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アブに噛まれ流血しながらメコン川に入り、私は象使いになった【ラオス・ルアンパバーン】

ちょっぴりご無沙汰の投稿となりました。というのも、11月はベトナム暮らしこの1年のハイライトとも言うべきイベントがたくさんあった月でちと忙しかったのです。ベトナムの結婚式、社員旅行、そして北部のサパへの旅行!今年はまだあと1ヶ月あるけど確実に11月がハイライト。

さて、本編は引き続きラオス旅の様子をば。

2016/7/16投稿

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今回はラオスで象に乗った話について書きたいと思います。[2016/6/15]

ルアンパバーンについて、ネットで色々と検索していたときに「ルアンパバーンで象使いになれる」という情報をしりました。が、「おおお!よっしゃ!象使いになったるで!」と即決するわけではなく私は迷っていました。「動物のにおい苦手なんだよな~」「別にそこまで象さんのこと好きなわけでもないしな~」「料金も高いしな~」「でも日本じゃできない体験だしな~」…とまぁこんな感じでウダウダと悩んでいたのです。

しかし、こうやって悩んでいると何か不思議な力が働くのでしょうか?同じ宿だった日本人のAちゃん(veryヤング)が、象使いに挑戦したかったらしく、かつ、一緒に行く人を探していたそうで、すごい勢いで誘われたのです。旅は道づれ、世は情け。めぐり合わせを大事にしたいので、勢いに乗っかって私も象使いになってみることに!

その後、私たちと同じ宿に到着したばかりだった日本人女性のMさん(このグループのなかでは年長者)を勧誘。さらに実は同じ宿に泊まっていたという日本人のYくん、そしてファンキーなアメリカ人男性Jさんと5人で象使いの修行に挑むことになりました!!


■まずはデモンストレーション。象のうえに置かれたイス乗る。

まったくの初心者である私たちに最初から修行をさせてくれるわけではありませんでした。まずは先輩象使いたちが乗った象に括り付けられているイスに座り、ジャングルの中にあるエレファントキャンプ内をぐるっと一周します。

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のっそのっそと歩く象。意外と揺れるんです、これが。この独特のリズムに慣れる修行なのでしょう。(…と勝手に解釈した)。

とはいえ椅子に座ってただただ象の進むがままにジャングルを進んで行くという異国情緒たっぷりの行為に修行気分はすっかり薄れ、私は『80日間世界一周』 のなかで同じく象で旅をしたフォッグ氏に思いをはせていたのでした。象に乗らなければ見れない、この景色。ジャングルを自分の足で歩いていたのでは感じられない風、空の青。こんな雰囲気をフォッグ氏も味わったのだろうか…(彼が乗ったのはインドだけど。しかもイスではなく籠だった気も…)

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そんな私を現実に引き戻したのは、先輩象使いたちの「フォー!!!!!!!!!!」という声。これは象への指示なのか、テンションがあがってただただ叫んでいるだけなのか…。イスに乗ったお客さん(つまり私たち)にジャングルの木々がぶつからないように、時々ナイフで木の枝を切りながら進むのですが、ナイフを振るいながら「フォー!!!!!!!!!!」と叫ぶから若干怖い。


■いよいよ修行スタート!エサやりからはじめよう。

イスから降りたら、まずはエサやり。竹かキビのようなものをあげます。これも立派な修行のひとつなのでしょう。こんなに間近で象の鼻息を感じたのは初めてで、その力強さに驚きます。そして、鼻はしっとりとしていて不思議な触感です。

象たちはくるっと起用に鼻を使って、モグモグ、ボリボリと食べていくのですが、昼時ということもあってか私の象は食欲旺盛でこちらが手間取っているとまだかまだかと鼻を伸ばしてきます。終いには自らエサの入っているバケツへと鼻を伸ばし、先輩象使いたちに怒られていました。


■象語の勉強

エサやりもそこそこに、未来の象使いたちに集合の声が掛かります。集められたテーブルのうえにはホワイトボード。象への指示語を習うみたいです。

やるからには「象使い王にオレはなる!!」的な心持ちで象語も全部完璧に覚えて使いこなそうとおもっていましたが、ホワイトボードを見た瞬間に撃沈。覚える言葉が意外と多いんです。

