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【旅の思い出】君といきたい万座毛

もう10年近く前、まだ大学生だったころ、
祖父の「おい、沖縄に行くぞ!」の一言で、
祖父と両親、弟、私の5人で沖縄へ家族旅行に行ったことがあるんです。

沖縄ってめっちゃいいところですね。
キレイな海に、異国感あるグルメ、どこまでも続くサトウキビ畑。
家族みんなで感動したのをよく覚えています。
もう亡くなったじいちゃん、連れていってくれてありがとう…。

旅の素敵な思い出は書ききれないぐらいたくさんあるんですが、
ここであえて全然素敵じゃない思い出を振り返ってみます。

それは沖縄旅行2日目の朝。
その日は、シーサー工房でオリジナルシーサーを作ったのち、沖縄の名所「万座毛」に向かうという、ベタベタな観光コースの予定でした。

普段は泊まることのない海沿いのリゾートホテルで目を覚ました、私たち一家は意気揚々とエレベーターで1階のモーニングに向かっていました。
エレベーターには、私たち家族のほかに、私たち幸せです!オーラに満ち溢れている若い新婚カップルも乗り込んできて、
キラキラ輝く海を映し出しながらエレベーターはぐんぐん下降していきます。

ふと、祖父が、
「ATSUKO、今日はどこ行く予定なんや?」と
半ば怒鳴るように話しかけてきます。

そう、祖父は耳が遠いのです。怒鳴るスタイルでしか、意思疎通が図れません。

「シ・イ・サ・ア!シーサー作るんよ!!」
負けじと私も大声で返します。

狭いエレベーターのなかで割とこれは恥ずかしい。

しかし祖父の追撃はやみません。
「おうおう、ほんでそのあとは?」

私は、旅行の行程表を見ながら、ゆっくり、はっきり大声で言いました。
「マ・ン・ゲ・モ・ウ!マンゲモウに行くんよ!」

声に出し切ったのち、自分がとんでもない読み間違いをしたことに気づきました。
静まりかえるエレベーター。変な空気が漂います。

祖父だけが、ご機嫌に「おうおう、そうかそうか」と一人納得して喜んでいました。

弟が小さな声で「毛、多すぎやん。」

見れば、幸せオーラ全開の新婚さん(女性のほう)は俯いて耳まで赤くして
笑いをこらえている様子。

1階まで降りる数十秒が永遠の地獄に感じられました。

「万座毛<マンザモウ>」私はこの地名を一生涯忘れません。

ところで、VIOって言葉だれが発明したんですかね?
めちゃくちゃ適確で分かりやすいうえに、口に出しても恥ずかしくない。
ほんとスゴイ。

ではまた。
ATSUKO

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