで見られなくなった元芸人の一発ギャグをして、それを見たネット民がわいた、というネットニュースの記事を見た。
私はその番組をたまたまリアルタイムで見ていた。
テレビ東京の「ウイニング競馬」を見ていたら、ゲストとして出演していた竹山さんが紹介され、「はぁーい!」と両手の動き付きでやってみせたのだ。
それはあの人のギャグなのだけど、ここでその人の名前は出さないでおく。
私は個人的な感情で、このnoteにその名前を「出したくないから」出さないだけだけど、
テレビの世界では、まるでハリーポッターの「名前を言ってはいけない人」のように、テレビに出ている人たちは名前を言おうとしない。特によしもとの芸人さんは。
しかし、名前を出さなくても、ネタにすることはできるんだな、と思うことがいくつかあった。
まず、先日12月8日に放送された『THE MANZAI2024』でトリを務めた爆笑問題。太田さんが、今年のM-1の審査員で、ダウンタウンの松本さんが復帰するのでは、という噂があると言いだし、そこで「はぁーい!」をやっていた。ひとつの話題で、「あまり言ってはいけない人」あつかいになっている人の名前を2人も出して、ストラックアウトの2枚抜きみたいな技を見せてもらったような気がした。
さらに、19日に放送された『ツッコミ芸人総会2024 大忘年会』で、
ナイツの土屋さんが依頼されて描いたイラストが、馬を擬人化したようなキャラクターのイラストだったのだけど、
それがジャングルポケット(以下、ジャンポケ)だったその人を馬のキャラにしたものだったため、お蔵入りになってしまった、という話だった。
そのイラストのキャラが来ていたタンクトップを見て、思いだした。これ、昔ジャンポケがやっていたネタで、どこも鍛えらえないエクササイズ、というのがあった。
さらに思いだす。
日清食品の「お椀で食べるシリーズ」で、このネタをしているジャンポケの3人がCMに出演していた。
が、芸人をやめたあの人が、当時不倫騒動を起こした影響なのか、いきなり3人がお椀をモチーフにしたキャラクターに変わっていた。
(ちなみに、この件についてググってみたら、
「週刊女性PRIME」の見出しで、2023年10月17日
「斉藤慎二の不倫報道の影響か、ジャングルポケットが日清食品『お椀で食べるシリーズ』のCMから消えた 同社に問い合わせると「一連の報道とは関係ございません」
という記事を発見。
一応、「関係ない」ということになっているようだけど、タイミングからしてそうなんじゃないだろうか。いわゆる、大人の事情で)
見出しを引用したので、どうしても名前を出さざる得なくなってしまった。これを書きながら、自分の右の頬のあたりがひきつっているのがわかる。
話を戻して。
その土屋さんの描いたイラストがお蔵入りになった話は、TVerで視聴できる。
土屋さんの話は、21:02~。
改めて見直してみると、話の途中で
ほかの芸人さんが何人か映ったときに、何かに気づいたのか、
鬼越トマホークの金ちゃんと見取り図の盛山さんが何か話している。
イラストが出ると、とたんにざわつく芸人さんたち。
ニューヨークの屋敷さんが「なんかちょっと、久しぶりに会えたみたいな」、
オズワルドの伊藤さんが「もう会えないと思ってたから」
と言ってはいるけど、その人の名前は、皆、誰も出していない。
いま、こんな感じでその人の名前は、やっぱり「言ってはいけない名前」になっているよなぁと思う。放送禁止用語レベルでNGではないにしても、すでに事務所に所属していないので、
「言わない」のが適切な対応なのだろう。テレビ的にも。
関係ないのに、つい、結び付けてしまう
ところで、昨日放送された『M-1グランプリ2024』は見ましたか?
令和ロマンの1本目のネタの中で、名字について話していて、
さいとうには簡単に書けるものと、難しいものがある、という趣旨のセリフがあるのだけど、例のその人がふっと頭をよぎってしまった。一瞬、なんとも言えない気持ちになった。
でも、ネタの内容としては、その人とはまったく、なんの関係もない。
別に、令和ロマンだってサブリミナル的に視聴者に意識させようとしたわけでもないだろうし。
なんというか、変な二次被害だな、これ。
当分の間、私は「その名字」に対しても、瞬間的にほんの少しの嫌悪感を引っ張りださせられることになりそうだ。いい迷惑である。
そして、ワードだけが残る
一方で、その件に関しては、笑えるようなことではない。
あのニュースが流れ、動揺し、いちファンだったのでショックを受けた。
まだ精神的に落ち着いていないのに、noteにも書いた。
ようやく事実として受け止めることができ始めたとき、いくつか思ったことの中には、その人のお子さんのことがあった。
北町貫太のようになってしまうのかな、と思った。
(北町貫太は、作家の西村賢太さんの私小説に出てくる架空のキャラクターで、父親が逮捕されてしまったという人物設定がある)
小説の世界ではなく、現実で、
しかも芸能人だった人が父親となると。……胸が痛くなった。これ以上は何も言わないでおく。
テレビのバラエティ番組の中では、すっかり過去のことになっていて、
その人の名前は、ときどきネットニュースの記事の見出しで見る程度になった。
最近だと、冒頭で書いた、竹山さんが番組で言ったことが見出しになっていたのを見たぐらい。
その見出しを引用しようと検索したら、検索した言葉が良くなかったのか、出てこなかった。
ただ、数少ないごく一部の芸人さんの、ネタにする技術はすごいな、と思う。つい笑ってしまう。
いまのところ、「はぁーい!」は使い勝手のいいワードとして残っている。けどこれも、いつかは人々の記憶から消え去っていく。
もうすぐ2024年が終わる。
1年前に流行った言葉なんて、みんな忘れている。
だったら都合よく、誰かが傷つくことのないものとして、笑える部分だけが残ったらいいのに、と実際には不可能なことを思う。