広東省の日本人と上海の日本人の違い
前回、汕頭と上海の違いをつらつらと書きましたが、上海に来て暮らして、上海で働く日本人のフォロワーさんに会ったりして思ったこと。
広東組と空気感…違うぞ?
上海組は上品
オフ会で集まっても、見た限りだとみんな節度あるマナーでビジネスライクのような話し口の人が多い印象。名刺交換したり。初対面でなく何度か会ってる方々のはずなのに、ちゃんとした大人で。
一方広東組は集まった時に、うんこ漏らした時の話とかゲラゲラしてた。同じ在中日本人なのに。どうしてこうなった。
『広東省の日本人は掃き溜めみたい』
おい言い方。この前上海の某フォロワーさんがこう表現していた。ただ、言いたいことは分からんでもない。
上海の人らが広東組のことを、「Twitter上で怒っていたり文句ばっかり言っていて、なんでそんなにイラついてるの?? ネガティブなこと言わなければいいのに…。(要約) 」と思っている節があるのが最近上海に来てわかった。
Twitter上では広東組は荒いと思われている。
ちょ…ちょっと待って!!! そこにはちゃんと理由がある!!!
上海で働く日本人の特徴
まず上海にいる日本人は、現地採用よりも日本の会社の駐在員が俄然多い。中国で一番大都市だかんね。中国内で上海だけに支社があるとこも多い。
そうなると、上海でしか暮らしたことが無いんですよね。会社によっては中国国内の他の場所に出張ある人もいるとは思うけど、ずっと上海のみの人も多いはず。
ハッキリ言いますが、上海はめちゃくちゃヌルゲーです。
日本から海外に駐在する時、世界一楽な都市だと思う。
日本のものは手に入りやすいし、日本料理屋も充実しているし、英語だけでなく日本語でなんとかなる確率も高いし、日本に帰るのも東京2時間40分。福岡なら2時間切る。
中国特有のネットの不自由さとか政治的心配要素とかは拭えないけど、アフリカ駐在の人とかと比べると全然上。そして、そのありがたみに気づいていない人が多い。
で、上海でしか暮らした/働いたことない人は、外がそういう環境ではないことを知らない。初の海外駐在が上海だったら尚更だと思う。
広東で働く日本人の特徴
上海は高層ビルがツンツン建っているところでキレイなオフィスでコーヒー飲みながら仕事していますが、広東の日系会社は工場系が多いです。汚い工場で茶渋だらけの椀で中国茶飲んで、和式便所でうんこしてます。
生活環境もなんだけど、何が一番違うかというと…。これもハッキリ言うけど、
中国人のレベルの差。
日本の場合でも工場系の社員は、オフィスワーカーと比べてあまりインテリに見られない場合が多いけど、中国のそれは日本以上に開きがあって。日本人的には考えられないようなモラルの無さだったり、考えの及ばなさだったりのアホ事案に日々直面する。
私は汕頭では工場勤務ではなかったけど、それでもマジかよとなることが日々あった。(※日本ってかなり教育が成功してると思うんだけど、都市部と地方でもモラルや学力の開きがほとんど無い。海外行くとそれに気づく。ただ、全体のアベレージは高いけども、突出した天才はなかなか出ない環境な気が。)
で、そんな中国人達を日々相手にしているわけで。広東省で何人かの日本人に会ったけど、一見穏やかな人も工場では怒鳴っていたりとか、人がそうなってしまう環境。そういう人も、日本では怒鳴ってなかったと思うよ。
広東省は罰則で成り立っている
そんな広東省中国人ワーカーを管理するのは、性悪説に基づく罰則。私も上海の会社で一般的にどうなってるのか、自分の会社以外はまだわかんないんだけど…。
私がいた汕頭では、1分遅刻ごとに罰金10元、やたら多い監視カメラは機密情報管理のためではなく、サボり監視のためだった。
今いる上海の会社は日系でもなく小さいオフィスだけど、出退勤のタイムカードが存在しない。規定の出勤時間に来て定時に帰る人もいるし、30分くらい遅く来るけど定時後それ以上に残業してる人とか、自分で管理しているかんじ。遅刻の罰金の話を上海人同僚にしたらとてもビックリしていた。
上海で働く中国人はかなりまとも
私が汕頭に来た時、一番日本の社員と違うと思ったのが『自分の頭で考えられない』というところ。指示を待っていて、それが無いと動けない。そのせいで、いやそれ私の方が専門外だろってことでも仕方なくこっちが考えて指示することが多かった。
本当に、中国の工場で大量の工員が作業するあれ…。そんな人でもあれならできるし、あれくらいしかできない。
ただ、汕頭で一番大きい日系会社で育った汕頭人は、日本に研修に行っていたこともあり、かなり日本人の考えややり方に近くて自分から改善点を提示できる人だった。だから過ごす『場』が本当に大事。
一方、上海の中国人は自分で考えて行動できる。偉い人だけでなく下もみんながそうできる印象で、自律できてる具合が日本に近い。つっても上海でもレベルは日本以下だとは思うけど、広東を経験すると「すげーちゃんとしてる!」って小さなことにも感動する。
ゆえに、
この広東、上海、それぞれの仕事の環境で働き続けるとどうなるでしょうか。ね?
上海の某人が以前、「広東省の工場で働く日本人の方が上海より給料高いと思う」ってことを言っていたけど、「そらそーだ」と上海に来て思う。
そして別の広東の某人は、「駐在の給与は『僻地に来てもらってごめんなさい代』」とも言っていた。
仮に上海の日本人が広東省に来た場合、「メンタルが死ぬ」か「ブチ切れワーカー」になるかの二択になる気がする。転生モノ。
上海のまま上品キープはできない。過酷な環境で己を保つためには、精神の強靭さ、そしてそれを鼓舞するための武器と鎧が必要なのです。
「上海→広東省」も「広東省→上海」も勤務先変化としてはあまり無いパターンだろうけど、広東省から上海に来て両方知った私は、上海はこんなにもまともなのか…と感銘を受けている。そしてこのnoteを書いている。上海の人間は…こんなに恵まれた環境で…! クソッ!
やっぱ、上海駐在が決定した日本人は、上海赴任前に1ヶ月三線都市勤務を義務化すべきだと思うんだよ。絶対強くなるぞ。
上海の人はこれ読んで、「俺だって苦労してるのに! 軽く見ないでほしい!」ってなってる人もいると思いますが、中国の地方に旅行した時のイライラ事案を思い出してみてください。広東はああいうのが毎日あるかんじです。別にあなたがダメなわけじゃないんだ。広東省の環境が上海と違いすぎるんだ。
だから、広東省もとい上海の外の日本人のあれこれは、苦労してるんだなと思って優しくしてあげてください。広東省の工場で日本人おじちゃん達は頑張ってるんだよ…。
あなたが広東省に行った時に、私の言っている意味が理解できることを祈ります。
私は広東組の気質好きですよ。上海組もスカしてないで荒くなっちゃえばいいのにと思っている。荒れろ。