PMと事業責任者が一体となって価値を作る。note pro開発チームが実践する、ビジネスサイドとの理想的な連携
プロダクトの成長において、連携が欠かせないPM(プロダクトマネージャー)とビジネスサイド。しかし、事業やプロダクトによって連携方法はさまざまです。
法人向け高機能サービス「note pro」のプロダクト開発は、開発サイドのPMとビジネスサイドの事業責任者が、事業戦略の策定から実行まで一体となって取り組み、顧客の声をすばやく開発に取り入れる体制なのが特徴。
この記事では、note proのPMである石坂優太さんと、事業責任者の半田美幸さんに、PMとビジネスサイドの連携、プロダクト開発プロセス、顧客とのコミュニケーション方法などを伺いました。
note proにおけるPMと事業責任者の役割とは
──お二人はnote proでどのような役割を担っていますか?
石坂 私はおもに法人が利用する、toB向けのサービス「note pro」のプロダクトマネジメントを担当しています。
具体的には、事業責任者の半田さんと一緒にnote proの方向性や成長戦略を策定し、それに基づいて「何を、いつまでに、どのように作るのか」というプロダクトロードマップを引いています。ロードマップを実際の企画に落とし込み、開発を進めていくプロダクトマネジメント全般を担うのが私の役割です。
石坂優太/プロダクトマネージャー
新卒でパイオニアに入社し、カーナビ開発のソフトウェアエンジニアとして従事。その後、ビズリーチ、リテールテック領域のスタートアップを経て、2019年5月にnoteに入社。当初はエンジニアとしてサービス開発に携わり、2021年4月よりプロダクトマネージャーを担当
半田 私はBtoB事業部のグループ長として事業部を管轄するとともに、note proの事業責任者という立ち位置になります。note proのビジネス面、つまりマーケティングやセールス、カスタマーサクセス、商品企画、事業開発などをマネジメントしながら、事業戦略の策定から現場への落とし込みまでを担当しています。
note proのミッションは「法人のビジネス成果に貢献する」。法人が持つストーリーや想いをコンテンツ化して発信することで、商品やサービスの裏側にある目に見えない深い価値を消費者や採用候補者に届け、目標や成果にしていくことを目指しています。
半田美幸/B2B事業グループ長
新卒でWeb制作会社に入社。その後、株式会社LIFULLでプランナーやマーケティング、新規事業の経験を積み、2020年にnoteに入社。現在はBtoB事業グループ長として、noteの法人向け高機能サービス「note pro」の事業責任者を務める
しっかり連携して、開発サイクルをすばやく回す
──PMとビジネスサイドでは、具体的にどのようなコミュニケーションの場を設けていますか?
石坂 ビジネスサイドとPMなどが参加し、プロダクトの方向性や開発する機能を検討する「ディスカバリーミーティング」を毎週開催しています。
また、事業戦略を議論するミーティングを週に2時間以上は確保していますね。これらのミーティングは、情報を得たい人は誰でも自由にアクセスできるようにしているんですよ。
半田 ビジネスサイドでは週次で事業の振り返りをする定例会「ウィークリービジネスレビュー(WBR)」を設けています。ここにPMや開発メンバーも入ってもらって、事業の状況を共有しているんです。プロダクトをビジネス全体の文脈に位置づけ、一体となって議論するのが特徴で、プロダクト開発からの目線だけでなく、事業から見たプロダクトのレビューも重視しています。
──どのようなことを意識して連携していますか?
石坂 ビジネスサイドが戦略を決めてPMがプロジェクトを進めるのではなく、戦略から実行、検証までを一緒に議論し、スピーディーに進めることを意識しています。分業するのではなく、ひとつの組織体のように連携することで、すばやく開発サイクルを回せると思うからです。
現在のnote proは第二次創業期の真っ只中にあり、ターゲットや提供価値を新たに創造していく必要があります。つまり、どのような価値を誰に提供すれば事業が成長するのかを探る必要があるフェーズで、事業戦略がより重要になっているんです。そのため、事業戦略についてPMとビジネスサイドが積極的にディスカッションしながら進めているのが特徴ですね。
半田 プロダクトの開発方針を決めるさいも、ビジネスサイドの意見を取り入れる場を設けています。事業戦略に合わせてプロダクトをどう進化させていくか、優先順位の付け方や顧客への伝え方などをともに考えることで、両者の連携を深めています。
──PMはビジネスサイドとの連携を深めることで、どのようなメリットがあるのでしょう?
