○山口代表 定例記者会見 2024年6月18日(火)11時08分 @衆院第7控室

【冒頭発言】

≪政治資金規正法の改正≫

 政治資金規正法の改正案について、参院特別委員会で今、議論が続いている。きょうは首相入りで質疑を予定し、採決が整えば、あすの本会議も視野に入るという状況で、最後の大詰めだ。委員会で質疑ができるのは、きょうが最後と捉えた場合に、重要な論点について改めて確認したいと思う。

 まず、今回の改正案の最大の眼目は、再発防止策をしっかりつくったことだ。従来、政治家が会計責任者や秘書のせいにして自らは責任を免れるという状況が続いてきた。有権者からの厳しい指摘、認識の下で、やはり政治家自身が責任を負うことが重要だ。その観点から、監督責任を強化する法制度を整えて、特に政治家が収支報告書を点検して、確認したということを自ら「確認書」に署名をして、その証しを立てる。これがいい加減なものであれば、後に責任が問われる。そして罰則を受けた場合には公民権停止に至る。こういう厳しい制裁が行われる意味で、いわゆる「連座制」の強化につながるものとして、抑止力が期待できるわけである。ここが再発防止の一番の要だ。

 さらに、透明性を強化する、さまざまな取り組みによって、不正が起きないようにすることを試みた。その中の重要な課題は、第三者機関を設置することだ。この第三者機関は、収支報告書の監査はもちろん、政策活動費の当否についてもチェック機能を持つということで重要だ。第三者機関を設置することは、先の党首会談で、岸田首相から私に「こうしたい」という話があった。わが党は第三者機関の設置を主張していたが、それまで「設置を検討する」という意見が実務者の間で、特に自民党の実務者の間で出ていたわけであるが、検討ではなくて、「これを設置する」と。いわゆる設置を義務付ける内容を、岸田首相・総裁が発言し、これを党首間で合意した。この期待される機能からすれば、法律全体が施行される2026年1月1日までに設置できるようにするというのが法案の全体から考えられる筋道だと思うので、そういうことを明確に委員会の席で詰められることが期待される。

こうした二つの点について、重要な内容であるので、公明党としてはこの点を強く重視していることを申し上げて、今後の法案の確実な成立を期したい。そして成立後、施行に向けて、やるべき課題を精力的に取り組んでいきたいと思っている。

 

【質疑応答】

≪政治資金規正法の改正≫

Q、日本維新の会は参院政治改革特別委員会で反対し、首相に対する問責決議案の提出を検討している。調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)改革について自民党の姿勢が不十分だと指摘しているが。

山口)維新と自民党の合意の部分については、公明党は当事者ではないので、経過も合意の正確な内容もつぶさに知る立場にはない。しかし、合意を基にして、修正案が出されてきたわけだ。全体としては、できるだけ幅広い合意をつくるという努力の表れだと思っている。わが党としては、この公明党が掲げた課題については、ほぼ自民党も丸のみする形で修正がなされているから、この重要性を鑑みた場合には、維新との合意については必ずしも全てを承知する立場ではないが、法案としては賛成するという対応を取っている。その後、維新の中で、衆院の対応と参院の対応が分かれてきているので、維新の中の取り組みの違いということもあるのであろうから、わが党からの評価は控えたいと思う。維新の馬場代表と、自民党総裁の岸田総裁の下で、文章で合意を交わして、それを高く掲げられたわけであるから、その重みというのはあると思うが、それに対する参院の意思で異なる対応をするかどうかは最終的にはまだ分からないが、国民に対するきちんとした説明は必要ではないかと思う。

 旧文通費については、わが党としての主張もあるし、維新の主張もあるだろう。その部分も自民党として受け止めているということであれば、もっと幅広い合意をめざして努力をする必要がある。国会の会期内ということであれば、一部の会派、一部の政党間の合意だけではなくて、それ以外の会派、政党の合意を得るようなプロセス、議論が必要だろうから、そこはきちんと国会の基本的なルールに則って、合意をつくっていく努力が必要だ。

なお付言すれば、幅広いという観点からすると、わが党がパーティー収入の公開基準について「5万円超」を当初から主張してきたが、その後、維新も国民民主党も、わが党の考えに賛同する意見を出されていた。その点では、幅広い合意をつくり出すことに寄与できたと思っている。

 

≪選挙違反で当選無効となった議員の歳費返納≫

Q、選挙違反で当選無効となった議員の歳費を返納する歳費法改正について、今国会も見送られる公算が大きい。改正に至らない要因と、今後どう実現していきたいか。

山口)今、ご指摘の点については、わが党から法改正のあり方を提言して、1月にわが党で示した「政治改革ビジョン」の中でも、この課題を指摘しているはずだ。こうしたことが国会の中で十分に議論されて制度化されることが望ましいと思っているが、現下の事件化した政治資金規正法の課題が優先的な取り組みの課題となってきたことは否めない。まさに、その課題を今、最終的に成立を図るところに全力を尽くしている。

 しかし、ご指摘のテーマについても、わが党として重要な課題であると思っているし、また、いわゆる旧文通費を巡る課題についても、わが党としては、その使途を明確にして、使い切れない部分は返納するという提案も既に出しているわけであるので、今国会、もう残り少ない会期の中で、事実上、与野党の広い合意を得るのが困難だとすれば、国会が終わってからでも、引き続き議論の機会を設けて、できるだけ早く合意を得られるようにしていくべきだと思っている。

