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シンガポール人と巡った黄龍ツアーで【中国・黄龍~前編~】

この日のツアーで人生で初めてシンガポール人に出会った。名前こそ知っていたが、どんな国なのかはよく知らなくて、今思うとつたない英語に加えかなりトンチンカンな質問をたくさんしていたと思うのだが、そんな私にも優しく付き合ってくれたシンガポール人のZ君。
中国ツアー名物である、目的地に着く前のお土産広場の時間もそこそこ楽しめたのはZ君が中国語を英語に訳して教えてくれたからである。

シンガポールに行くことがあったら是非また会って話してみたい。
…ベトナムからシンガポール。コロナもあって近いようで遠い国だな。

2016/6/9投稿

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世界遺産・九寨溝と共に見ておきたいのが黄龍(こうりゅう・ファンロン)

『地球の歩き方』の情報では、松潘(しょうはん・ソンパン)という場所がゲートシティでしたが、九寨溝からも日帰りで行けるらしいのです。
ということで、宿の1日ツアーで行ってみることに。100元(約1626円)

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(5月の中旬であっても標高が高いところは寒い。とある車は凍っていた…)


朝7時。宿の車でツアーバスの待ち合わせ場所待連れて行ってもらいます。今回もドライバー、ガイド共に英語は通じません。
車に乗り込むと先に乗っていた青年と目が合ったので「ニーハオ」とまずは挨拶。するとやはり中国語で何か言ってきます。どうせ今回も英語は伝わらないだろうなぁと思いながらも「Sorry, I can't speak Chinese」と言ってみると青年は、「Where are you from?」と聞き返してきたではありませんか!!


この青年、Zは中華系シンガポール人。私よりも少し年下の大学生で、いまは上海で長期のインターンシップをしているんだそうです。
中国語もペラペラなのでどうやって勉強したのか疑問に思ったのですが、シンガポールには、中華系、マレー系、インド系…様々な民族が暮らしていて中華系なら中国語、マレー系ならマレー語といったように自分の民族の言葉も学ぶんだそうです。
シンガポールでは生まれた瞬間から英語ともう一か国語しゃべれることが決まっているということか…羨ましい!


「日本の学校では英語は学ばないの?」と聞かれたので、「学ぶけど、ほとんどリーディングとライティングだけだよ。スピーキングはない」って言っておきました。…教育関係者の皆さん、この回答で間違ってないよね?(いまは変わっているのかもしれないけど)


そして、Zは本当にいい奴で、この日ずっと中国語を英語に訳してくれることになりました。


ツアーバスが最初に止まったのは、観光チベタン村みたいな場所。

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この展開、青海湖ツアーにデジャヴ!と思いましたが、野放し見どころなし最上級のニーハオトイレだった青海湖ツアーのチベタン村よりもしっかりしていて、20人ほどのグループに1人ガイドがつき、歴史やらを説明しながら施設の中を案内してくれるようです。

ガイドの女性は北陽の伊藤ちゃんに似ていたので、以下伊藤ちゃんとする。

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(これは聖なる水の池…らしい)



外で少し話を聞いた後、施設内のとある家に通されました。(撮影禁止だったので写真はありませんが)
伊藤ちゃん(の中国語をZが訳してくれた英語)によると、この家の主たちは3年ほどかけてラサへ巡礼に行っているらしく、その間このような観光ツアーに使わせてもらっているんだそうです。

ラサへの巡礼というと、チベットの人々にとっては一生に一度実現させることさえ困難で、行くことができれば、その村では英雄のように称えられるほど光栄で素晴らしいことなのだとか。


ラサへ向かうために家財道具一式、車に積み込んで行くという話を、むかし何かの本で読んだことがあります。
私たちが通された部屋ももちろんガランドウに近い状態。飾られていたのはたくさんの金の桶と何故か毛沢東の写真のみ。中国では何かと毛沢東の顔を見かけることが多いけど、チベット人も彼が好きなの?それとも中国人観光客用に飾ってあるだけ…?


…しかし、このガイドの話は長すぎる。もうかれこれ30分くらいノンストップで話し続けているんじゃないだろうか。

電話をしに部屋を出たり入ったりする人。寒すぎてヒーターの周りに集まる人。皆飽きてきていて、熱心に聞いているのは前列にいる50歳オーバーくらいのおばちゃん3人組くらいしかいないぞ。

そんなことを考えていたら、最後尾に座っていた参加者の女性がイスを真ん中に持っていて、そこに熱心おばちゃんの1人が座りました。そして伊藤ちゃんがおもむろ服の袖をめくってはめていた銀の腕輪を取り外し、伸ばしたりひねったりし始めたではないですか。ちなみに、この腕輪はトラディショナルなものだそうです。

次に伊藤ちゃんが参加者に何か呼びかけました。1人がペットボトルの水を器の中へ注ぎます。
伊藤ちゃんが銀の腕輪をその水につけ、熱心おばちゃんに下を向くように言い、少し服をずらして肩と首を出させます。

そして、おばちゃんの肩を腕輪でこすり始めました。おばちゃんの肩が赤くなり始めます。
肩の次は首。こすっていくと首の真ん中に2つ赤い点が浮かび上がりました。ツボだそうです。この点が浮かび上がると健康だとか、健康じゃないとか(どっちだったかは忘れた)、そんなことをZが訳してくれました。


おばちゃんの肩と首が真っ赤になったころ、やっと伊藤ちゃんの話が終わりました。

皆で移動します。

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やる気のなさそうな踊り子たちの脇を通りながらそして行きついた先では職人が銀を火に当て何かを作っています。そしてその先はお土産広場のような場所。
再び伊藤ちゃんが参加者を招集し何かを話し始めます。先ほどの腕輪をまたひねったり、引っ張って伸ばしたりしています。
そして、テーブルのうえに置いてあったもうひとつの銀の腕輪を引っ張っています。が、今度は一向に伸びません。


…さぁもう皆さんお気づきですね。伊藤ちゃんが30分ほどしゃべりつづけたあの時間は、全てこの純銀(?)製品を売るためのデモンストレーションだったのです。

「見てください!こういう風に手で簡単に曲げられるのが純銀の証なんですよ。ほら!」


…みたいなね。

伊藤ちゃんの話が終わると、おばちゃんたちが一斉に我先にとショーケースを覗き始めます。
お土産広場を見渡してみると、ショーケースに群がっているのは、おばちゃんのみ。…こういうのって本当にどこの国も一緒なんだな。


私とZはというと、
「興味ある?」
「全く」
「だよね」
「…なんかテレビショッピングみたいだったね」
という感じでさっさと広場を後にしました。

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