DesperaDrops 最高だったよを伝えたい感想
発売直後に評判の良さを耳にして手に取ったら大大大大正解、最高のお金の使い方としてデスペラドロップス購入をおすすめするべく今回感想を書きました。
ネタバレ無しの簡単な感想
あらすじ
留学中の旅先で冤罪を着せられ、犯罪者6人と逃亡することになった主人公。これからどうなっちゃうの~!?
プレイ時間
32時間(全EDコンプ&全DLC読了)
システム
一度でもエンディングをクリアすればミッションをスキップできるようになったので最高
おすすめ攻略順
なし!真相から近い遠いはありますが、それぞれ他ルートのネタバレになるような要素は取り除かれています
簡単な感想
プレイして30分ほどの印象は、昨今流行りの一般読み物系ゲームをよく分析されているなというものでした。去年話題になったパラノマサイトでも感じましたが、展開が早いのでプレイヤーに先を予測する時間を与えないんですよね。そのスピーディーさは純粋に気持ち良いですし、物語に引き込む手法でもあります。共通ルートも進むほどにダレてしまうところもありますが、そこは攻略キャラ個別イベントを入れることで上手く緩急をつけています。正直そこは乙女ゲーム初心者向けでもあると思います。玄人には共通ルートの長さが気になる程度には冗長だと思います。私はおもしろ読みものゲーなら何でも良いので共通ルートも楽しめました。
キャラクター個別ルートもよくよく丁寧に作られていて最高でした。乙女ゲームでの楽しみ方の一つに予想だにできなかった男に沼るというものがあると思うのですが、私にとってのハミエルがそれでした。好きになりやすいタイプの男は真面目・童貞・儚げ(実情は全く儚くない)の3点なのですが、ハミエルは真逆ですらある。
本音が見えない・軟派・存在感がある(実際は……?)←もうね、本当に全く趣味ではないのですが全EDを見た後でもハミエルのことを考えています。それには主人公であるミカの存在が大きすぎる。
みなさんには乙女ゲームで大切にしている要素はありますか?私は主人公と攻略キャラたちの心のやりとりです。辛い過去、乗り越えられない壁、展望を抱けない未来。それらは恋愛ゲームにおいてアクセントでしかないはずです。主人公と攻略キャラたちがどのように心を寄せて、どれほど互いを大切に想い合っているのか。そこに焦点を置いているといいますか、そこが丁寧な作品を好きになりやすいです。本作は全ルートがその条件を満たしており、推しカプこそハミエルとミカですが正直どのルートも最高でした。
ネタバレありの感想
以下ネタバレしているので気をつけてください。ネタバレを見ても楽しめるタイプのゲームではありますがサスペンス要素を売りにしている以上、主人公とキャラたちとともに展開に翻弄されながらプレイしたほうが絶対に楽しめます。
キャラ別感想
アッシュ
共通ルート9章分岐イベントでの「ミカがいなくなるのは嫌だ」とミカを抱きしめるアッシュ……。それに"まるで愛の告白のように囁かれて"なお『アッシュさんは誰かと長く過ごした経験がないから』『それは愛情ではなく、』と独白するも何も語らなかったミカ、本当によかった。爆萌しました。DLCで一番萌えて感情をもてあまして家の中をうろうろせざるをおえなくなったのもアッシュDLCでの「はい。アッシュ、結婚しましょう」だったので、アッシュ√でのミカ、よすぎる。包容力がありすぎる。
個別√に入るころには皆ミカのことが好きでたまらなくなっているわけだが、アッシュも例外ではなく、声色が優しくて優しくて優しくて、他√のぶっきらぼうなアッシュを見る度に、それでも好きな女の前だとあんな声でるんだからなあ…という謎感慨にひたりました。
