エシカルフード・キックオフセッション開催しました! Vol.1(1/4回)
こんにちは。
少し前になりますが、2021年3月18日と24日の2日にわたり、「Tカードみんなのエシカルフードラボ」および「エシカルフードスコア(仮称)」の目的と活動内容について共通理解を築くため、12名の有識者のみなさまとともにキックオフセッションをオンラインで行いました。
SDGsや食の専門家、流通、シェフ、ジャーナリストなどそれぞれに専門分野と多様な視点をもつ12名の有識者のみなさまとともに行ったエシカルフードについての対話の様子をこれから全4回の記事でお伝えしていきます。
キックオフセッションということもあり、まずは自己紹介からスタート。
この記事では、12名の有識者のみなさまのプロフィールと、「あなたの考える持続可能な社会とは?」の問いに対するアンサーを紹介します。
〇井出留美さん(株式会社office3.11)
<活動内容>
食品企業およびフードバンクでの広報責任者としての勤務経験に基づく食品ロス問題の啓発や具体的な食品ロス削減策の提案、書籍・記事の執筆。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「食べ物を人と同じように考える社会」
食品はどんどん新製品が生み出され、終売するが、食べ物を人におきかえると、どんどん産んで、どんどん殺すことはできないはず。そもそも食品は命から生まれたもので、ひとつの食べ物にいくつもの命や労働時間が結集している。それを人と同じように考える社会が、持続可能な社会だと思う。
〇蟹江憲史さん(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
<活動内容>
国際関係論、地球システム・ガバナンスが専門。国連におけるSDGs策定に構想段階から参画。SDGs研究の第一人者であり、研究と実践の両立を図る。国連Global Sustainable Development Report の2023年版執筆の独立科学者15人に選ばれている。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「SDGsを実現でき、その先どうするかを考えられる社会」
SDGsの実現は大前提。その先に、個人や組織の目標がある。今はまだSDGsが実現できていないが、SDGsが常識で、その先の何かを考えていける未来であるという状態が、持続可能な社会。そのような未来にするためには、“ひとりひとりの幸せ”が必要。
〇河口真理子さん(立教大学・不二製油グループ本社株式会社)
<活動内容>
証券系シンクタンクにて20年以上にわたり企業と金融のサステナビリティ領域であるCSR、ESG投資についての調査研究、および企業や投資家向けアドバイスを行う。10年前より消費のサステナビリティ、エシカル消費についての調査研究を行う。2020年4月より不二製油グループ本社にて、食の立場からサステナビリティ推進を目指す。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「生かされていることを、すべての人が感謝できる社会」
人間が地球で生かされていることを理解し、謙虚に感謝できる社会。
〇佐々木ひろこさん(一般社団法人Chefs for the Blue)
<活動内容>
水産資源の持続的な生産・利用に関する啓発活動や、広く飲食業界を巻き込んだ食のエシカル消費推進活動、国内外のガストロノミーとサステナビリティ分野に関する記事を執筆。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「食文化を将来につなげていける社会」
その土地土地の食を文化とともにつなげていくことが最大のミッション。文化とともに生きていくためには、食をヘルシーに整えていく必要がある。
〇須賀智子さん(株式会社料理通信社)
<活動内容>
食を活用したカリキュラム・デザインによる、生涯学習としてのESD(Education for Sustainable Development)推進が専門。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「誰にとっても、明日に希望を持って今日を生きていける社会」
明日に希望を持てるとは?将来に渡りそのような社会を築いていくにはどうしたらよいか?という問いに各々向き合うことが、他者や環境への理解と配慮を前提に、当事者意識を持った社会参画を促すのではないか。
まずはこのような意識喚起が大切だと思う。
〇中西悦子さん(パタゴニア日本支社)
<活動内容>
環境社会アクティビズムが専門。気候危機や生物多様性など環境・社会テーマのキャンペーン戦略、ステークホルダーコミュニケーション、エンゲージメント等関係構築、共創の実践を担う。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「人と生態系を犠牲にしない社会」
