○山口代表 定例記者会見 2024年5月7日(火)11時 @衆院第7控室
【冒頭発言】
≪仕事と子育ての両立支援≫
5月5日「こどもの日」を前に4日、総務省が外国人を含む15歳未満の子どもの数、今年の4月1日時点の数を1401万人という数を公表した。前年より33万人少なく、43年間続けて減少してきている。総人口に占める割合は、0.2ポイント低下し、11.3%の水準だ。人数、割合、共に比較可能な昭和25年以降、最低を更新した。改めて、少子化が進んでいることを示している。この結果は、深刻に受け止めなければならない。
その上で、きょう衆院の本会議で、育児と仕事の両立支援を強化する育児介護休業法等改正案が可決される予定だ。改正案では、テレワークや時差出勤など従業員が複数の働き方を選べる制度の導入を全企業に義務付ける。残業免除や子どもが病気などの場合の看護休暇の取得の対象となる年齢の延長が盛り込まれている。さらに、男性の育児休業の取得を促すため、従業員100人超の企業に対し、男性の育児休業取得率の目標を設定し、公表するように義務付けている。また取得率の実績公表の対象企業は、従業員1000人超から、300人超まで拡大することとしている。
党としては、「子育て応援トータルプラン」など、子育てと仕事の両立が図られるよう提案してきた。参院に送付されてからも、しっかりと議論を深めて、早期成立を期してまいりたい。
【質疑応答】
≪自民党派閥の政治資金問題≫
Q、代表は政治改革に関して補選の民意を重く受け止めるべきだと指摘されている。自民党と合意できてない点については、どう進めていくべきか。
山口)先の三つの補欠選挙の中で、特に公認候補を出した島根1区で議席を取れなかった。有権者の最大の関心は、政治資金を巡るさまざまな問題に対しての再発防止の行方でもあった。そのほかの選挙、候補者を立てられなかったことも含めて、全選挙区で議席を取れなかった。これは極めて重く受け止めるべき結果だと思っている。
だからこそ、その大きな要因であり、国民の高い関心事項である政治資金を巡る問題について、再発防止策をきちんと政治資金規正法改正などを行って確立すべきであると思う。既に自公の与党協議が始まっており、いくつかの点で、自民党側が具体案を示し、公明党も既に示してあった案との一致点を見い出しながら協議が進んでいる。特に、会計責任者や秘書が責任を問われる中で議員が責任を免れる、ここに対する違和感が国民に極めて強かったものだから、公明党としては政治家の責任を強化する。その具体案として、会計責任者の責務についての「選任または監督」について責任を強化する。罰則を広げるという提案をし、その監督責任の具体的、形式的な取り組みとして、「確認書」を議員が提出することを義務付ける公明党の提案に対して、自民党もほぼそれに沿う対案を出してきている。
この議員の責任強化と並んで、もう一つ重要なのは、政治資金の透明性の強化である。この点についても、オンライン化、デジタル化を進めるという提案も出てきている。なお一層、公明党が提案しているような例えば、政策活動費、政党から所属議員個人に対して、政策活動費の名目で多額の資金が支給されているが、その使い道が具体的ではない。この点についても、使途を明確化すべきであると提案している。今回、起訴された自民党の元議員の言い分として、派閥から配られたお金は政策活動費と同じだから、何に使っても良いよという趣旨で派閥から説明を受けていたと思い込んでいた。そのような言い分が主張されているわけだ。だとすれば、そうした違法な支出の正当化の理由として政策活動費が使われるということは許してはならないことだと思う。この点についての透明化を図るべきだと提案している。
もう一点は、政治資金パーティー券購入の公開基準を引き下げるという提案をしている。現行「20万円」のところを「5万円」、公職選挙法の寄付での公開基準に合わせるべきだという公明党の考え方である。こうした点について、自民党の自公協議の対象にはすると言ってきたが、具体的にどうすべきかという提案はまだ今のところない。岸田首相のリーダーシップの下で具体案を自公協議の場に提案するようにという指示があったようだ。きょう昼から2幹2国が開かれ、きょうの夕刻、自公の実務者協議が開かれるので、自民党からどのような具体案が出てくるのか。これをしっかり見極めながら、協議を進めていくということになろうかと思っている。
Q、政策活動費の使途公開について、「党勢拡大」や「調査研究」などの目的が明細書に記載されていればいいのか。どういったものをイメージすればいいか。
山口)ここは協議の当事者である石井幹事長と実務者の協議に委ねられているので、私の方から確定的なことを申し上げることは控えたいと思うけれども、要は透明性を強化するということであるので、その方向に沿った協議をリードしてもらいたいと思っている。
Q、パーティー券購入者の公開基準引き下げについて、公明党は「5万円超」までの引き下げを主張している一方、自民党からは大幅な引き下げに慎重論も出ている。引き下げの額について、改めてどう考えているか。
山口)公明党は透明性を強化すると。「20万円」で、現実に不透明な流れのベースになった経緯があるので、これを透明化を強化するためには、法的根拠があった方がいいという意味で、公職選挙法の公開基準「5万円超」という根拠を基に、公明党は主張しているわけだ。自民党にはいろいろな考えがあるのだろうと、これまで聞いてきたけれども、しかし、この点についても具体案を出して協議に臨むという方針のようであるから、自民党としても、どういう考え方で臨むか、しっかり説明を伺いたいと思っている。