石坂 課題を解決できる速度が上がります。お客さまからのフィードバックやニーズの高い要望を迅速に集められるので、目指すべき開発内容の解像度が上がり、プロダクトの質が向上するのがメリットですね。
顧客の声に耳を傾け、プロダクト開発に活かす
──PMとして、プロダクト開発の現場で大切にしていることを教えてください。
石坂 お客さまの声に耳を傾け、そのフィードバックをすぐに開発に取り入れることを大切にしています。具体的には、ユーザーインタビューなどを通じて、実際に使う人の意見を聞き、課題発見や機能改善に活かすなどです。
また、新機能や機能改善したあとのユーザーの行動データを分析し、定量的な評価を行うことも重視していますね。仮説検証サイクルを高速で回し、エビデンスベースで開発を進めることを心がけています。
──石坂さんから見て、BtoBのプロダクト開発で特に重要なポイントは何でしょうか?
石坂 BtoBのプロダクト開発の特徴は、お客さまとの距離が近く、密度の濃い接点を持ちやすいこと。お客さまの業務の解像度を上げて、そこにアジャストして作っていくことが大切です。課題を発見し解決方法を考えるフェーズでは、お客さまとのコミュニケーションを大事にしています。
──お客さまとコミュニケーションを取る具体的な取り組みを教えてください。
石坂 直接的なコミュニケーションの例としては、新機能をリリースするさいに、カスタマーサクセスと顧客との打ち合わせに同席してお客さまに機能の説明をします。また、お客さまに新機能のフィードバックやアイデアをもらうコミュニティもあるんですよ。
直接コミュニケーションを取らない場合でも、WBRで、カスタマーサクセスから顧客の声をもらっています。セールスのメンバーに商談の背景などをメモしてもらい、それをプロダクト開発チームで共有することもあるんです。
半田 他にも、Slackのワークフローを使って、ビジネスサイドがお客さまの声を入力すると、すぐにプロダクトチームがチェックできる仕組みがあります。こうした取り組みを通じて、お客さまの声をすばやく開発に活かせる体制を作っているんです。
──新しい機能をお客さまに伝えるさいのポイントは?
石坂 単に機能の説明をするだけでなく、その機能がお客さまの課題解決にどうつながるのか、コンセプトをしっかり伝えるよう心がけています。「機能のラインナップが増えました」という情報提供よりも、その機能が、情報発信を成果に変えるためにどう貢献するのかを訴求することが大事ですね。
半田 WBRなどの会議には、開発サイドが開発の趣旨を説明する枠があります。その説明を聞くことで、機能の価値を全員が共通言語で話せるように足並みをそろえています。
石坂 お客さまに価値まで伝えられるようになると、単なる機能へのフィードバックではなく、noteのコンセプトに対する評価や、ビジネス成果への貢献度合いについて、意見が得られるようになってきますよね。
私たちが本当に知りたいのは、提供するプロダクトがお客さまのビジネスにどれだけインパクトを与えているか。そういった視点でのフィードバックを引き出せるよう、伝え方を工夫しているところです。
事業戦略の上流から価値づくりに貢献できるのが、note proのPMの魅力
──note proのPMであることの魅力は何ですか?
石坂 PMのスキルとやる気次第で自分の担当範囲を広げ、note proの価値づくりという重要な課題に貢献できるのが大きな魅力ですね。積極性は現在のnote proで求められていることでもあり、PMにとってやりがいのある環境だと言えます。
──半田さんから見て、note proのプロダクト開発チームはどのような特徴がありますか?
半田 ビジネスサイドとフラットに議論ができるのが特徴ではないでしょうか。SaaSの事業ではビジネスサイドと開発サイドが対立構造になりがちですが、noteではお互いの立場を尊重しながら、あるべき姿について建設的な議論ができています。
プロダクト開発チームのメンバーは、単に売上目標の達成だけでなく、顧客価値の向上により興味を持っている印象です。もちろんバランスは大事ですが、中長期的な視点でお客さまにとって本当に価値のあるものを追求する姿勢は、プロダクト開発において非常に重要だと思います。
──最後に読者へのメッセージをお願いします。
石坂 note proは、BtoBのプロダクトでありながら、BtoCの視点も取り入れられる、チャレンジングでおもしろい環境です。ユーザーの創作活動を支援するという大きなミッションに向かって、ビジネスサイドと一体となってプロダクトを磨き上げていくところに、やりがいを感じています。
また、noteはプラットフォームサービスなので、提供価値の設計の幅が広いのも魅力ですね。業務効率化だけでなく、プラットフォーム上の人と人とのつながりから新たな価値を生み出せるのではないでしょうか。
事業の成長フェーズに合わせて、戦略や開発プロセス自体も柔軟に変化させていくスピード感は、とてもエキサイティングです。0→1という非常におもしろいチャレンジを経験していると実感しています。
——ありがとうございました。
note proに少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお気軽にお話しましょう!