読書録「ブラックボックス」「心淋し川」
少し前にAudibleで聴いた2冊の感想を記したいと思います。
1冊は
ブラックボックス(著者:砂川文次)
主人公のサクマは一見は普通の人だが、一旦キレてしまうと衝動的な行動によって問題を起こしてしまうような人物です。
道理の通らない出来事に対してキレているため悪い人間ではないように思うのですが、手が出てしまう度に人生が悪い方向に行ってしまい、最後には刑務所行きとなってしまいます。
ごく普通にいる人間が、自分達も当たり前のように持っている感情を起点に転落していくストーリーに、一寸先は闇というか、なんとも言いえぬ不安に覆われる作品でした。。
もう1冊は
心淋し川(著者:西條奈加)
こちらは連作になっており、同じ町に住む複数の主人公が出てきます。武士が出てきますが、時代背景は江戸時代の貧乏な町です。
月並みにまとめると、それぞれの主人公たちが事情を抱えながらも、生きることに向き合っているお話です。
普段私たちは自分の辛さばかりにフォーカスして人を羨んだり憎んだりします。
私はいつも、「他人には他人の地獄があり、それは自分には決して分からないんだ」という考えを持っていますが、まさに各人の視点から見えている世界の解釈と、当人から見えている世界の解釈では全く異なるという背景で構成されたストーリーです。
この2冊、どちらも読んでいて明るくなるような小説ではありませんが、自分の生き方・他人との関わり方を内省させられる良い本だと思いました。
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