2年毎の法改正に伴うシステム改修とは?具体的なプロセスやレセコンならではの難しさについて
こんにちは!株式会社プレカルの木村です。
本日は、2年毎の法改正に伴うシステム改修について詳しくご紹介します。
・改修のプロセス
・注力ポイント
・今後の方針
についてお話しして参りますので、「システム改修のプロセスを知りたい方」や「アーキテクチャの設計に興味のある方」はぜひ最後までご覧ください。
そもそも2年毎の法改正とは?
まず、レセコンとは、薬局で使用される会計システムのことです。薬局では、病院から受け取った処方箋をレセコンに入力するのですが、ただ情報を入力するだけでなく、調剤の方法や患者さんへの指導内容などに応じて、適宜必要なコメントを追加したり、点数の加算を加えた入力を行います。
なので、同じ薬を処方された場合でも、加算によって患者さんごとに会計内容が異なることがあります。この加算や点数の付け方を決めているのが、診療報酬という制度です。診療報酬改定は、2年毎に行われるため、それに伴い、加算や点数の付け方、コメントの付与の仕方が変更される可能性があり、システム改修が必要になるというわけです。
ただ、2年毎の法改正とはいえ、最近は医療DXが注目されているため、その間にも細かい改正が何度も行われることがあります。また、大きな法改正が行われた場合、原則、3月末に決定されたものが、6月1日から施行されますが、改定内容に応じて10月1日から施行されることもあります。2年に1度の改正と言いつつも、実際にはシステムの改修が頻繁に必要となるというのが現状です。
改修のプロセス
改修のプロセスについては、国が公表したものに対して対応していくことがベースになります。
まず、診療報酬改正に関する議論が前の年の夏頃から国の委員会で始まります。この時期から、徐々に改正内容の概要がわかり、年末頃には大体の骨子案が出てくるようなイメージです。その段階で、私たちも情報をキャッチアップしながら「どう対応するか?」といった話をぼんやりと始めています。
その後、3月に正式発表された時点で、内容をしっかりと確認し、これまで考えていた対応策が改正内容に合っているかどうかをチェックするという流れです。しかし、3月に決まった内容を見ると、細かい部分で大幅な変更が必要になることも多く、システム的には大規模な改修が求められる場合もあります。
一方で、現場としてはほとんど変わりがないように感じることもあるので、結局は、すべての内容が正式に出てからでなければ、動き始めることができないというのが実情ですね。
注力ポイント
ー旧制度と新制度を常に共存させなければならない
改修を行う際、例えば6月1日に新しい制度が施行される場合、5月30日に処方箋を受け取り、調剤を行うこともあります。しかし、5月30日に1度受付を行った処方箋に対して、6月1日以降に薬局から病院への問い合わせが発生したり、患者さんからの問い合わせにより病院から「変更してほしい」といった依頼があった場合、5月30日時点の旧制度を使って受付内容の修正を行わなければなりません。
つまり、旧制度と新制度は常に共存できる状態でなければならず、データベースも含めて共存が必要なんです。そのため、アーキテクチャやデータベースの設計を慎重に考え抜かなければならないのは、注力ポイントの一つですね。
細かい部分ですが、同じAPIコントローラーを使いながら、サービス自体を別々に分けるか、もしくは既存のものに期間を指定して修正を加えるかといった方針を細かく決める必要があります。一度走らせてしまうと、後から戻ってリファクタリングするのもかなり大変なので、今後の改修を見据えた実装方針をあらかじめしっかりと考えておく必要があり、難しい部分だと感じます。
ー毎月更新されるデータベースの管理
次に、データベースの管理についても注力すべきポイントがあります。例えば、医薬品のデータベースは毎月、新しい薬が登場したり、薬の値段が変更されたり、ある薬が廃止されたりといった情報が更新されます。
これらのデータベースを全部購入して利用しているのですが、1つのテーブルだけでなく、それに引っ張られて複数のテーブルが毎月変更されるため、メンテナンスが非常に大変です。
現状は、このメンテナンスをまだ自動化ができておらず、今後注力していきたいと考えています。データベース自体を購入先からダウンロードしてくる作業など、人手が必要な部分を完全に自動化するのは難しいですが、少なくともエンジニアが直接手を加えなくても、他のメンバーが作業できるような体制を整えたいですね。
今後の方針
ーリファクタリングの徹底
今までと変わらない部分でもありますが、法改正に対応できるように、テストコードをしっかりと整備し、バグが発生したらその都度テストコードを追加するなど、厳密に対応していきたいと考えています。また、これまでは、実装スピードを優先し、コードを軽視してしまった時期もありました。そういった部分のリファクタリングも徹底して行いたい部分ですね。
ー入力代行システムとの連携
既存の入力代行プロダクトとの連携にも注力し、ユーザー体験を向上させていきたいと考えています。連携するにあたって、入力代行側も法改正の影響を受けるので、双方が足並みを揃えて対応していくことが重要になると思います。