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親友がGAFACEOくらいの金銭感覚 竜とそばかすの姫
Uの世界設定を現実のSNSに置き換えてみたら世紀末なのでレビューしていきます。
本作、かなり見る人を選ぶ映画だと思います。気になったところと良かったところレビューしていきますが、ネタバレ含みますので未鑑賞の方はご注意ください。
①キャラが舞台装置に成り下がっている
本作はキャラクターが支離滅裂な行動をしたり、常識から逸脱した行動をとったりすることで強引にストーリーを展開させます。なので、キャラクターの心情を理解することができず、話に没入できませんでした。なんかクライマックスだしいい音楽かかってるし重要そうなシーンだけど、この人何考えてるのか全然わからん・・・。そんな感じです。
②ジャスティンを現実のSNSに置き換えると?
ジャスティン?でしたっけ。この人はUで自治警察組織を率いている一般ユーザーです。なぜかアバターを剥ぎ取って素顔を晒す機能を持った光線銃を持っています。なんで一般ユーザーがアバターを剝ぎ取れるんでしょう。生体情報が記録されてるからアバター剥ぎ取られると顔ばれする、という理屈はわかりますが法律的な問題はどうなんでしょう。Twitterで例えるなら気に食わないツイートしてるやつの住所運営から教えてもらって顔写真隠し撮りしてめっちゃネットに晒すマンです。
なんで一般ユーザーがそんな権限を?運営会社はなんで黙認?挙句の果てにそんな危険人物にスポンサーがついてる?疑問点を挙げればキリがありませんが、これはキャラクターを舞台装置として登場させたが故の弊害でしょう。本作の見どころに、主人公がコンプレックスだった素顔を晒して歌う、というシーンがあります。しかしUは仮想現実、最初にアバターを作っているので素顔を晒せません。そこでジャスティンに光線銃を撃たせた訳です。ジャスティンは主人公に素顔を晒させる、という演出上の目的を達成するためだけに作られた舞台装置です。設定が破綻するのも無理ないでしょう。
③親友ヒロちゃんの太っ腹な金銭感覚
ヒロちゃんはUの世界で歌い手やってる主人公のマネージャー兼参謀です。一躍主人公をスターの座に押し上げますが、性格は捻くれています。このヒロちゃん、Uの世界で得た莫大な収益をなぜか慈善団体に寄付してしまいます。GAFACEOクラスの立ち回りです。
脚本の都合上、大金の処理に困ったのでしょう。素朴な主人公だけど銀行口座に2億あったらなんか嫌ですもんね。ここでも話を都合よく展開させるためにキャラクターが行動しており、人格がありません。
④闘技場で勝ちまくったら迫害された竜。煽ったの?
竜は忌み嫌われているのですが、理由が闘技場で勝ちまくったからだそうです。なぜ闘技場で勝ちまくっただけで迫害されてるのかわかりませんでした。ぼこぼこにし過ぎだからだめー!!みたいな理屈でしたけど、格闘ゲームでぼこぼこにしたら駄目なんでしょうか。実は煽りカスなんですかね?煽りカスとそばかすの姫だったんでしょうか。
⑤他人のアバターを殴ることができるUの世界やばくない?
竜はジャスティンと戦闘するんですが、そもそもなんで闘技場の外で戦えるんでしょう。Uの世界では普通に人のアバター殴れちゃうんですよね。相手をぼこぼこにできるVRChat、想像してください。絶対ダメ。
サマーウォーズではカズマと世界破滅ウィルス的なやつが格闘戦しますが、これはOZのプログラムがハッキングされて、闘技場のルールが適用されてるから相手に接触できるんですね。サマーウォーズではこの点を気にして、わざわざセリフに起こして説明しています。なんで退化した?
⑥竜の正体、シンプルに誰
竜の正体は誰だ!?と世界中が大騒ぎします。主人公も必死に竜の正体を突き止めようとします。最終的に正体判明しましたがなんか東京に住んでる子でした。ミステリー小説の犯人が風景描写の中に一瞬出てきた通行人Aだった、みたいな感覚です。
⑦主人公、まさかの二股?
竜に対しての気持ちは恋愛感情?シノブ君が好きなんじゃないの?よくわかりませんでした。竜の正体は家庭内暴力に悩む年下の男の子だったので、庇護欲のようなものでしょうか。この子を助けるために主人公は単身東京に行き、暴力おやじから保護するのですが、どこからその熱量が湧いたのかがいまいちわからず、感情移入できませんでした。
暴力おやじから保護する際に、主人公は暴力おやじをにらみつけるのですが、睨みつけられた暴力おやじが尋常ではない怯え方をします。その感情の動きも読めない。ヘヴィー級ボクサーに睨まれてもあそこまでビビりません。
⑧本編より面白い学生生活パート
根暗な主人公がヒエラルキー頂点女子のルカちゃんと仲良くなる過程、すごく面白いなと思いました。ルカちゃんを表面ではキラキラだけど裏では嫌なやつに見えるよう観客を誘導しつつ、実はいい子じゃん!。ギャップが良かったです。ルカちゃんみたいな子がいたら仲良くなりたいよな、って自然に思いました。
夏×青春の組み合わせが時をかける少女を思い出させます。時をかける少女の幻影を追って細田監督作品を見に行く私には刺さりました。
⑨SNSアーティスト、スマホアプリで楽曲製作
主人公がスマホアプリ使って幼少期から音楽製作しているんですが、これはリアリティがあって素晴らしいと思いました。現代のSNS出身アーティストってそんな感じですしね。才能と幼少期からの積み上げがあったから主人公はバズったんだな、と納得しました。
最後に
本作、私には理解が及ばない点が多くあり、うまく感情移入できませんでした。私の読解力不足によるところも大きいかと思いますので、間違っている点あればご指摘いただけるとありがたいです。
主題歌ですが、みなさん褒められているように非常に良かったです。私もiTunesで購入しました。
低評価よりなレビューになってしまいましたが、冒頭でも述べたように人を選びます。見に行くか迷ってらっしゃる方は、ぜひ自分の目でご覧になってください。