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身体に蔓延る鎧を全て剝ぎ取るリトアニアサウナの真髄
2024年もサウナに本当にお世話になった。
サウナ記事を1年前から書いていなかった為
2024年最後の日にリトアニアサウナの真髄・哲学を書きたいと思う。
フィンランド同様にリトアニアでは
独自のサウナ文化がある。
それが、2019年に無形文化遺産に登録された
リトアニアの伝統的なサウナ「ピルティス(Pirtis)」である。
ピルティスの特徴的な要素の一つに、『ウィスキング』と呼ばれる植物の束(ヴィヒタ)を使ったマッサージがある。
白樺や菩提樹などの枝葉で体を叩いたり撫でたりすることで、血行促進やデトックス効果が期待される。
私は、ピルティスの普及を目的としたInternational Bath Academyが主催するサウナマスター初級講座を3日間にわたり受講した。
ピルティスセッションを効果的に提供するための
ヴィヒタの作り方や、ウィスキングの実践的な技術を学んだ。
ピルティスは季節をテーマにした4つのセッション(「冬」「春」「夏」「秋」)に分かれて、それぞれ異なるウィスキング手技を提供する。
参加者は五感を通じて深いリラクゼーションと精神的な解放へと導かれる。
一連のセッションを通じて痛感したのは、
サウナがもともと『自然とのつながり』を前提に作られた文化であるという点だ。
まず、最も重要なサウナ環境を作るための薪。
薪の量で快適な温度を作り上げる。
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次にサウナマスターの商売道具であるヴィヒタ。
白樺や菩提樹などの枝葉は、香りや身体と枝葉との触感を通じて参加者に温もりと安心感を与える。
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そして、水や湖畔、木々に囲まれた自然環境。
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我々は、自然の恵を有難く享受している。
サウナマスターのきめ細かなサービスと、自然とのつながりが一体となることで、
ピルティスの参加者はデジタル社会のストレスから解放され、心と体にまとわりついた重い鎧を脱ぎ捨てることができる。
日本では、「ととのう」という言葉が流行しているが本物のウィスキングを体験してみると
この言葉がいかに陳腐で生易しい表現ではないかと
考えてしまう。
かく言う私自身もこのトレーニングを受けていた際
全身にドス黒く、重い鎧を身に付けていた。
10月受講時は、修論の執筆に加えて、
1年前から目標にしていた外務省関連の
就活面接準備に躍起になっていた。
下記記事に取り上げた通り、こちらの面接は
大変悔しい結果となった。
さらに、翌月のサウナフォローアップ研修時には
4月末の時点で確保していた某公益機関の内定取り消し危機に直面した。(内定先の都合)
大学院卒業目前で無職になるかと本当に焦った。
(後日この取り消しは解消され、派遣国の変更に留まった)
様々な負の感情で身体が支配されているような感覚で、メンタルケアに苦慮した。
そんなときにサウナマスターから受けた7分間のウィスキング。
ドライサウナと異なる低温で快適な温度設定の
スモークサウナ。
最初は大量のヴィヒタで優しく身体を包まれ
徐々にサウナマスターは、ヴィヒタで身体をたたく強度を高め、
最終的には食物の枝葉で叩きまくられた。
傍からみたら、どこぞのドMプレイ。
春夏秋冬の4つの構成で行われるウィスキングを通じて身体に蔓延ったストレス・ネガティブな思考を全て剝ぎ取られるような感覚に陥った。
セッション中に内定取り消し危機や修論のことを何も考える余裕がなくなる。
セッション後に凍った湖畔に飛び込み
豊かな自然の前で全裸で大の字になった。
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この瞬間、体全体で自然を感じ、五感が反応し、
心の奥深くに眠っていた魂が解放されたように思えた。
「魂の覚醒」という表現が適切かもしれない。
ピルティスから得られるものは無数にある中で
「自然との接続」がいかに我々にとって本質的な部分かを痛切に感じた。
身体的・心理的な負荷が高まるほど、
私たちは自然環境とのつながりを失いがちになる。
極度の負荷はときに、人間を立ち上がれなくする。
ピルティスの真髄は
現代社会の忙しい生活の中で鈍くなった
五感やを取り戻し、
心身にまとわりついた重い鎧を脱ぎ捨てて、
離れてしまった魂と自然との距離を
埋めることだ。
もし、身体的に・心理的につらくなったら
五感が喜ぶことをしてあげよう。
魂を温め、覚醒する手段の一つが
「ピルティス(Pirtis)」だ。
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