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高齢化問題の調べ方【基本ノート】

【基本ノート】 シリーズでは、 社会問題に興味がない方 や、 関心があっても考え方や調べ方がわからない方 に向けて、 社会問題をわかりやすく、身近に 感じてもらえるよう説明します。

この記事では、高齢化問題について情報を集めたいとき、どこを調べればよいのか解説します。



高齢化の今を知るには

■ 一次データ・統計

重要な統計として、5年に1回行われる国勢調査の結果があります。
直近では令和2年に実施されました。
調査結果は膨大なデータとなりますが、高齢化は日本の主要課題ですから、「結果の要約」「結果の概要」でまとめられています。
統計局ホームページ/令和2年国勢調査/調査の結果 (stat.go.jp)

総務省統計局が月に1回発表する人口推計の結果もあります。
統計局ホームページ/人口推計 (stat.go.jp)

高齢化の主要な問題として、医療や介護をはじめとした社会保障の負担の増加が挙げられます。
この視点から見るデータとして、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が年に1回発表している社会保障費用統計があります。
社会保障費用統計|国立社会保障・人口問題研究所 (ipss.go.jp)

■ 高齢化の指標

ある社会の中で高齢者がどれくらい多いのかという指標として、次のようなものがあります。

  • 高齢化率:65歳以上の人口が総人口に占める割合

  • 老年扶養比率:65歳以上の人口を、15歳から64歳までの生産年齢人口で割ったもの。

よく用いられる指標は高齢化率です。

政策を知るには

■ 政府の方針

高齢社会対策基本法(平成7年法律第129号)によって理念と方針が定められています。その基本的施策は以下のとおりです。

  • 高齢者の就業と資産形成の支援

  • 健康の保持増進と、そのための医療・介護サービスの基盤整備

  • 生涯学習の機会の確保と社会参加の促進

  • 高齢者が自立できるまちづくり

このための特別の機関が内閣府に設置されました。それが高齢社会対策会議です。上記の基本的施策をどのように進めていくか、調査検討と政策決定が行われています。

また、年に1回、高齢化に関する報告書『高齢社会白書』が国会に提出されています。現在の高齢化の状況や、政策の実施の状況、これから講じようとする施策がまとめられています。
高齢社会白書について - 内閣府 (cao.go.jp)

■ 社会保障政策

高齢化によって負担が増大する社会保障政策の担当省庁は厚生労働省です。

提案を知るには

社会問題や経済問題などの調査を行い、政策の提言やビジネスによる解決策を提供する研究機関として、大学や「シンクタンク」があります。

高齢化は日本の大きな課題であるため、ほとんどのシンクタンクで研究結果の発表や政策提言が行われています。

■ 大学

東京大学 高齢社会総合研究機構(IOG)
日本のジェロントロジー(老年学)の研究拠点と言ってよいでしょう。
ジェントロジーとは、高齢者や高齢社会の諸課題を解決するために生まれた総合的学問です。
キーワードは「長寿」と「生きがい」。長生きしながら活躍し続けることができるような社会の実現を目指しています。
東京大学 高齢社会総合研究機構 (u-tokyo.ac.jp)

■ 政府系のシンクタンク

国立社会保障・人口問題研究所
厚生労働省のシンクタンクで、少子化・高齢化を含む人口問題を専門に扱っています。

■ 民間のシンクタンク

高齢化は日本の主要課題であるため、ほとんどのシンクタンクで取り組まれていると思われます。ここでは2つご紹介します。

日本総研
金融業界のシンクタンクです。
高齢化に伴う消費構造の変化は、金融市場や企業経営にとっても関心事であると考えられます。
近年は医療・介護サービスや、高齢者の健康・就労に関するレポートが多く見受けられます。

ニッセイ基礎研究所
保険業界のシンクタンクです。
高齢化は保険商品の設計やリスク管理に直接影響を与えるため、主要テーマの1つとなっていると考えられます。
高齢化問題(全般)の動向調査レポート|シンクタンクならニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp)

先に紹介した東京大学と連携して、ジェントロジーにも精力的に取り組んでいます。
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)の動向調査レポート|ニッセイ基礎研究所 (nli-research.co.jp)


参考

そもそも高齢化とは何か。
わかりやすく身近に感じてもらえるよう解説しました。
高齢化とは何か【基本ノート】|パブリックノート (note.com)

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