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海外大学院の多国籍チームで成果を出すために大事なマインドセット5選

昨年12月に大学院のグループワークで
イライラが最高潮に達して
NOTEの下書きに殴り書きしてた。

9か月間保存された状態だったこのトピックをようやく整理しようと思う。

私は社会科学修士課程
国際コミュニケーション学科に在籍している。

学科の特性上、
数多くのグループワークを経験した。

さらに、インターン先のNGOでも
多国籍環境で業務に取り組んでいる。

ドメスティックな日系企業で5年勤務後
この1年間は様々な国籍の方々と協働した。

前職で受注を獲得するために癖の強すぎる
技術者や管理職等ををリード、調整、説得する
仕事をしていた関係上
グループのリーダ役や旗振り役を務める機会が多かった。

東アジア出身が私一人の環境の中では
下記のリストの通り、おおむねうまく協働していた。

多国籍業務振り返りリスト

しかし、成績のウエイトが大きな比重を占める
課題でモロッコ人、ナイジェリア人との協働ワークが非常に大変だった。

モロッコ人とはかなり衝突して
アンガーマネジメントに苦慮し
机をひっくり返してやろうと思ったこともあった。

リトアニアの真冬の時期と重なり、
一時的に精神衛生上、危機的な状況だったが
サウナに駆け込んで事なきを得た。

直近でもインターン先でも少し進め方に困惑する場面も経験している。

これから海外留学する方や
今後の自分自身に向けて
備忘録として多国籍環境で成果を出すために
大事なマインドセットを5つに纏めた。

1.異文化コミュニケーションの体系知識を理解

多国籍環境で大学院の課題やチームで仕事をするときに日本人として押さえておきたい体系的概念が2つある。

1つ目は、ローコンテクスト文化とハイコンテクスト文化 の違いだ。

ローコンテクスト文化とは
コミュニケーションがほぼ言語を通じて行われ、
文法も明快かつ曖昧さがない文化を指している。
つまり、明確に意思表示、主張を行うスタイル
下記の図の通り、アメリカや多くのヨーロッパ諸国はローコンテクスト文化である。

一方のハイコンテクスト文化とは
コミュニケーションが価値観、感覚といったコンテクスト(文脈、背景)に大きく依存する文化を指す。

まさに日本はハイコンテクスト文化の象徴的な国で
「空気を読む」、「察する」等
非言語コミュニケーションを重要視する。

出典:The differences between a high vs low context culture, https://short-link.me/L0WZ

この概念を抑えた上で、東アジア圏出身の学生がいない場合、意識的に主張をしていく必要がある。

個人的には、授業中に必ず質問を考えて教授に毎回質問をしたりグループワークで先陣を切ってしゃべる等を心掛けていた。

体系的な概念の2つ目は、文化的なタイプの違いを
理論化しているLewis Modelだ。

出典:Cultural Types - The Lewis Model. Culture triangle and cross-cultural communication. https://short-link.me/Nkec

この理論は、世界の国々の人々が、
どのようにコミュニケーションを取ったり、
物事を進めたりするかを3つのグループに分けたもの。

これによって、国ごとの性格や行動の違いを理解しやすくなる。
具体的な下記の大まかに3つのタイプがある。

  1. 線型的アクティブ(ブルー)

    • 例:ドイツ、スイス、アメリカ

    • 計画を立てて物事を進めるのが得意で、時間を守ることや順番通りに進めることを大切にする。

  2. 多動的アクティブ(レッド)

    • 例:スペイン、ブラジル、メキシコ

    • 感情を表に出して元気に話し合ったり、色んなことを同時にするのが得意です。人と話すことや人間関係を大切にする。

  3. リアクティブ(イエロー)

    • 例:日本、中国、ベトナム

    • まず相手の話をよく聞いてから自分の意見を言うことが多い。
      礼儀正しく、慎重に物事を進めるのが特徴

日本人の傾向からして、レッドラインの方々と協働するときは期限や時間の考え方の違いから、戸惑うことが多い。

モロッコ人とナイジェリア人とのグループワークでも
まさに期限に対するコミットメントの違いに
難しさを感じた。

まずは、2つの体系的な理論を頭に入れた上で
違いを認識する・タイプ別にアジャストしていくことが重要だ。

2.自分の思い込みを捨てる

業務や課題に取り組むとき
5年間民間企業で働いた影響を色濃く受けて
いることに気が付いた。

会議の進行、即座の議事録の発信や
宿題事項の確認等周りの役に立ち、
感謝されることもあるが
業務遂行に対する「思い込み」「こうあるべき」で
相手を傷つけてしまう可能性も考えた。

