エシカルに関する実態調査2023-エシカル消費研究会
こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局です。
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」では、食の領域を中心とした生活者のエシカル消費に関してさまざまな視点で研究開発し、その成果を発表していく「エシカル消費研究会」を立ち上げました。
「エシカル消費研究会」では年に一度、実態調査を実施しています。2021年からはじまり、2023年まで3年間の調査結果を元に、現在のエシカル消費の実態をご紹介します。
1. 日本のエシカル消費、3年間の変化
まず、「エシカル」の浸透状況を追っていきます。各調査は毎年2月末に実施しています。
「エシカル」の認知状況を聞いたところ、2023年の結果では、「内容まで知っている」は8.1%、「聞いたことはあるが内容はよくわからない」は26.6%でした。両者を合わせた認知率は34.6%です。
この認知率を関連ワードと共に3年分比較すると、「エシカル」は2021年の21.8%、2022年の32.9%、2023年の34.6%と順調に上がってきています。特に2021年から2022年にかけての伸びが大きいのですが、同様に「SDGs」「サステナブル」も同じタイミングで大幅に上がっています。2021年夏には東京2020オリンピック・パラリンピックが開催され、持続可能な調達、食品ロス、アニマルウェルフェアに関連する報道も多くありました。その中で「SDGs」や「サステナブル」「エシカル」といったワードも浸透し、認知率が上がったものと考えられます。
その一方で、エシカルフードを今後買いたいか聞いたところ、2023年の購入意向は2022年と比べてやや下がる結果となりました。2023年は「買いたい」7.5%、「やや買いたい」29.2%、両者を合わせると36.7%でしたが、2022年は39.3%だったので、2023年はそこから2.6ポイント下がっています。
その原因と考えられるのは、暮らし向きの状況変化です。「あまりゆとりがない」と「ゆとりがない」を足した「ゆとりがない・計」は、2021年は39.4%、2022年は40.0%と変化はほとんどありませんでしたが、2023年は45.1%に増えており、半数近くの人が生活にゆとりがないと感じている状況です。食品だけではなく、生活に関わる多くのモノの値上げや増税により、2023年に関しては購入意向がやや下がってしまったものと考えられます。認知率は引き続き上昇傾向ですので、値上げが落ち着いたタイミングで再び購入意向も回復する可能性が期待できます。
2. Z世代のエシカルに対する向き合い方
エシカルについて関心が高いと言われているZ世代について、2023年調査からその実態を紐解きます。まず、「エシカル」についての認知率は、全体が34.6%に対してZ世代は32.2%と大きく差はありませんでした。しかしながら、「エシカル」認知者に対して食べ物や飲み物を買う時に「エシカル」な視点を意識して選ぶことがあるか聴取すると、「いつも意識して選んでいる」が11.0%、「ときどき意識して選んでいる」が42.0%で両者を足すと53.1%で、全体の40.5%と比べて10ポイント以上高くなっています。認知率は同程度でも、知っている人の中の実践率が高いのがZ世代の特徴です。
エシカルフードに関心を持った経路を聞くと、Z世代は「テレビ」37.7%、「インターネット記事」25.4%に次いで、「学校教育」19.6%、「SNS等個人の発信」12.3%が高いのが特徴的でした。「学校教育」は全体と比べて15.7pt、「SNS等個人の発信」は全体と比べて6.7pt高くなっています。
エシカルフードの購入意向は、全体が36.7%であるのに対し、Z世代は40.0%でやや高くなっています。
では、Z世代はエシカルへの関心をどういった行動で実践しようとしているのか、各項目の実践意向を聞きました。「行いたい」「やや行いたい」を合せた「行いたい・計」の数値でみると、全体との差分が大きいのは、「エシカルな活動に対してポイントで寄付する」「エシカルな活動に参加する」「エシカルな取り組みを行っている企業に投資する」「エシカルについてSNSなどで発信する」などです。
商品を買うことで実践する意向があるのは他の世代と同様ですが、「行動」によって貢献する意向が高い点がZ世代の特徴です。企業側は、単に企業と消費者という関係だけではなく、共に活動する関係が築けると、Z世代の傾向にマッチすると考えられます。
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