Q、補選後すぐの岸田首相との電話でのやり取り以降、首相とやり取りしたか。また、首相に対して、政規法改正に向けて期待することは。
山口)すでに申し上げた機会の以後に、岸田首相とこの点について話し合う機会は、特にない。首相もいろいろお考えになりながら、帰国後、早々に政治刷新本部のメンバーと協議したものと思われる。連休明けに与党協議を加速するということ、既に訴えていたから、それに対応できるような構えというものを自民党として作ろうとされたんだろうと思う。きょう、どのような具体案が自民党から示されるか、関心を持って、受け止めていきたいと思うが、その内容にもよるし、またどういう協議がなされるかにもよるが、今後も首相とお会いする機会があれば、やはりこの政治不信を回復する、信頼を回復する、そういうことが国民に伝わるような、そういう自民党また与党の努力が求められているということを確認しながら、この協議の進展をリードしていきたいと。そしてまた、最終的には法改正をするわけだから、野党の主張もあると思うので、幅広い合意形成をきちんとリードしていくと、そういう姿勢を確認しながら進めていきたいと思う。
Q、政規法改正は、今週中に与党としてまとめるべきと考えているか。それとも中身を重視して期限を切るべきではないと思うか。
山口)これは自民党からまだ具体案が示されていないので、なんとも言えないところがあるが、まずはやはり、どういう案が示されるかということが大事だ。その内容をわが党としても納得いく形で理解をした上で、どう協議を進めていくかということになる。どこまで歩み寄りができるかということは、今、予断を持って申し上げる段階ではないと思う。
しかしまた、今国会中に法改正を実現しようと、そういう意気込みで取り組んでいるわけであり、また衆参両院には政治改革特別委員会が設置され、そこの特別委員会の進行ということもあるので、野党との協議、そして合意の形成、こういうプロセスをよく見極めた上で、与党と協議が実りあるものに双方、積極的に努力をしていくべきだと思う。
Q、今回の自民党派閥の政治資金問題の再発防止に向けて、政策活動費の使途公開が必要との考えか。
山口)多額の使い道が具体的によく分からないお金が流れている、使われているということは、やはり望ましくない使い道にお金が行っているのではないかという国民の不信感に結び付かないとも限らない。だから、やはり透明性を高めるという議論の対象にして、できる限りの努力をしていくべきだと思う。その点では、いわゆる旧文通費(調査研究広報滞在費) についても、公明党としては、使途を限定し、公開をすると、余れば国庫に返すと、こういう提案をしているわけである。これはもう定額で各議員に支給されてきたものであるが、この点についてもやはり透明性を高めるべきであると、そういう提案を既にしているわけだ。その点では政策活動費も同様の透明性強化の一環として考える、そのことが使い道のわからないお金が多額に存在するということを狭めていくということにつながっていくと、このように思うので、再発防止にも役立つ一環だと考えている。自民党も旧文通費も含めて その使い道について検討すると言い始めているようだから、ぜひこの点でも具体案を示していただき、実りある成果を生み出すべきであると期待したいと思う。
≪衆院補欠選挙での選挙妨害行為≫
Q、先日の衆院補選で、他の陣営の街頭演説を妨害するような行為があったことに対して、野党からは何らかの規制強化をするべきではないかという主張も出ているが、法改正の必要性など、現時点での山口代表の考えは。
山口)憲法記念日を記念する街頭演説でも若干触れたけれども、やはり国民主権を裏付ける、権力行使は国民の代表者が行使するという前文の規定があり、選挙制度についても、選挙権についても憲法に規定があるわけであるので、有権者が選挙権を自由に行使できるような状況というのが保障されなければならない。この権利は、国家、中央政府や地方政府が妨げてはならないというのが人権の基本的な規定の位置付けであるけれども、しかし有権者同士が主張をぶつけ合う中で、お互いの主張、それぞれの主張が、他の有権者に届かないような行為は一定の制約を受けるべきであると思う。その点で、「表現の自由」といえども、内在的な制約があるということを申し上げた。
それを具体的に法律で決めているのが公職選挙法上の選挙の自由妨害の罪だと思う。この妨害の内容について、あまり具体的に決められていないけれども、その趣旨は、選挙での有権者に対する訴えが妨げられるような、例えば街頭演説というのは、不特定多数の有権者に訴える非常に貴重な機会である。その演説に集まる聴衆が、演説する人の主張が聞き取れないような妨害行為は許されないものと基本的に考える。いろいろな対応が今回の選挙でも示されたと思うけれども、この選挙の自由の妨害罪、現行法をしっかり、その趣旨に基づいて運用を改善していくことが妥当だと基本的には思う。何が選挙の自由を妨げる行為になるかというところを明らかにしていく作業が重要だと思う。
以上
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