シレーヌの日記5
私はシレーヌ。
今日は何か変な気分。
いつものように太陽の光で目を覚ましたわ。
でも、体がだるい - 。
うまく動かせないわ。
動かす - 。
何を考えているのかしら。
私は木。
動くことなんて - 。
手が動いた。
指も。
これは - 。
そう、私は人間の姿に戻っていたの。
もう、日を数えることもやめてしまっていた。
今日が魔法の代償から解放される日だった。
しばらくして体を動かす感覚を取り戻した私。
なんとか歩くことができた。
そして、ロミオの家の窓で自分の姿を確認したわ。
人間。そこにいたのは人間だった。
これは、誰なのかしら。
私はわからなかった。
その姿はあの日から
猫になったあの日から、30年経った私の姿だった。
それを教えてくれたのは、おばあさんだった。
魔法の力を使う時、いつも現れていたおばあさん。
私はようやく人間の姿になれたことが嬉しかった。
私の記憶している姿ではないけれど
面影は残っている気がする。
今日は人生最良の日 - 。
そう思えるくらい嬉しくて、私は自然と泣いていたわ。
そして、おばあさんは私に語りかけた。
真実を話す、と。
あの日の真実を - 。
つづく。