FastestVPNの日本サーバアドレスと提供元企業について

FastestVPNのサーバーアドレス一覧は表向き隠されてはいるが、接続マニュアルのページからこっそりリンクされている。

画像1

これによると、日本に置かれたVPNサーバは「jp.jumptoserver.com」で、AレコードのIPアドレスは「202.239.38.147」のひとつのみ。上流回線(収容データセンター)はIDCフロンティアで、EhostIDCが用意するサーバを利用しているようだ。

MaxMindのGeoIP2ではFukuoka(福岡北九州データセンター)と判定されるが、ping応答の早さを鑑みるにサーバは東京にあるようだ。DNS Checkerが提供する複数のジオロケ情報一括照会サービスでも軒並みTokyo判定となっているので間違いないだろう。

中でもIP2LocationのIP2Proxy Proxy Detection APIはこの回線がFastestVPNのものであることまで判定できている。

Spurもこの手のVPN判定に強いが、 なぜかFastestvpnとVpngate VPNに属する回線と判定された。Vpngate VPNは筑波大学のVPN Gate 学術実験プロジェクトのことと思われるが、誰かがVPN Gateのボランティアサーバ回線として使ったのだろうか?

FastestVPNはライフタイムプランが20ドルという破格で販売されているのが特徴。StackSocailであればクーポンを駆使することで更に安くなる。特価天国で紹介されているように自己アフィリエイトのキャンペーンによっては購入額を上回るキャッシュバックがもらえることもあり、キャッシュバックのおまけにVPN契約が付いてくるといった感覚。

ただし、速度は概ね30Mbps前後といったところで利用者はかなり詰め込まれている。この程度の速度であればProtonVPNの無料サーバでもいいのだが、ProtonVPNは時折不安定で、Webサイトからブロックされていることも多い。VPN回線をローテーションできると色々捗るため、手持ちのVPN契約は多いに越したことはない。

問題なのがFastestVPN運営者の素性である。彼らについての情報はほとんど開示されておらず、関連ドメインの登録情報もWhois情報公開代行が使用されている。WebサイトもCloudflareが使われているため、本当のホスティング所在地も分からない。ユーザーのプライバシーを守るだけでなく、事業者自身のプライバシーさえも強固に守っているようだ。

Wayback Machineで遡るとサービス開始当初の自己紹介で「Fastest Technology Limited」という企業名が出てくる。

FastestVPNは、ケイマン諸島を拠点とするITセキュリティコンサルティング会社であるFastest Technology Limitedの製品です。

タックスヘイブンで知られるケイマン諸島はイギリスの海外領土であるため、イギリス政府のWebサイトでFastest Technology Limitedの法人情報を確認することができた。

これによると従業員はほぼおらず、ロンドン在住中国籍のTao Liuという人物が仕切っているようだ。企業としての信用はゼロに等しく、SSL/TLSを使用しない接続では通信内容をVPNサーバに盗聴・改ざんされる覚悟で利用したい。