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「こんなにたくさん覚えられないっしょ!」なんて思っていたら、修行初日の私たちには「左(pai sai)」「右(pai qua)」「しゃがめ(map long)」「水をかけろ(boon)」の4つほどで充分だそうです。ちなみに最も基本となる言葉「行け!(pai)」は覚えなくてもいいそうです。なぜなら言わなくても行くから。
ラオスの地で象使いを目指す日本人が多いのか、日本語訳もありました。


■象にまたがってみる。

象語を習ったら、いよいよ象へ乗車…じゃないな…乗象…か?先ほど覚えた「しゃがめ」という象語をここで初披露…も全然しゃがんでくれません。先輩が指示を出してやっとしゃがんでくれました。…ぐぬぬ。まだまだひよっこだということを見抜かれているのか。

折り曲げられた象の足に自分の足をかけ、首の部分にまたがります。柔らかいのかと思いきや、皮膚が結構硬い!そして頭の部分に生えた毛も硬く、かなりチクチク!
足は耳の裏、付け根の部分に入れておくと、耳でホールドしてくれて、安定したバランスをとれるようになっています。基本的に、象は常に耳をパタパタさせていますが、 急な下り坂など象使いがバランスを崩しやすいような場所では、きちんと耳で足を押さえてくれるのです。…すごいよね、優しいよね!あ、あと噂には聞いていたんですが、本当に糞を踏まないんですよ!糞を避けて歩くんです。なぜか、この事実に一番興奮しました!

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ところで、このとき私は1人で象の上に乗り、先輩は象より前に立って象に括り付けられた紐をひっぱるというスタイルだったのですが、他の女子の様子を見てみると先輩たちと2人乗り、じゃあ男子はというと…私と同じスタイル!……あれ、私、男と間違えられた?……いや、きっと先輩が私の秘めたる才能を見抜いて、「オウミなら、最初から1人で乗せても大丈夫」と判断したんだ…!

私が乗った象は他の象に比べて、どうやら足が遅いみたいです。足取りは本当にゆっくりゆっくり。どんどん前と離されていきます。聞いたところによると、この象の年齢はおばあちゃん並みなんだそうです。そりゃ、足取りもゆっくりなわけです。むしろ、おばあちゃんになってまで、こんなに働いているのかと思うと頭が下がります。敬意を表して次から象さんと呼ぶことにします。

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でも、さすがはまだまだ現役!本当に食欲が旺盛で、ジャングルのなかを歩いている途中にも食べたい植物を見つけると、所かまわず鼻を延ばしてしまします。先輩も若干あきらめ気味に「行け行け」と指示していますが聞く耳を持たず…。むしろ、長く生きてきたから、「これくらいは大丈夫」みたいなワガママが通るギリギリのラインを知っているのかもしれません。…というか、さっき覚えなくてもいいって言われた「行け」ってめっちゃつかってるじゃん。


■象の水浴び&お背中を流す

木々がうっそうと生い茂るジャングルを抜けると、濁流のメコン川が見えてきます。次は象に乗ったままこのメコン川に突入!水浴びをさせて体を洗ってあげます。あ、象さんは私より長く生きていらっしゃるので、お背中を流してあげると言った方がいいかもしれません。 いくら秘めたる才能を持つ私でも、この時ばかりは"見習い"ということを心配されたのか、先輩も私の後ろで象にまたがり、2人乗りの状態になります。

この時の私は、実は靴擦れで左足を負傷していまして、まだ完全にかさぶたができていない状態だったので、メコン川になんて入りたくなかったのですが…象使いになるためには、入らざるを得ません。なるべく、傷口が皮に浸からないように頑張っていたのですが(実は、象さんの耳が傷口に当たらないようにも頑張っていた)、私のささやかな努力を知らない象さんは、川に入った瞬間に暴れはじめました!左足の死守以前に、川に振り落とされるまいともう必死です。鼻を使って私めがけて水も噴射してきます。楽しくて動きが大きくなっているのか、怒って暴れているのかわからないんですが、 とにかく象さんのチャキチャキ娘っぷりには驚きます。

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(右から2番目が私)