アッシュとミカは似た者同士で、お互い自信がないから自分を大切にできなくて、自己評価の低さから誰かを傷つけてしまうこともある。そんな二人が寄り添うように側にいるのは良いものである。
ハミエル
私にとってのダークホース。乙女ゲームは主人公と攻略キャラが絡むことによる化学変化を楽しむところもある。
X(旧Twitter)でも頻繁に書いているので本当に申し訳ないけど、ハミエル√はミカの独白がとても良すぎるのだ。『甘やかす笑顔を浮かべるのは多分――甘えたいからだ』『ぬくもりを求めているような仕草だった。伏せられたいた眼差しが、甘えるように私に向く』、全てハミエルを指している。ハミエルはミカに甘えたいとは一切口にしないし、むしろ頼ってほしい・守りたいということを伝える。落ち込むミカを励ますようにわしゃわしゃと頭を撫で、泣く彼女に胸を貸し、そんな瞬間にも彼は甘えたいのだ。包容力のある優しい男性であると同時に、誰かが隣りにいる心地よさを知ってしまい、離れがたくなってしまった寂しがり屋であるのだ。そんな彼を甘やかせるのもミカだけ。ハミエル×ミカすごすぎ。
ミカが「ハミエルさんは、勘違いしているんです。たまたま、私が傍にいたから……でもきっと、それだけです」と伝えたときに「たまたまそこにいた奴を、好きになっちゃいけないのか?」「お前だけなんだよ、そこにいてくれたのは。俺がどうしようもないクズ野郎だって知ってて、それでもそこにいてくれたのは……っ!」と感情を露わにするのですが、ほんとそれなと指さしちゃうよ。人を好きになることに理由やきっかけなんて無くても良い、現代的な価値観です。このゲームはよくよく時流をみているよなあ。
DLCも両親に憧れてミカとお揃いの指輪を作り渡すハミエル、よかった。温泉宿でミカに好き好き言われたくてねだる(誇張なし)するところもね、よかったです。ダークホースでした。
ジブ
DLCを読んだら全部ふっとびました。ジブ×ミカ好きでDLCを読まないのは損しています。読んでください。ジブが可愛い可愛いと褒めて、好きや愛しているとは言われ慣れているが(!?)可愛いは新鮮だな……と照れるミカがいます。
ジブ√はミカが年の差なんて気にしない!と押せ押せになっていくところにジブ共々たじたじになるわけだが、ジブがそれを受け入れたときの『私よりずっと年上の恋人は、普段不慣れで、生真面目で、不器用なのにこんな時ばっかり私の主導権を握ってしまう』で、ずるいわけ。久しぶりに女性とこんな関係になったと緊張していたジブ、どこへいった。
このゲームはだいたいの攻略キャラがトラウマレベルの過去を持っているため、その鎖の重さを競わせる気はないのだが、ジブもまあまあ酷いものだった。それであのバッドエンドは人の心がない。
ジブ√で楽しそうにしているハミエルとラミーをみて、人生は恋の力で過去を乗り越えるばかりではないなあと思い、現代的なゲームだと感嘆しつつもふたりともミカに救われてほしいが!?の二律背反に陥った。
ラミー
個別ルート前半でミカに投げたかけた言葉のすべてが彼の呪いから来ていたことが判明し背筋が凍るような√でしたね!「ボク、甘え方、わかんないもん」「ボクがキミを守るから。……キミはボクの罪を叱る人でいてほしいんだ」←全部伏線回収されるの怖すぎる。でも罪を叱る人~は終盤にも復讐に囚われかけるラミーに「自分の中の、大切なものを踏みにじって取り戻すほどの価値なんて絶対にない!」と必死で伝えるミカに繋がるので、本当によくできているシナリオです。全容が中々露わにはならないので最もサスペンス感のある√であった。
「やっぱり……キミが好きみたいだから」『引き返せない罪を犯したように、彼は囁いた』←ネオロマンスのキャラクター?
