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【iPadでアニメづくり】Procreate DreamsとToonSquidはどちらを選ぶべきか?

iPadでアニメやモーショングラフィックを作っている人待望のProcreate Dreamsがいよいよ発売されましたね!
今まで、iPadでアニメといえば、ToonSquidを使うのがベターだったと思います(素のProcreateでも一応作れましたが、そもそもアニメのためのアプリでなかったため、機能性や操作性で難がありました)。
ここでは、このアプリのどちらを使うと良いのか、実際に触って感じたことをお話します。

初心者にはProcreate Dreamsがオススメだけど、少し様子を見た方がいいかも?

ToonSquidでは、アニメーションを作成する方法として「パラパラ漫画方式」と「キーフレーム方式」の2つが用意されています。

2つの方法


「パラパラ漫画方式」とは、パラパラ漫画のように1枚ずつイラストを描く方法です。
この方法だと、どんなに複雑な動きのあるアニメーションでも作れるかわりに、それだけ多くのイラストを描かなければなりません。
1秒間に何枚のイラストをパラパラするかをfpsといいます。
12fpsの場合、3秒のアニメーションを作るには36枚のイラストを描くことになります。

それに対して「キーフレーム方式」は、始めの位置と終わりの位置を指定する方法です。
例えば、りんご🍎が落下するアニメーションを作るには、まずりんごのイラストを1枚だけ描きます。
次に、始めの位置と3秒後の位置を指定すると、その通りにりんごが落下する動画になります。
この方法では単純な動きのアニメーションしか作ることができませんが、「パラパラ漫画方式」よりも描くイラストの枚数をグッと少なくすることができます。
この「キーフレーム方式」では、位置だけでなく、回転や透明度を指定することもできます。
そのため、お化け👻が現れたり消えたりするアニメーションを簡単に作ることもできます。

ただ、「キーフレーム方式」には欠点があります。
例えば、お化け👻が縦横無尽に動き回るアニメーションを作るとします。
りんご🍎は一直線に落ちるだけなので、始めと終わりの位置を指定するだけで良かったのですが、今度はそうはいきません。
1枚目にはこの位置、2枚目にはこの位置、3枚目には……と、何回も場所を指定してやる必要があります。

ところで、Procreate DreamsにはToonSquidにない「パフォーム」という機能があります。
これは、お化け👻が動く軌道を指やApple Pencilでなぞるだけで指定できる機能です。
これにより、複雑な動きをするキーフレームも簡単に指定することができます。
言葉だけでは伝わりにくいと思うので、ぜひ公式サイトのパフォームの部分を見てみてください。
魔女🧙の動きを指でなぞるだけで、そのように動くようになっていることがわかります。

この「パフォーム」があるという1点だけの理由で、初心者の方にとてもオススメしたくなるアプリになっています。

そのほかに、ToonSquid は日本語非対応だけれどもProcreate Dreamsは対応している、タイムラインの分割機能がわかりやすい、Procreateで描いたイラストをそのまま使える、Procreateのブラシを使えるなど、初心者にオススメしやすい点がいくつかあります。

手放しにオススメできない理由(2023年11月26日時点)

一方で、現状ではまだ機能が不十分であったり、挙動がこなれていな部分があります。
まず、描画レイヤー(タイムラインではなく)の移動が今のところ出来なさそうです。
そのため、Procreate Dreamsで線画を描いてからレイヤーを追加して色塗りを行おうとすると、色塗りレイヤーは線画レイヤーの上になってしまいます。
また、たまにイラストが描けなくなったり、アプリが落ちたりします(自動保存のため、データが飛んだ事は今のところありません)。

ToonSquidとの比較でも、Procreate Dreamsにはできないことが多くあります。
ToonSquidでは従属関係の指定ができる(transform hierarchy機能)ため、キャラクターの体と腕を別々に描いて、腕を体に追従するように指定することができますが、Procreate Dreamsではできません(グループ機能で似たような事はできますが、直感性に欠けます)。
また、ToonSquidでは、繰り返し使うパーツをライブラリに保存して繰り返し使うことが容易です(例えば鳥を複数匹飛ばす時、Procreate Dreamsだとひたすらコピペをすることになりますが、ToonSquidならライブラリに保存した鳥を出してくればOK。また、ライブラリの鳥のアニメーションを編集すると、それがタイムライン上の全ての鳥に適応されます)。
さらに、例えばキャラクターが喋るとき、ToonSquidでは「あ、い、う、え、お」それぞれのアニメーションを作っておくと、今は「う」の口で、次は「お」の口で、と指定することができます。これをProcreate Dreamsでやろうとすると、コピペの嵐になりますし、「あ」をコピーしたつもりが「お」をコピペしてしまうかもしれません(追記:「あ、い、う、え、お」の口を1つの描画で、それぞれの描画レイヤーに入れておけば、タイムライン上で分割→該当の描画レイヤーを可視化、他のレイヤーは透明化すれば、1フレームごとの描写はなんとかなります)。

ここまでToonSquidを褒めるとそちらの方がいいように思いますが、実際にこれらの機能を使用しようとすると、結構複雑ですし、日本語での情報が少ないため苦労すると思います。実際私は苦労しました(英語が得意な人はYouTubeに情報があるので、それを見れば理解しやすいと思います)。
また、実際にアニメーションを作ってみると、これらを使用しない場合も多いと思います(キャラクター主体、かつ動きが多くないか決まった動きを何度もする場合くらいでしょうか)。
そのため、初心者にオススメするならパフォーム機能のあるProcreate Dreamsとなります(Procreateは利用者も多く、日本語の方法も多いので、これからDreamsも色々なチュートリアルなどがYouTubeに出てくることを期待しています)。

Procreate Dreamsの注意点

もし今から使うのであれば、この点に気をつけてください。

  • プレビューはタイムラインに表示されている部分だけが繰り返し表示されます。もし全尺を再生したいのなら、タイムライン全体が表示されるように縮小してください。

  • パフォーム機能は動きを滑らかにする手ぶれ機能が標準でオンになっています。激しい動きを記録したいけどうまくいかない時は、パフォームをオンにした状態で画面右上の「修正」をタップし、「モーションのフィルタリング」を0%にしてください。

  • 現状、描画レイヤーは上下を動かせないようですので、各順番にはお気をつけください。

Procreateは2011年に公開されてから今日まで10年以上の歳月をかけてここまで親しまれるアプリになりました。
Procreate Dreamsも今後どんどん進化するでしょうし、対抗馬であるToonSquidもDreamsの良いところを吸収して、どちらもさらに使いやすいアプリになることを期待しています。


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