インターン先のウクライナ人同僚と
プロジェクトを行う際
彼女が難民起業家のデータ収集に
Googleドキュメントで管理していた。

データ管理の場合は、スプレッドシート一択だと考えて彼女に提案したが、
どうやらスプレッドシートを使うのが
苦手な事が分かった。

Googleドキュメントからスプレッドシートに
データを転記して提案しようとも考えたが
・扱うデータが大した数ではなかったこと
・そのプロジェクトは彼女がリーダであること
・彼女が頑張って資料を埋めていたこと
を鑑みて、いまは口出ししないことを決めた。

これに正解はない。

効率性だけを考えるならスプレッドシートの推進だが、多国籍で様々な人と協働する上で
メンバーの背景、特性と業務の目的を考えて
意思決定をする必要があると痛感した。

3.最初は上手く物事が進まない前提で構えて
  徐々に調整していく

文化によって時間や期限に対するコミットメントに
大きさ差があるのは理解していた。

ケニアで1か月ボランティアしていた経験もあるため
この現実に対しては身構えていた。

しかし、約束の時間に数時間遅れるレベルであれば許容範囲だがミーティングの突然ドタキャン、期日の概念がないのは戸惑いを隠せなかった。

相手の時間を奪っている感覚が皆無の人達や
自分は期日を守らないわりに口だけは達者な人と
どう協働していくか。

文化の違いは理解すべきだが
限られた時間の中でアウトプットを出すことは念頭に置くべき。

ボランティアと異なり
限られた時間の中でパフォーマンスを発揮し
大学院では成績に
仕事では職場の評価が左右される。

相手の特徴、傾向をつかんだ上で最適な進め方を
都度調整していくしかない。

初めて協働ワークして上手くいかない事を
当たり前と思うことを痛切に感じた。

4.クローズ型提案とオープン型質問の使い分け

多国籍環境で自分がリーダシップを発揮する場合
2つに分けて対応することがある程度役に立つと考えた。

ヨーロッパ出身の自主性とリーダーシップがあるクラスメイトにはクローズ型提案で進めていく。

例えば、この課題を終わらすためには、〇〇日までに各自のタスクを実施する形で良い?と問いかける。

アフリカ出身のフォロワーシップ型のクラスメイトにはオープン形式で投げかけて考えを引き出す。

EX) この課題は、はいつまでにみんな終わらす必要あるかな?遅れた場合はどうしよっか?

期限に対するコミットメントが薄い人に
タスクと期日を提案しても
「Yes, I'll do 」
でやらないことが多い

その場合は、期日の目的、時期、遅れた場合のバックアップの考えを引き出すことまで必要。

オープンクエスチョン型は
クローズ提案より
コミニケーションコストがかかる。

もちろん、国籍だけでは全く判断するべきではなく
例外もいるだろう。

だからこそ、
最初は失敗前提で一人一人の特徴を観察して
柔軟にやり方を変えていく。

文化の違いの認識や理解は何より大事。

しかし
「限られた時間でアウトプットを出す」ために
文化のの違いは、良い言い訳に変えられる。

: ゴールは何か?
: ボトルネックは?
: バックアップ案は何があるか?
: 自分がチームをリードする場合の
 適切なフォローアップの見極め
等を念頭に置いて進めていくことが大事だ。

5.感情が揺さぶられたら強制的にメタ認知

このモロッコ人とのグループワークは
都度議事録を作って、
みんなの合意を形成していて進めていた。

前職で言った言わないを防ぐために
証跡を残すことを徹底して教え込まれたのが
大学院の行動特性にも反映されていた。

しかし、やると言った事を直前に出来ないと言ったり、やって無いのに分担したタスクを完了したと
嘘をつかれた。

合意形成を取った議事録も覆されたことで
怒りが沸々と湧いて、図書館の机を放り投げてやろうと思った。

結局図書館に深夜2時まで籠り
彼の分のレポートも私が終わらせた。

そんな状況になったら、思考を強制離脱/メタ認知し
サウナに行くか、思いっきり筋トレして
強制的に考える時間を無くすことが
精神衛生上、不可欠だと思った。

特定の木を見て感情を揺さぶれるのではなく
より全体(森)を見る事を心がける。
ちなみにその後
モロッコ人とは一緒にベルギー短期留学に参加して
非常に良好な関係である。笑

文化が違えばその分
コミュニケーションコストが発生し
大きな課題にぶつかることも多くあった。

しかし、多国籍チームだからこその
ダイナミックさと同じ国籍同士では生まれにくい
ユニークな相乗効果もあることも同時に経験した。

例えば、リトアニア、ベラルーシ、パキスタン人との
課題では、前線で戦っているウクライナ人兵士への下記インタビュー動画作成の上で
クラウドファンディングまでとんとん拍子で立ち上げた。

その際のベラルーシ人ジャーナリストの推進力は凄まじく、その流れに呼応するように
私とリトアニア人もスピーディーにプロジェクトを動かした。

多国籍環境で協働することは
様々な課題に直面する一方で
ダイナミックさ
驚きの発見やユニークな知見
話のネタになるような経験を得ることができる。

それはきっと自身の人生の厚みを
増すことに繋がると信じたい。

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