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ブータン人はお墓を持たないらしい。絶壁のタクツァン僧院へのトレッキングにて【ブータン・パロ】

2016/11/2投稿

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ブータン2日目は、待ちに待ったトレッキング!ブータンの写真でもよく見る、崖のうえにあるお寺「タクツァン僧院」へ行ってきました。[2016/7/29]

昨日夕方から続いていた雨も、この日の朝にはやんで晴れ!絶好のトレッキング日和となりました!

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(目指すはあそこ!左から2番目の三角山の真ん中くらいに見える白い建物!)


登山口へは朝一で出発!ブータンのトレッキング場所としてポピュラーな場所だけれど、特段整備されているという感じはしません。ここ数日ずっと続いていたという雨のせいで土がぬかるんでいたり、水たまりもありましたが、それでも整備されていない割には登りにくくもない印象です。


どうでもいい話ですが、この日から私のなかで「ネイチャートイレ」という言葉がじわじわとブームになっていて(今も続いている)、これがまぁ何かって言うと、単に野ぐそのことなのですが。なんか「野ぐそ」って言うよりも、「ネイチャートイレ」の方が聴感がよくないですか?

…なんでこんな言葉が晴れ晴れとした気持ちのよいトレッキングで出てきたのか。それは…観光立国のブータンだけれども、意外と公共トイレが整備されていないんです。この日の登山口にはトイレがあったものの、朝一だから閉まっていて……。じゃあネイチャートイレしかないね、とガイドのSさんと話したんです。ちなみに、Sさんは、「公共トイレよりはネイチャートイレの方がキレイじゃないか」とのこと。(お食事中に読んでくださってた方いたらすみません)

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ぐんぐん登っていきます。私、体力には自信がない方だったのだけど、意外と登れる!旅に出てきて体力がついたのかな…?

Sさんは、しきりにペースや疲れてないかと気にしてくれます。というのも、ここのトレッキングの最中に高山病になってしまうこともあるそうで、過去には高山病になりそのまま帰らぬ人となってしまた旅人もいるなど、悲しいできごともあったのだとか…。私も中国、アムド・カムエリアでのトラウマが頭をよぎり…先ほどまでよりも、ちょっとだけペースを落としてのぼることに。



そんな話をきっかけに、ブータンのガイドという仕事の話やこれまでのガイド話を色々とSさんに質問していきました。

ところで、なぜブータンを旅行するには必ずガイドを付けなければならないのか。その理由は、昔、観光向けに国を開いた際にあまりにブータンの情報がなくジャングルで迷ってしまった旅人がいたのだとか。そこで、今後そのようなことがないようにと必ずガイドを付けなければいけない決まりになったそうです。ちなみにインドやバングラディッシュの人はビザなしで入国できるため、旅行会社を通さなくても観光できるそうです。

とはいえ、この旅行会社を必ず通さなければいけないというこの制度、とりあえず入国!そこからふらふらと滞在、なんてことはしにくくなくなってしまいバックパッカーには痛いですが、国的に見るとしっかりとお金を取っていてかなりいいですよね。


でも、観光を前面に押し出している国でもあるからガイドの仕事は本当に大変だなぁと思いました。お客さんに何かあったらガイドや旅行会社の責任になってしまうらしい。(…っていうのは、どこの国も一緒だけど、話を聞いていると、なんとなく日本よりも責任が大きい気がした。)

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(チベット仏教といえば…タルチョ!ブータンでは「ルンタ」と呼ぶらしい)

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(ペットボトル風車のマニ車。風に吹かれれば経文がくるくると回る)


ブータンでは旅行に際して事前に要望をやり取りするのだけど、これまでSさんやその旅行会社が受け持ったお客さんには、国王に会いたい(簡単に会えると思っている)や、ブータンの女の子といちゃいちゃしたい、なんてものもあったそうです。

前者はさすがに無理ですが、後者はなんとか叶えようとお客さんと一緒に夜の町へ繰り出し、女の子に声をかけたりしたそうですよ。別にそこまでしなくていいんじゃないか、とも思うのだけど…Sさんのスーパーガイドっぷりがよくわかりました。



ところで、山を登っていく途中で、よくこんなものを見かけました。紅い器に山盛りにされている白と黄色の何か。

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なんなのかというと、お墓の代わり。というのも私も驚いたのですが、ブータン人はお墓を持たないそうなんです。火葬した後、灰を土などと混ぜて、この小さな置物のようなものを作り、それをどこにでもおいていいそうです。置物は雨風でだんだん溶けていって最後は自然に帰る、という仕組みだそう。


ブータンでは、輪廻転生が信じられているそうで、亡くなったあと49日で生まれ変わります。なので、それまでは亡くなった人に対しての法要を続けているそうですが、亡くなった人の霊が戻ってくるという考えはないと思うとのことです。(Sさんの奥さん談)

このお墓の代わりの置物に対する概念、なんだか素敵じゃないですか?結局人は自然のなかからやってきて、自然のなかに帰っていくんだなと感じます。私は、死後自分のことはすぐに忘れて欲しいとは思わないけれど、常に憶えておいて欲しいとも思わないです。私のために時間を作ってお墓参りや掃除はしなくていい。ふとしたときに「あいつ面白いやつだったな」とか「こういう思い出あったよな」とかぼんやり記憶のどこかに現れる存在でいいんです。だから、もし私が死んだらこのお墓の代わりの置物のようにしてもらうのも素敵だなと思いました。


そんなこんなで、2時間ほど(…だったかな)たどり着きました!!
お寺のなかは撮影禁止。というか、入る前に荷物をロッカーに預けなければいけないので写真はありません。

…そもそも、崖の上にあるお寺なんてシチュエーションは、近すぎるよりもちょっと遠目で撮った写真の方がかっこいい!ということで、ちょっと遠くから撮ったタクツァン僧院の写真をどうぞ!

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滝もありました!連日の雨で増水していたらしい。かっこいい!

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ちなみに「タクツァン」という名前の由来を少し…。「タク」は「虎」、「ツァン」は「隠れ家」という意味で、ブータンに仏教を広めたと伝えられているグル・リンポチェ(Sさんは、グル様って呼んでた。) が8世紀に虎に乗って、ここに舞い降りたという伝説があるため。虎がいたとされる場所も簡単に見ることができました。


お参りをしたら、来た道をくだっていて、山中のレストハウスでお昼ごはん。ここのご飯は外国人向けに、あまり辛くない味付けになっているみたい。…とはいえ、辛めのエマダツィはもちろん、カレー味のスープもありました。

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(ご飯山盛り、おかず少しのオンザライスというブータン流で写真を撮るの忘れちゃった。)


お昼休憩後もさくさくと下山。雨に降られることなく、高山病や山酔いになることもなく、トレッキングができました!

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