象さんは自分の鼻を使って水浴びもするんですが、私たち象使いもそのお手伝いをしてあげます。そして、ヤシの皮のような植物でゴシゴシとお背中や頭を流してあげます。不思議なことに、この植物でただゴシゴシしているだけで泡立つんですよね。泡を流してあげるために、ピシャピシャと片手で水をかけてあげるのですが、なぜか先輩が後ろから私の背中に水をかけるんです……なぜ?正直メコン川には浸かりたくないと思っていたのですが、色んな状況が重なり、願いはかなわず頭から足の先まで全身びしょびしょでした。他の人は、そんなにびしょびしょじゃなかったのに。


■休憩

スタート地点に戻ってきて象さんにエサをあげたら、我々も昼食です。
私が参加したツアーでは昼食も料金に含まれていました。フライドライスと野菜炒め。辛くなくて、意外と美味しかったです。

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■もはや心も体も現地民。象使いの修行再開

休憩をとったら、再び修行再開です。私はというと、この時点で股がだいぶ痛く、かつ全身びしょ濡れで疲れていたので、もういいかなって感じだったのですが、象使いになるために自分自身を奮い立たせます。先輩に「自分の象覚えてる?」なんて聞かれましたが、みんな同じ象に見えました…。象さん、ごめんなさい。


象さんに乗って先ほどと同じルートを周っている途中に、急に左足に痛みを覚えます。負傷している傷口に何か異変が起こったのかと気にしないふりをしていましたが、やっぱり痛い。というか痛みがどんどん増している。「イタタタタ」なんて無意識に声も出ちゃうほど。何が起こっているのか確かめるべく、左足を見てみると…足の甲に黒い物体が…!!アブに噛まれているようです!!!振り払おうと必死に左足をぶんぶん振りますが、まったく離れる気配がないアブ。アブも必死に捕まっているのか、さっきより痛くなってきた!!これ以上の痛みには耐えられないと思ったので、申し訳ないなと思いながらも象さんに自分の足をこすりつけることで、やっとアブは去っていきました。

痛みからも解放されてこれでひと段落かと思いきや、先を歩いていた先輩がびっくりしたような顔で近づき、私の足を手に取ります。私も見てみると…出血しているじゃありませんか。これで再びメコン川に入るとかマジで勘弁してほしいと願っていたのですが、先輩の誘導に従って象さんはメコン川の方向へと進んで行きます。常にクリーンな環境で過ごしているため雑菌慣れしていない日本人が、メコン川のそれに耐えられるか心配だったのです。心配というか、ビビっていました。

そんな私のダメ象使いっぷりを見抜いたのか、象さんは水浴びのときに再び大暴れ。左足はもちろん川に浸かるし、むしろ一度振り落とされてしまい、全身メコン川に浸かりました。なんなら象さんの上に戻るために若干泳ぎました。遊びも食料源も洗濯も、全てをメコン川で済ます生活を続けている人もまだまだ残っているというラオス。アブに噛まれ流血しながらもメコン川で泳ぎ、象に乗る…このときの私はもう現地民と化していたことでしょう。

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■象さんのお見送り

スタート地点に戻ってきたら、今度は先輩が象さんに鎖を掛けます。そしてそのままジャングルの方向へGO。象さんたちのお家までお見送りをしてあげるようです(象さんの上に乗っかってるので見送る感じじゃないけど)。マイペースなスピードで歩いたり、本当の意味で道草を食ったり、水浴びで大暴れした象さん。短い時間だったけど、象さんとの思い出が走馬燈のように頭の中を駆け巡ります。 ありがとう象さん、さよなら象さん!


■象使いの認定証GETだぜ!

ルアンパバーンのツアーオフィスに戻り、象使いの認定証をGET!ちなみにラオスでは象使いは国家資格とのこと!漢字検定とか世界遺産検定とか検定ものの資格しか持っていなかった私もついにこれが国家資格デビュー!もし日本に帰って職がなかったら、これをもって市原ぞうの国に出向こうかな。いや、ラオスで更に己を高めるのもいいかもしれません。

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…なんて妄想を膨らませていたら、ルームメイトのアメリカ人に「今日は何してたの?」と聞かれました。「なんと象使いの資格をGETしたんだぜ!」と言って、認定証を見せたら「It's fishy」だって。そうなんです、これ国家資格の認定証じゃなくて、ただの一日体験証なんです。即行で見抜かれて撃沈!

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オウミ
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