日本に行くペーペー中国人をアテンドする側になって ~黎明編~
朝。社長らと日本で初めて会う。まずは朝ごはんから。近くにあったゆで太郎へ。
朝ごはんから既に始まる
みんな、お冷を「冷たい…。」と言い出す。そう、中国は夏だろうと冷たい水ではなく、出るなら常温の水か熱いお茶。冷たい飲み物は体に良くないとされている。でも、お湯よりも冷たい水の方が水分吸収早いらしいよ。
昨夜空港でICカードを買うのもできていないので、今日は非IC移動。午前はタクシーを道で拾って客先へ。中国でうちらの住むとこは、流しのタクシーというものがいないです。DIDIのシェアライドをアプリで呼ぶのが基本。
タクシーの支払い、AlipayとWeChatPay対応してるんですね。これは中国人に優しい。ただし、外国人は中国外では使えない。
客先からの戻りではなかなかタクシーが拾えず、日本のDIDIアプリを入れてみました。(中国のアプリは中国以外では基本使えないし、海外のアプリもまた中国では基本使えない)
同じDIDIでも画面は中国のと結構違う。運転手さんに話を訊くと、やはり中国人はDIDI、日本人はGOアプリが多く、DIDIはタクシー登録台数がGOに比べて少ないと。そしてコロナの影響でタクシーが減っていて、辞めた人は定年で戻ってこないのに、若い人はやりたがらないそう。
やっときたきたICカード
午後。大手町の窓口へPASMO PASSPORTを買いに。
そこまでの地下鉄移動は、私が運賃表を見て券売機操作して上司がお金を入れるだけのパトロンシステムに。弊市は地下鉄が無くてこういうの慣れてないのと、上司は方向音痴なので、もう私が全部やる。
ご存知の通り、東京駅周りは地下が広い。一度社長と営業がはぐれて、wechatでそのはぐれ地点からの風景写真だけが無言で送られてきた。近くにいたけど人多いから見失ったよう。アリアドネの糸のようにするすると正解の道を進む私。
社長「道がわからない」
私「私もわからないですよ。でもほら、表示があるでしょう。あの紫の丸(半蔵門線)の矢印に行きます」
と、毎度行く路線の名前ではなく、色を覚えさせた。この色別システムは優れたデザインだよね。したら理解したようで。日本は道の分岐点で、ちゃんと次の表示を出してくれるので優しいと思う。
そして窓口へ。
柄はこれ一択です。やっと初期装備を揃えた気分…。
返金不可なことを伝えると不満げだったけど、買い物でも使えますと伝えた。仮に買い物できなくても、いちいち切符買うより絶対こっちの方がいい。あと、深圳の地下鉄カードより早いです!と自慢しておいた。
夜ごはんでも中国が出る
仕事後、お客さんがごはんに誘ってくれた。
上司「今日忙しいなら来週でもいいですよ?」
私「日本のサラリーマンは、金曜日の夜はお酒を飲みに行きたいんです」
そして居酒屋へ。社長は下戸。上司は飲めるけどダイエット中で控えている。営業は飲まない。
元々、うちの地域は中国の中でも酒をあまり飲まない方のエリア。私は遠慮なく飲みます。中国いる時は店に酎ハイが無いので、日本でとりあえずビールではなくとりあえず酎ハイ、の習慣ができてきた。
無理やり席を仕切って部屋にしたような、サイゼリアのボックスシートくらいの個室で。後で「あれは狭かったあ〜」と上司に何度か言われた。ホテル決めるのもだったけど、上司は日本に住みたくない理由も「家が狭い」が最初に来る。
食事は、社長と営業はナマモノがダメ。上司は刺身も生卵もいける。特に営業が汕頭人なので、食のOKゾーンが狭い。汕頭の外では「食べれなくはないです」「まあまあです」が基本で、「美味しい」と全然言わないので私はいつもハラハラしている。あんまりにも私が大丈夫か訊くからか、たまに「美味しい」っていうけど多分嘘だと思う。
