FサイズのFは、自由
おばと、とある雑貨屋に行った。
ただでさえ、無職ですることがない日々で、その上病院通い。ひと月になかなかの金額が出ていくようになった。刺激は少なく、人としてもいろいろ
とアレだよな(オブラートに包んで言うと、良くないの意)とは思うけど、家に閉じこもってるよりはましだ。
プレゼント用に買うのに良さそうな商品が多いそのお店には、洋服を売っているスペースがある。ただ、太っている私には、入るサイズがない。
と思っていたのだけど、
おばと商品を眺め、好き勝手におしゃべりをしていたら、冬に着るのにちょうどいい、とてもあたたかそうな白いセーターを発見。おばにすすめられ、ちょっと試着してみることに。
大きくゆったりとしたデザインで、生地がのびる。プラスサイズの私のような人には、ありがたい。
入った。
いま着ている服の上からでも入る。良かった。うん、良かったけど、鏡に映ったその白いセーターは、丈が微妙に短かった。服が入ったのはいいけど、鏡に映った自分の表情は曇っている。あともう少しあれば。
試着室の外にいるおばに、少しだけドアを開けて見せた。
おばは、「いいじゃない」と、その服を買ったほうがいいとすすめてくる。
内心、ちょっと怖がりながら、「うん、でも丈が短いんだよね」と買う気がないのを伝える私。それに、私いまそんなにお金ないし。
おばに反論するのは、おばの言葉に圧を感じてしまい、いまだにちょっと怖がってしまう自分がいる。それでも、「これは買わない」と伝えられるようになった自分。ほめてあげたい。
服は買わず、お店を出た。
帰り道、「なかなか着られる服がないからさぁ、だからいま、幸せなんだよね」とおばに言っていた。そう、私は試着で服が着られるだけで、幸せを感じる。買うかどうかは抜きにして。
白いセーターについていたタグには、「Fサイズ」とあった。
フリーサイズ。フリーサイズの「フリー」って、自由って意味だよね? 着たい服を着られる自由。Fって、なんて素敵な、
と、ここで変にテンション高くなった状態をやめ、ググってみたところ、
「フリーサイズは、誰でも着られるということではない」
と教えてくれた。
うん、そうだよね。たぶん、フリーサイズの「フリー」って、そこまで幅広くて誰でも受け入れてる、ってわけじゃないよね。
では、フリーサイズって、どれくらいのサイズなのか。調べてみると。
日本人女性の平均身長は、158cm。平均身長より低い人はゆったり、平均身長より高い人はぴったりめに着られるサイズが、フリーサイズだそう。
↑ 記事から一部引用。
つまり、Fサイズの服を買うときは、試着するべきですよ、ってこと。
まあ、フリーサイズの「フリー」が自由だったらな、なんて思ってもいいじゃないか。この文章を書いていて、ふと、「民衆を導く自由の女神」の絵が浮かび、
持っている旗が、赤い旗ではなく、Fサイズの白いTシャツを旗にしたものだったら。女神の体型が、どう見てもぽっちゃり体型だったら。なんてイメージした。
(ああ、イラスト描くのが上手だったら、ここにスマホがあったら、ちょっと描いて写真を撮って、noteに載せられるのに)
でも、太っている人、体格の大きい人など、平均のサイズではない人にとって、店舗で服を買うのって、なかなかできないことなんですよ。
気のせいだろうか。太っている人は、少なくなった気がする。
最近、韓国のアイドルが流行っていて、若い人がますますやせた体型に憧れるようにできているな、と感じる。男女問わず、韓国も日本も、芸能人はみんなやせている。
つまり、服を売る人にとっては、やせた体型の人向けの服のほうが、収益が増える。数が少ない人に対して、ビジネス的に、資本主義の世界はやさしくない。
私だって、おしゃれしたいんだけどな。
映画『ヘアスプレー』の主人公、トレイシーみたいに。
(感想を言うなら、「最高。いい! 楽しかった!」)
あの白いセーターだって、丈の長ささえ気にしなければ、それに、経済的に余裕があったら、買っていたかもしれない。
それと、試着室で思ったこと。もう少しやせていたら、これ、似合うんだろうな、って。その気持ちには、自分の体型へのコンプレックスがにじみ出ている。
それでも、いいじゃない。
着たい服を着ること、おしゃれを楽しむのは、誰だって、どんな体型の人でもFreeだ。