
絶望するより、夢の残骸を燃やせ
なんだろう、この、売れないバンドが書いた曲のタイトルみたいな。笑
本の出版、昔の夢と10代の
ガクテンソク奥田さんが、本を出版。
東京でサイン会があるそうです。
サイン会……、行きたい。本屋の場所を検索し、それが高田馬場だと知る。
いかん。これは行きたくなる。お金ないのに。
なぜなら、高田馬場は、私にとって10代の思い出のある場所で、挫折した場所でもあったから。ただ、思い出のある場所で終わっていたら良かったのですが。
時間がだいぶ経っているとはいえ、ちょっと、いつものように書ける気がしない。ここ最近、睡眠不足とストレスだってあるし。
エフェクトをかければ、なんとか……。
パンパン!(紙で何かをはたく音)
はっ! これは、講談師の張扇の音。
とある女子のおはなし(1)
時は西暦、2000年代、とあるおなごが一人立つ、
場所は東京、高田馬場。
彼女には夢がありました。
「自分で書いたものを人に読んでもらったら……。
本屋に、自分の本があったら」
そんな彼女が出会ったのは、某出版社の「自費出版」!(パン!)
祖母と会社に出かけた女の子。
話を聞けば。
しかし、料金、数ひゃくまん。
帰ってきても、電話が何度もかかってくる。
あまりのしつこさに、とうとうはっきり、断りの言葉を伝え。
それからあとに、その出版社、
なんとテレビのニュースになった!(パンパン!)
自費出版で出されたはずの、自分の本が、本屋にない。
訴えを起こした3人の人が、「〇〇社にだまされた」と記者会見を開いたのです。
実は彼女、ブログを通じ、とある親切な男性から「あれは詐欺だよ」と
コメントで教えてもらっていた。それもあり、断る気になったのです。
残ったのは、某出版社から届いた、大量に受賞者のいる「佳作」の賞状。
出版するまでの説明文書。
この賞状は詩を書いて、コンテストに送ったもの。
けどこれは出版社にとって、まき餌のようなものだった。
彼女は世間を知ったのでした。(パパン!)
とある女子のおはなし(2)
さて、時は流れ、彼女の部屋の本棚に。
作家になりたい人のため、書かれた本はまだあった。手放そうにも捨てられず、ほこりをかぶってカビが生え、それでもそこに残ってた。
そして向かうは、(パン!)虎の穴!
作家とライターを夢見る者に、門扉はひらかれた。(パンパン!)
しかし彼女はそこで知る。
同じ夢を持つクラスメート、ある一人の女子の文章に。
彼女は自分の文章が、あまりにつたないものと知る。
また別の女子と話をし、作家嶽本野ばらの本『タイマ』を貸したところ、
返ってきたときの感想は、
「なんか……過激だったね」
なんとも言いにくそうに言われ、流れるのはぎこちない空気。
本の感想は個人の感想。
さらには、クラスメートたちに、なじめないと失望する。
過去にいじめを受けていた、彼女には「教室」「クラスメート」に、
どうやら心の傷があり。
同じ夢を持つ人たちと、どうも自分は仲良くなれない。
詩を書く授業で講師から、
「もっと、思ってることを出して」
と言われ、それでもなかなか自分の書いた、詩にOKを出してはくれない。
そのうち詩を書くことじたい、やめてしまっていたのでした。
あれから彼女はプライベートで、ノートに詩を書かなくなった。
やがて、彼女は講座より、渋谷のライブへ行くように。
あのときの夢は思いは冷めて、教室を去って行ったのでした。
とある女子のおはなし(3)
いよいよ時は現在へ。(パン!)
2022年、6月のある日のことだった。(パン!)
応募したのは幻冬舎。あるコンテストに応募した。
なんとメールがやって来た。
しかしそれは、編集者からの講評と、自費出版をすすめる内容。
かつての記憶がよみがえる。
応募した原稿はただ、そのときの「応募したい」というただそれだけの。
なにより彼女にもう「夢」は、そこにはないのでございました。
あの原稿を出版する。
ネットで原稿送らにゃならず、わざわざ検索、調べてイチからやった。
でも内容は、人に読まれたいとは思わなかった。
それに彼女はそのときは、あまり心の状態が、
元気ではなく、ましてやもの書きなど、できるとは思えなかった。
残量少ないエネルギー。素人のただの趣味だったけど、それでもネットで公開すれば、読んだ人からの反応が、それはそれは嬉しかった!(パン!)
でも素人でも知っている。素人なりにわかってる。
文芸ひとつでお銭(あし)をもらい、生きていくのは修羅の道。(パン!)
文芸は、文に「芸」が無ければ。
本が少しも売れなければ、誰も読んではくれません。
さあ、彼女はいま、文章は、ただ楽しむものとなった。ただし、なりさがってはいない。
夢はすでに残骸と化し、「絶望しないためのもの」となり、彼女を照らす
別のものと相成った。(パパン!)
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ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
講談「風」です。
専門的な知識はありません。
張扇を使うタイミングも知らないので、効果音の(パン!)は、ここかな?と思ったところに入れています。