上司が、みんなに紙ナプキンを一枚ずつ配り始めて、キョトンとするお客さんら。私だけが理解して笑ってしまった。
中国は日本のようにおしぼりは無くて、食事中に手、食後に口を拭くため、紙ナプキンやティッシュを使うんですよね。その場に無ければ、持ってる人が自然と一枚ずつ配ったり。それ。
雑居ビルの居酒屋だったので、帰りのエレベーターがぎゅうっと人がいっぱいで。客先は大阪人で、エレベーターのドア近くの人が何か話していたことに対して反応して話していた。(なかなかエレベーター来なかったなー、と言ったら、週末だから人が多いねんなーとかそんな軽いかんじ) したらその人が、「このみんなでこれから飲みにいっちゃおっかあー!!」と冗談を言って、エレベーター内がドッと笑いに包まれた。社長はそれがすごく印象的だったようで、その後何度かこの時の話をしてた。私も「あれはすごく珍しいことです」「お客さんが大阪人なことも関係しています」と、大阪人の人との距離感などを補足した。
翌日もメシは鬼門
今日は客先訪問も無いし、ファミレスにしてみよう。スタンダードな店をとりあえず認識してもらう。今後も日本に来た時に使えるように。
上司「今回のために財布買ったよー 小銭いっぱいだよー」と並べだす。
先述の通り、中国はQR決済で現金持ち歩かないのが普通の世界。財布なしで暮らせる。そんな日常の人が現金を使う生活に入るとどうなるのか、という結果が見れた。そうか、小銭を貯めない支払いができないのか…。
ファミレスは、昨日の居酒屋より広くていいと言われた。ここの天井が高いのも圧迫感が無くて良かったみたい。そしてファミレスにはお湯がある。ドリンクバーでずっと仕事ができる場所でもあることも教えておいた。
社長の安牌はカツ丼らしい。あと、どうやら米原理主義派。上司はダイエット中につき、基本サラダ。中国の人ってサラダあんま食べないのに。
昨日、お客さんが現場の生産管理について『現場で対処できる人だけではなく、現場前の初期段階で知見を持つ人が必要』との話を、『コックが料理する以前に栄養士が栄養バランスを考える』と、上手いことわかりやすく例えていて。
上司「昨日の話はわかりやすかったです。中国は栄養士はあまりいないです。ダイエットして、栄養バランスを考えるのが大事だとわかりました。」
ひとりだけ違う響き方してる…。
夜。食事は、現在地から近くてレストランがありそうなあたりに誘導するけど、私より許容範囲が狭いのでまずは希望は任せている。上司の安牌はどうやら韓国料理みたい。中国の方でも馴染みがあるんでしょうね。が、社長がもつ鍋の名前を見つけて、「もつ鍋がいい!九州で食べた時美味しかった!」と。私も好きだけど、2人がどうか…。社長はすぐ疲れて座りたいからわがままを言い、上司はダイエット中だから食べないといい、営業は特に反対はしないけど口に合うか私が心配…というのが毎度のパターンになった。
私はちゃんと毎晩、食事の際にひとりだけビールを飲んでいます。もつ鍋、美味しいんだけど、営業には脂っこすぎたみたい。
私が会った汕頭人の食の特徴として、
・薄味 汁物は特に日本より薄味
・辛いの苦手 (韓国料理のチョイスは…?)
・他地域の食を受け入れない人が多い 国内でも特にそれが強い地域らしい
・漬けの刺身が地域の特色料理であるのに、生魚食べれない人が多い あんたらのやぞ…。
・好き嫌いある人多い
「中国人は四つ足のものは椅子以外なんでも食べる」ってあれ、大嘘よ。私の方が全然なんでも食べる。日本人は国内でも色んな他の国の料理あるし、食への探究心みたいなのが強い方なのかもしれない。島国だから、よそからの新しい文化が入ってくることへの興味が強いDNAなのかも?
また文章が多くなってきたので、次回へ…。