私は甘えたい男よりも甘やかしたい男(甘え方がわからない男)を好きになる傾向があるため、とりあえず甘えている感を出すためにミカのスカートの裾を掴むラミーにはとても萌えさせていただいたが、ラミーを好きになるってそういうことじゃないんだ。余談ですが、ハミエルはミカに最初に甘えたんだろうと思われるシーンでは背中にもたれかかって座りました。甘えん坊レベルが高い。
ラミー√にあまり言及したくないかも。万が一未プレイでこれを読んでいる奇特な方がいたら今すぐ買ってこのルートに振り回されてください。
DLCの「ボク……、ミカと一緒にいるとさ。なんか、喉が渇くっていうか……たまに変な、感覚になるんだ」「これが何なのか……まだ、知るのは怖い気がする。でも……ミカが好きだって気持ちが一緒にあるから、怖いものじゃないって思っているんだ」これ、情欲の伝え方がおしゃれすぎる。自ジャンルでのお前に愛を注ぎ込みたいの直球さを愛しているが、うちはうち、よそはよそである。
カミュ(愛の地球戦士)
カミュがタキシードを着て現れた時の気品に立花慎之介ってそういうこと……になった。感動した。やんごとない身分の人の声をやらせたい筆頭声優(私調べ)だから。
ですがカミュはおもしれ~オタク。としてアイデンティティを確立し、本人もそれを望み、仲間たちもそれを受け入れ、現代的な価値観のゲームだと感動しました。カミュが家督を引き継ぐ選択をしたのもそう。今の世の中は己の役割りを自覚して責任をはたそうという流れがあり、13年前に発売された自ジャンルではA4用紙一枚に人生を定められた御曹司がアイドルになったが、今はそんなシナリオにならないんだろうなと寂しくなったりした。
カミュ√をやり、きっとライターの先生は第三帝国あたりに興味がある人なんだろうなと勝手に共感を覚えました。中高生の頃は夜な夜な読み漁っていました。
また「む、無理ですよ。耐性が、ないんですから」「こんなに一緒にいて、優しくされたら……好きにならないほうがおかしいです……」がとても良かった。先に書いた通り女性に不慣れな男キャラが好きだから、もう、誇張なしで感動して目が潤みました。「貴女のことが。……女性として、好きなんです」も真っ直ぐなカミュらしい告白でよかった。ミカは手に触れることで考えを読み取ることに罪悪感を常々抱いているわけだが、カミュはそれを知っても丸裸の感情を伝え続け、それにミカは救われておりそこも良かった。ハミエルなんてミカが怖くなって手を振り払い、それにミカは気を遣ってハミエルの手に触れないようにし、それに気がついたハミエルは安心させるように自分からぎゅっと握りしめられたその手を無理やり開かせるようにしてしっかりと握りしめました(ハミエル√の報告)
サリィ
乙女ゲームにいるってことはそーゆーことね……とは最初からわかってはいたがサリィの物語はDLC込みで完結すると思うので未購入の方はぜひご検討ください。定まらないというか、定めようとしないというか、グラデーションのような子だったのが覚悟を決めるのがDLCであるため。ん~でもそこに賛否あるのかな。
ラミー同様に言及が難しいキャラではある。ミカとサリィの苦悩の軌跡をここに書く勇気はない。全然どうでもいいが、パスタではなくスパゲティと書くこだわりもよかった。神は細部に宿るとは言うが、本作も丁寧に下調べをして作っているんだろう。他にもメタルギアソリッド2サンズオブリバティじゃん!とわくわくしながらサリィ√をやりました。
仲間たちへの帰属意識が高い方なので、みんなと合流して楽しそうにしているサリィを見て安心しました。サリィがいると場が明るくなるからね、いいね。DLC第二弾はミカと原宿へいこう。
真相√
頼りになる仲間たちがずっといるため個別ルートでの悲壮感がまるでなく、デスペラという物語を走り抜けた後にクールダウンするような話でした。ちゃんと伏線は回収されていったので偉い!タイトル回収も熱い!
モールス信号のくだりが本当に笑ったんだけど、他にもぎゃあぎゃあ大人気なく騒ぐ男たちに郷愁の念を抱き、今ではいいゲームだったなという気持ちでいっぱいです。FDが出てほしいしDLC第二弾も出してほしい。ハミエルの話ばかりしてしまった気がしますが全員に愛着を持っているため、何らかの展開があったらいいなと願う次第です。
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