人生の教訓になった約30年前の出来事~白雪姫~
もう四半世紀以上前の思い出という事、そして未だに忘れられない出来事であるいう事に、思い出すたびにその出来事は相当供養できない事だったのだな~と他人事のように思ってしまう。
まだ純粋無垢なアタクシ(^_-)-☆
それは確か年中、、、、4歳か5歳。
本当、可愛かったの。アタクシってば。
その頃(だから約30年前)は、恐らく今ほど働くママが少なかったと思う。そして保育園に入園させる事が容易だったように感じる。
私が保育園に通い始めたのは年少からだった。
年少時代に過ごした私立の保育園は幼稚園の様に可愛い園服と体操着があったのだけれど、家を引っ越す事となり、別の保育園へ転園をした。
この転園が、私の自尊心を少しずつ奪っていった。と書くと物凄い大袈裟なのだけれど、早い話は前の保育園では大好きな男の子もいたし、お母さんが仲良くしているママ友は全員男の子のママであった為に、自動的に私が遊ぶのは男の子で、紅一点な存在だったのでそれはそれは居心地がよくて、男の子は全員私が好きなんだと勘違いをしていた。可愛すぎる。
それが年中時代に転園した先では、もうすでにカーストは出来上がっており、私は部外者なのでもうその輪には入る事が出来なかった。
てっぺんに立つウォンナ。つまり女王様は私と同じ名前のウォンナだった。
舞ちゃん(仮名)。
非常につまらない毎日だった。
なぜこんなブス(本当失礼)なのに男共は慕ってんだ?頭おかしいんか?と本気で思っていた。
羨ましかった。悔しかった。きっとこの子達は、赤ちゃんの頃からずっと同じ保育園で過ごしてきたから、絆がエグい。よそ者は簡単に入り込めない。こんなブスとか言っておいて、実際に舞ちゃんは可愛かった。細くて可愛かった。少し意地悪な所もあるけど、それでも皆許してしまう。そんな存在で居た舞ちゃんが羨ましかった。
生まれ変わったら舞ちゃんになりたい。
でもそんな風に思っている自分が嫌で、どうしても負けたくなくて、その気持ちが恨みとなって出てきていて、それは卒園式まで消えなかったのだろう、卒園の際に貰ったアルバムの舞ちゃんの写真の箇所にうっす~い字で《ブタ》と書いていた爆笑
もう、それくらいに憎い存在だった。
そんな憎悪丸出しで過ごしていた頃
保育園で転園後初めてのお遊戯会が行われる事になった
クラスみんなで演劇をする事になった
【白雪姫】
もう、迷うことなく一目散に白雪姫に立候補した。
同じく舞ちゃんも
偉いこっちゃ。
白雪姫は1人しか居らんのや。
どうなる事になるかと思いきや先生の粋な計らいで白雪姫を前半と後半に分ける事となった。
なので私は舞ちゃんと2人で同じ衣装を着る事となった。明らかにアタクシの方が可愛かったけど何も言わなかった。
そして私が今でも成仏する事の出来ない気持ちが生まれる運命の日が訪れる。。。
《白雪姫、前半と後半どっちやる?問題》
みんなで自由遊びをしている時に先生に私と舞ちゃんが呼ばれた。
最初の白雪姫と最後の白雪姫、どっちやりたい?