SDGsウエディングケーキ(生物圏のうえに社会圏があり、さらにその上に経済圏があるという縮図)のいちばん下の段(生物圏の目標「安全な水とトイレを世界中に」「気候変動に具体的な対策を」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」)を多くの人と共有することが大事。
〇平井巧さん(foodskole)
<活動内容>
広告代理店、学校現場での教育経験をもとに、「食、エンタメ、学習」をキーワードとしたコンテンツ創出やクリエイティブ制作、プロジェクトなどを推進。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「将来に夢をもてる社会」
ネガティブなニュースを憂うだけでなく、子どもたちと将来に夢をもてる話をしたい。ひとつ課題が解決しても新たな次の課題が出てくるものだが、常に夢のある話題もしていきたい。それが持続可能な社会の土台の一端になるはず。
〇藤田香さん
<活動内容>
エディター。SDGsやESGをベースにした企業の生物多様性・自然資本経営、地方創生が専門。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「コミュニティが持続可能である社会」
サプライチェーンの中でも、農村や漁村など、生産者のコミュニティが持続可能に成り立っていることは重要。環境や種といったことだけでなく、人間がそのコミュニティで幸せと思える状態にあることが持続可能な社会である。
〇藤田友紀子さん(株式会社こだわりや)
<活動内容>
国内産・外国産の自然食・オーガニック食品の専門小売店『こだわりや』にて、27年間バイヤーとして商品開発、地域産品発掘、MDに従事。オーガニック、ナチュラル、サステナブル、健康、環境保全、社会貢献をキーワードに、商品を展開。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「やさしさ、思いやり、丁寧な暮らし、生産者、自然、子どもを大切にする社会」
やさしさ、思いやり、丁寧な暮らし、生産者、自然、子どもを大切にする社会だけが、環境や人を守ることにつながる。食を通して、そういった循環をつくれることが持続可能。
〇ぺオ・エクベリさん(株式会社ワンプラネット・カフェ)
<活動内容>
グローバルなサステナビリティ教育者・事業家。スウェーデン出身で、会社はスウェーデン、日本、ザンビアで活動。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「原理原則に基づき、環境循環する社会」
スウェーデンはサステナビリティで1位の国。現在、スウェーデンではこういった「持続可能な社会とは?」という質問はない。なぜなら、世界的にはすでに定義がなされ、環境循環が共有されているから。いちごのショートケーキをつくることに例えると、そのレシピはもう科学的に定められている。原理原則、思想、ルールを理解し、環境循環によって、よりよい経済、社会になるということを知れば、それをどう楽しむかを考えることができるようになる。
〇森枝幹さん(CHOMPOO)
<活動内容>
料理人。現在はタイ料理店『チョンプー』のプロデュースを行う。フードマガジンの発行や未利用魚を使った商品開発をするなど、持続可能な食のありかたについて、従来の料理人の枠にとらわれない実践及び発信をしている。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「おいしさの感覚を拡張する社会」
ひとつのものに価値が集中してしまうと、その資源を枯渇させることにつながるので、おいしいという感覚や価値の拡張ができる社会。
〇山本謙治さん(株式会社グッドテーブルズ)
<活動内容>
持続的な農畜産物の生産・流通領域でのコンサルティングや、エシカル消費におけるキャンペイナーの役割の研究、全国のエシカルフードに関するWebメディア『エシカルはおいしい‼』を運営。
<あなたの考える持続可能な社会とは?>
「消費者だけでなく、生産者も流通もハッピーな社会」
今の日本は、他の国にくらべて消費者にいちばん権力がある社会になっているが、消費者だけが恵まれる社会ではなく、生産者、流通もサプライチェーンにかかわる全員がハッピーであることが大事で、これが持続可能な社会といえる。
有識者のみなさまの考える「持続可能な社会」について聞いているだけでもたくさんの新たな視点に気づかされ、考えさせられ、多くの刺激を受けたスタートでした。
次回は、エシカルフードの定義を検討するにあたり、サステナブルな暮らしについての多様や観点を持ちよったセッションの様子をお届けします。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?