 

 

≪党首討論≫

Q、あす開かれるが、どういった議論を期待するか。

山口)久しぶりに開かれる党首討論だ。本来、党首討論が設けられた意義は、国家的な幅広い、大きな課題について与野党の党首が堂々と論戦を戦わせる。そして、わが国の進むべき方向性を国民に問いかけ、知ってもらう重要な機会だと思う。それにふさわしい議論を期待したいと思う。

 

≪沖縄県議選の結果≫

Q、公明党は4議席全て獲得したことが寄与して、県政野党は過半数を取る結果になった。共産党は議席を減らし、自民党は当選ラインがギリギリだった一方、公明党は上位当選だ。

山口)前回、4人を立てる予定が新型コロナの感染拡大が生じたので、リスクの回避を重く見て、2人に絞った。非常に残念で悔しい思いをしたわけである。今回は、そうした環境が変わったので、4人を公認して堂々と選挙戦に挑んだ。結果として4人全員当選、議席は倍増したわけだ。4人のうち3人は新人だ。また、初めて女性の議員が誕生した。支持していただいた皆さまに感謝を申し上げるとともに、これからの県政でしっかりと基盤を生かしていきたいと思う。

また、国政での友党・自民党も、推薦した候補、公明党の推薦した候補も含めて、全員当選をした。結果的に公明、自民が合わせて、4議席増ということになったわけである。かたや県政与党、共産党は3議席減らし、立憲民主党も1議席減らして、合計4議席減らすということで、その差が明確になったわけである。こうした結果は、まさに県政与党と県政野党の差がはっきりと出た結果である。これは、有権者やわが党の議員にいろいろ聞いてみると、やはり、玉城デニー知事の下で、これまでの、いわゆるオール沖縄的な方々の活動というものが基地問題に偏っていて、県民の生活課題に十分に取り組み切れていないという分析があると聞いている。

現に今、物価高の状況の中で、例えば、沖縄は車社会であるから、ガソリン代の高騰というのは非常に県民生活において敏感な課題であり、反応がある。その点を考慮して、全体の補助金による抑制のほかに、沖縄の揮発油税については特別な軽減措置を取っていたが、経過期間が終了する予定になっていたところを、経済状況に鑑みて、軽減措置を3年間延長する措置を取った。こうした税制を活用した決断というものは、やはり国政与党でなければできないことだ。その結果が沖縄の県民生活、離島も含めて直接に及んでいくという実情があるので、そういう取り組みなどを例に挙げながら、国民生活、県民生活に関わる課題を丹念に実現し、推進していくことが重要であり、国政との連携も重要だということをしっかり訴えてきた。

子育ての問題についてもそうである。沖縄の出生率は高いが、子育ての面では政策が十分になっていないという現状についても、今回の子ども・子育て法案を成立させたことは大きな希望になると思う。また、与党の議員連盟を作って、「国立こどもまんなかウェルビーイングセンターin沖縄」を設置することを政府側に強く申し入れたが、こうしたことも県民、有権者に伝わったテーマではないかと思う。

これからも、こうした県議会の基盤を生かして、沖縄県の県民の仕事や生活に関わる課題について、きちんと政策提言し、その実現を訴えていきたい。国政と連携の必要なところは、しっかり取り組みを推進していきたいと思っている。

それから、沖縄のことでもう一つ付言すると、基地負担が沖縄に集中して、負担が重いという現実はしっかり受け止めなければならないと思う。わが党の沖縄県本部は、辺野古移設については必ずしも賛同していない。やはり国政の課題であるので、基地負担の軽減にあらゆる努力をしていく姿勢が重要だということを付け加えさせていただく。

 

Q、政治資金規正法を巡る議論や、「政治とカネ」の問題が、沖縄県議選にどのような影響を及ぼしたと考えるか。

山口)「政治とカネ」を巡る政治資金の問題は、国民、有権者の厳しい批判にさらされていると思う。現に知事選や議会選挙など地方の選挙で、自民あるいは自公は負け続けてきているわけだ。ただ、沖縄の県議選は、逆の結果が出た。沖縄県民の皆さまも、政治資金の問題については強い関心を持っていらっしゃったと思うし、私自身も街頭演説でその取り組みについてしっかりと訴えさせていただいた。公明党の場合は、そうした訴えを真摯に受け止めていただいたと思う。信頼回復に向けて努力が必要だという趣旨で受け止めていただいたと思うが、自民党の支持層の方は、よく分からないところがある。しかし、結果として当選をしたということから見ると、そのことももちろんあるが、しかし、また別なテーマに対する認識というか、危機感というか、そうしたものの方が政治資金を巡る問題よりも上回ったというふうに受け止められるのではないかと思う。選挙の結果を十分に分析して、これからの教訓にしていく必要があると思っている。

 

≪党全国大会≫

Q、出席したラジオ番組で「衆院選を念頭に、時期をずらすなど配慮を巡らしたい」と発言していたが、開催時期に関する今の考えは。

山口)これは通例、任期が2年であるから、9月に開催するのが基本である。その基本は維持しているわけである。今後の自民党の総裁選や、衆院の選挙がどうなるか、まだ不透明なところがあるから、その基本を維持しながら、緊急の情勢変化があれば対応することも視野に入れながら、予定通り実行できるように準備をしていきたいと思っている。

 

以上

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