と聞かれたのだ。
なんっにも考えなかった。
なんっにも考えなかったから迷わずクソでかボイスで言った。
「最初が良い!!!!!」
その圧に舞ちゃんも翻弄されながらも、いやいや何言ってるの?私も最初が良いですと、舞ちゃんも最初の白雪姫が良いですと名乗りを上げたので
ここはまあ一発勝負で!と、じゃんけんで決める事にした。
そして勝った。
私はアノ女に勝ったのだ。
嬉しかった。物凄く嬉しかった。
もう、最初の白雪姫とかどうでも良くて、じゃんけんに勝った事、そして舞ちゃんに勝った事が嬉しかった。
その日は、ずっと有頂天で家に帰ってからも有頂天で両親もこんなに喜んでいる娘を見れて幸せだったと思う。知らんけd
他の役も決まり、いよいよ練習が始まった。
どんな練習をしたか流石に覚えていないけど
私は前半に白雪姫、後半は森のウサギ役で出る事になった
このクラスで1人2役は私だけ。それさえも特別に感じて、衣装の早着替えもあったりと、なんだかマジの役者みたいで終始ドヤしていた気がする。
もう、自分の世界に没頭していた為、周りがあまり見えていなかった。
登場シーンは大切。お客さんの視線がここに全部集まってくる。継母に言いつけられて白雪姫をナイフで切ろうとする男から逃げる白雪姫。可哀相(私は可愛い)。
森の中にある小さな家を見つけて、なんか知らないうちに動物も集まって一緒に家の掃除したりなんやかんやして、疲れて寝ちゃう。
私のターンはここで終了。
セリフも多い。動作も多い。大変満足。
少し残念だったのは、7人の小人と絡むシーンが無かった事だった。大好きだった翔平君は7人の小人の中にいた。
そろそろ本番も近くなってきた。
最初から最後まで通す練習、そして衣装を着て練習する日があった。
可愛い衣装を着れる嬉しさでテンション爆上げ。
卒なくこなし後半へバトンタッチした。
急いでウサギの衣装に着替えて後半のシーンをちゃんと見た。後半のシーンをちゃんと見たのは、この日が初めてだった。
後半の白雪姫は、小人たちにと一緒に過ごしながら継母との接触を断つが、魔法の鏡のせいで生きていることがバレて、継母は魔女に変身して毒リンゴを持って白雪姫に会いに行き、白雪姫に毒リンゴを渡す➡SA☆TSU☆GA☆I☆
その後、、、、、
死んでしまった白雪姫を囲んで小人たちが悲しむ(え?いいな、、、あたしも囲まれたかった)
↓
王子様がやってきて、手を握る(え?聞いてない。なにそれ、、、、、)
↓
小人たち大喜び⭐みんなに見送られながら王子様と白雪姫は2人で幸せに暮らしましたとさ!(私、王子様に会えてないんだけど、、、)
なんだかモヤモヤが出てきた。
なんか最後の方が美味しくね?なにこれ。
しかも極めつけ。
その練習の後、先生のアイディア(余計な事)があり
なんと白雪姫が死んでしまった時にみんなで囲むシーンに動物たち(つまり元白雪姫のワタクシも)が招集され、さらにさらに!白雪姫が生き返ったあと、みんなの前を王子様と白雪姫が一緒に歩いてさよならをする時に、先生が作っためちゃくちゃ可愛いお花が付いたベールを私が大好きだった翔平君が舞ちゃんに付けるシーンが加わったのだ。
もう、絶望だった。
なんなんこれ。話が違うじゃないか。っていうか最初に教えてくれよなんなんこれ(2回目)
なんでアタクシは舞ちゃん白雪姫が死んだことに悲しまなきゃいかんのや
そんでなんで生き返って王子様と仲良くどっか行く所をお祝いしなきゃいかんのや
あの可愛いベールは一体なんなんや。それワイにもくれや。ずるいやろ。
全く楽しくなかった!(^^)!おもんな!(^^)!
その日1日まじで絶望MAXで上手く笑えていなかった気がする。
その後、来る日も来る日も夢を見ていた
自分が最後の白雪姫を演じる夢を
先生に言おうかと思った。ずるくない?って。
でもそれじゃあまりにも自分勝手だし、なんかそれもそれで負けた感じがして言えなかった。そもそもこの役は、じゃんけんで勝ったから得た役であって、100%自分の願いが叶ったわけだから、そんな事言うのは5歳の私でも理不尽なのが分かった。分かってしまった。
発表会当日、その舞台を最初から最後までビデオで撮影してくれたお父さん。
その日のよる、みんなで見返したそのビデオには、目の前にいる大勢のお客さんに圧倒されて恥ずかしくてモジモジ演技をする可愛い私と、ウサギに役が変わった後の不機嫌そうな私、そして最後、舞ちゃん白雪姫が退場するシーンでめちゃくちゃメンチ切ってる私がバッチリと映っており、家族の中では伝説のお遊戯会となった。
私は、5歳にして学んだ。
私という人間の事も少し分かった気がした。
がめつい自分を少し嫌った。
負けた方が良い事もあるんだなという事が分かった。
でも、私はその頃から既にプライドがめちゃくちゃ高かったみたいで
最後、役ごとに写真を撮りましょうとなった時、ウサギ役の衣装のままで居た私は、すぐに着替えるから!!私を白雪姫として!!!写真に残してお願い!!!!!!と最後の悪足掻きをし、無事に写真に収めてもらう事ができた。
そこに写る、速攻で着替えて髪の毛のボサボサな私。
王子様を挟んで二人の白雪姫が寄り添うスリーショット。
確かに私は白雪姫だった。そして可愛かった。
自分を認めてあげよう。自然にそう思ったのかもしれない。
周りを恨んだってしょうがない。
確かに私は白雪姫だった。失敗は何もしなかった。
私の白雪姫を見て、両親は物凄く喜んでくれて涙を流したらしい。
それだけで良いじゃないか。上出来じゃないか。
5歳のりりぃさん。一回りも二回りも成長できた瞬間であった。