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【識者の眼】「日本の新型コロナウイルス対策は本当のところどうなのか(5)─米国の無保険者と民間保険加入者」佐藤敏信

佐藤敏信 (久留米大学特命教授、元厚生労働省健康局長)
Web医事新報登録日: 2021-08-30

前回は、米国社会保健省他のサイトを引用し、たとえ無保険者であっても、必要な医療サービスが提供され、医療機関にも必要な資金が配分されることを紹介した。これだけ見れば素晴らしいことだ。しかし、ニールさんが、カイザー・ヘルス・ニュースの記事(2020年10月29日付)を紹介してくれた。「無保険者であっても、病院の費用はカバーされることになった。しかし、誰もそのことを教えてくれなかった」というタイトルだ。記事中の男性は無保険者だったため、医療費の支払いが気になって病院受診を躊躇し、結局死亡したという。せっかくのこうした制度を知らない医療機関や国民がいることもまた事実なのだろう。

さて、次は民間保険加入者の場合だ。これもまたニールさんが記事を紹介してくれた。ロサンゼルスタイムス紙の記事(2021年2月8日付)で、「彼女の COVID-19の治療費は100万ドル(=1億1000万円)を超えた。誰がそれを支払ってくれるのか?」というタイトルだ。

二つの事例が出てくるが、そのうちの一つ目は、タイトルにあるもので、COVID-19で入院した基礎疾患のある51歳の女性だ。基礎疾患のため、病院の算定した医療費は実に133万9181.94ドル(=1億5000万円)だったという。記事の中では明示されていないが、おそらく女性が加入している民間保険会社がこれを査定して減額し、その上で病院にその95%を支払い、結果として女性には自己負担として5%、4万2000ドル(=460万円)の請求が来たものと思われる。

そもそも、この記事にはいろいろな情報が雑多に詰め込まれており、制度の根幹を知らない我々がさらっと読んだだけでは理解が難しい。そこで、次回、二つ目の事例とともに、解説する。

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