歯 と命

突然ですが歯を抜きました。

医師に、「ここまでなってるのは初めて見ます」と言われるほど、
かなりひどい、危険な状態になっていたそうで。

「あ、そんなに歴代更新してしまうほど、ですか。笑」
と言ったら、私も医師も少し笑いました。

このとき笑ったのは、おそらく、ストレスを軽減させるために出るという、防衛反応なのでしょう。

これから、医師に教えてもらった、
歯周病や虫歯をほったらかすと最悪
命を落とす、という話をしますね。



痛くもない。だからほったらかした

さかのぼること2年前。

左下の奥歯に虫歯があり、でもここでは治療ができないので大学病院の紹介状を出しますと言われる。

が、私、行かなかった。

行こうとはしてるんですけど。
方向音痴で、いざ行ってみたら大学病院にはたどり着けず。結局、なんやかんやと理由をつけ、つまりは面倒になってしまい、それっきり行かないまま。

紹介状を書いてもらったのに行かなかっので、その歯科クリニックに行きづらいと思ってしまった。

その後、時間が経って、今年。
左下の奥歯は、ときどき小さな痛みが出る程度で、たいして気にしていなかった。が、別の歯の様子がおかしい。



そのうち抜けないかな、ぐらいに思っていた。無知の怖さ

右上の奥歯が、だんだんグラグラしてきた。ああこれ、歯周病だ。もう抜けそうになってる。
やっちゃったな……。

しかし私は現在無職。収入がない。でも歯の治療にはかなりお金がかかる。

じゃあ、抜けるまでほうっておこう。

「バカ。1秒でも早く、電話で予約を入れろ」と過去の自分に言いたい。

奥歯が抜けそうになっているので、かめなくなり、食事にも支障が出始める。

ある日の夜、数秒間、右の頬骨の下あたりに、いままで感じたことのない、何かじわーっと顔の皮膚の表面に出てくるような感覚が。でもすぐに消えた。

明日病院予約して、歯医者行こう、とやっと決断した私。


運が良かった

次の日。この時点で、まだ危機感がない私。
電話で予約し、右上の歯がいまにも抜けそうで早めに診てもらえると、とこちらの要望を伝え、予約。

その日のうちに電話がかかってきて、なんでも、予約していた人がキャンセルしたから、これから来てもらえますか? と。
二つ返事でOK。たった20分しかなかったので、急いで身支度。

そして病院に行き、紹介状を出してもらったのに行かなかったことを謝罪。
最近母が亡くなり、自分のことおろそかにしてしまって、と言い訳。

すると、担当した医師はちゃんと話を聞いてくれました。こんな、治療に関係ない個人的なことなのに。
会話をするうちに、この方も母を亡くしていたと知ることに。

レントゲンを撮り、それを見た医師に、私の状態がいままで見たことがないほど悪いと言われたのでした。

「鼻、つまってないですか?」

「風邪はちょっとひいてますけど、つまってないです」

奥歯の根本の土台の骨が溶けていて、薄くなっていて、奥歯の根元にはドーム型に黒い空間が出てきている。

溶けた骨はもう元には戻らない。

歯周病で骨が溶ける、このとき初めて知りました。

「うみが鼻に詰まって窒息します」

簡単にまとめると。
歯周病をほったらかしてひどくなったら、死ぬよ、と聞かされました。

「……」

絶句する私。

ちなみに、このお医者さんは女性なので、声がかわいらしくて、
言ってることはかなり怖いのに、声のせいなのか、怖さが軽減されてる感じがしました。

さらに、ほかの歯も検査してもらうと。
例の左下の奥歯についても。

「私大学病院に勤務していて、虫歯になった15歳の女の子で、脳梗塞になった人がいました」

虫歯菌は血液をドロドロにするので、それでなったと。

余談ですが、この話、その女の子は亡くなったのか否かを聞いたはずなのですが、ほかにいろいろと説明を受け、記憶しておかなければならないこともあったせいか、その女の子はどうなったのかわからない。

それと、いま飲んでる薬の話になったとき。

血圧の薬を、たまに飲み忘れてしまうと軽い気持ちで言ったところ。

「ちゃんと飲んでください。それでうちの母は亡くなったので」

「……!」

血圧の薬って、飲んだり飲まなかったりすると、血管が弱くなるんだそうです。

え?! じゃ私、知らず知らずのうちに命、縮めてた?


そして抜歯。

眼の上には布がかけられ、視界は暗くなっている。
麻酔の液体が、奥歯からのどに流れていったあと、急にのどの奥がはれたようになり、……あれ、なんだかのどがつまる、ような。

これ大丈夫? 息は、鼻からできるよね? 急に命の危機を感じる私。

けど、数分後にのどのはれたような感覚は消失。

(なにかの罰だな)

これから歯を抜く不安や緊張感をやわらげようと、意識が働いたのでしょうか。なぜか、ふとそんな風に思いました。

なに? 自分のケアを怠った罰?

歯を抜きときは、すっと抜かれたのでほとんど痛くならなかった。
でも、抜いたあとに塗った薬、すごいしみた。痛い痛い。

紹介状を書いてもらい、治療費のお支払い。
けっこうな金額だった。ひぃいい。

さらにこれからも出費があるわけで。
体だけじゃなく、お財布も痛い。


ほんと、学習しろよな、と自分のだめさ加減を反省。
……したけど、でもきっと、少し経ったらこの気持ちも忘れるんでしょうね。
こんなに怖いって思ったんだから、今回はちゃんと経験として記憶してくれ。

歯で噛んで食べられなくなるって、それはけっこう、命のリスクとして大変なことだよな。手遅れになってしまったけど。


最後にまとめ。

虫歯菌も歯周病菌も、あっという間に歯を破壊する。
異変を感じたら、即、病院に行きましょう。
(『しくじり先生』風ナレーション)

私みたいに、結局、痛い思いをしてしまうだけので。

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