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FGO算数講座(1):スター発生率アップから学ぶパーセントポイント

スマートフォンゲーム「Fate/Grand Order」(以下、FGO)のクリティカルスターについて以前某所に寄稿した内容を数回に渡って供養する。

連載目次

FGO算数講座(1):スター発生率アップから学ぶパーセントポイント(本記事)
FGO算数講座(2):スター獲得の恩恵を数値化しよう
FGO算数講座(3):スター発生の恩恵を数値化しよう
FGO算数講座(4):コード:グリッター考察
FGO算数講座(5):スター最低保証に意味はあるのか?

スター発生率とは

FGOには「自身のスター発生率を20%アップする」といったテキストの効果が存在する。このテキストの意味するところを正しく理解できているだろうか。

冗談のような話だが、ゲーム中でスター発生率についての説明はない。これについては有志の解析により「攻撃1Hitでスター1個が発生する確率」であることが判明している。この確率は様々な要因によって0~300%の間で変動する。

スター発生率の計算例

元のスター発生率が「0%」「100%」「200%」の場合の3パターンを例にとって「自身のスター発生率を20%アップする」と攻撃1Hitあたりのスター発生数がいくらになるか考えてみよう。

一般に「20%アップ」は基準値への乗算であり、例題の答えはそれぞれ「0」「1.2」「2.4」となるように思われる。

0 + (0 * 0.2) = 0
1.0 + (1.0 * 0.2) = 1.2
2.0 + (2.0 * 0.2) = 2.4

しかし、FGOにおける「20%アップ」は基準値への加算であり、例題の答えはそれぞれ「0.2」「1.2」「2.2」となる。

0 + 0.2 = 0.2
1.0 + 0.2 = 1.2
2.0 + 0.2 = 2.2

つまり、Artsカードのような元々のスター発生率が0%のコマンドカードであっても、スター発生率アップの効果を付与すればスター獲得が可能となる。

パーセントポイントとは

このように同じ「20%アップ」でも乗算と加算で二通りの解釈ができてしまうのは混乱を招く。そこで、FGOのように百分率の増減を表す場合は「パーセントポイント」という単位を用いて「20%ポイントアップ」などと表現して区別する。

ポイント(ポイント差) percent point
パーセントで表された数字同士の差を表す単位。
しかし、「支持率が50%から10%増加して60%になった」などという表現は誤用である。50%から10%の増加であれば、 0.50 + (0.50×0.10) = 0.55 = 55%だからである。正しくは「支持率が50%から10パーセントポイント増加して60%になった」と表記する。なお、「パーセントポイント」は単に「ポイント」と言われることも多く、日本では「パーセントポイント」と言われることは稀である。

パーセントポイントは義務教育で教わらないにもかかわらず、ニュースでは当たり前のように使われる。と言っても専ら統計分野に限り、確率論や税率で使われることはないが、それでも基準値への加算を「~%アップ」と表現することはない。

例えば、2019年10月に消費税が8%から10%へ引き上げられることを指す表現の正誤は次のようになる。

○ 消費税が10%になる
× 消費税が125%になる
○ 消費税が1.25倍になる
× 消費税が2%アップする
○ 消費税が25%アップする
× 消費税が25ポイントアップする
○ 消費税が2ポイントアップする

税率としてはたった2%の差と思うかもしれないが、税収としては25%アップになるから、上から下への大騒ぎなのである。

知らないと恥を掻くので、ぜひ覚えておこう。

※本記事は2018年12月時点の情報を元に執筆されているため、現在の状況とは異なる場合があります。