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【書評リレーマラソン】『解剖から理解する頚椎診療』―教科書でありながら、時の経つのを忘れて読破してしまう、1冊の文学書である

2023年7月発売の 『解剖から理解する頚椎診療』(編著:遠藤健司・三原久範) について、頚椎診療のトップランナーに読んでいただき、それぞれの視点から感想と、「私の頚椎診療」という題材で、書評という形でまとめていただきました。

頚椎の数「7」にちなんだ、7名のスペシャリストによる「書評リレーマラソン」と題したこの連載を通じて、トップランナーが大切にする頚椎診療への想いを感じ取っていただけると幸いです。

トップバッター・第1頚椎(走者)は、
千葉大学大学院医学研究院整形外科学教授・大鳥精司 先生です!


本書を読んで

本書は,遠藤健司先生,三原久範先生が日本脊椎脊髄病学会のアジアトラベリングフェローで意気投合し,2012年に共著で『頚椎診療のてびき』を出版したことに端を発しています。その11年後に,最近の疾患概念,診断方法,治療法の変化を盛り込んで,満を持して発刊されたのが本書です。

両先生とは昔から懇意にさせて頂いておりますが,研究や手術に対する熱い思い,さらに,考え方の一貫性は,世界でも随一と思っております。詳細な画像,エコーなどの最近の話題,切れ味鋭いひと口メモなど,ご自身の経験,エビデンスに基づいた内容が多い書籍となっております。
読んでいて一番感じたのは,教科書でありながら,あれよあれよという間に,時の経つのを忘れて読破してしまう,1冊の文学書であるということです。両著者の執筆の魔術がかかった1冊であります。頚椎のスペシャリスト,初心者,多くの読者に裨益すると信じております。


私の頚椎診療

私が頚椎診療で重要視している点は,神経学的所見と,画像所見の一致です。しばしば相違にぶつかりますが,基本的にはその合致が診療の基本となります。

まずは保存療法が優先されますが,難治症例には手術が適応となります。
前方・後方手術の議論は絶えませんが,わが国の手術技術は世界一と思っておりますので,様々な合併症を考慮しながら,加療を進めております。

交通事故後の頚椎捻挫は全世界的な社会問題でしょう。医師・患者ともに,多くの時間を要します。自賠責の報告では,わが国における,画像検査の多発が問題となっており,多くの医療費が費やされております。
また,その結果,遷延する頚部痛を助長しております。いかに,この点を解決するかも今後の課題でしょう。
最近の話題として,エコーを使用したブロックがあります。今後,この領域は必須となると思います。是非とも若手の多くの先生がマスターすべき手技と考えております。


書籍概要

編著:遠藤健司(東京医科大学整形外科 准教授)/三原久範(横浜南共済病院 副院長)
AB判/192頁
定価:8,800円(本体8,000円+税)

書籍のご注文は全国の書店・またはこちらからどうぞ!

★次の回はコチラ★

「解剖から理解する頚椎診療」書評リレーマラソン
第2頚椎(走者)鷲見正敏 先生(真星病院名誉院長)


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