女性向けなろう系を馬鹿にするなろう系の漫画家
自分は、なろう系の漫画は片田舎のおっさん剣聖になるしか読んだ事がないが、心に残る名作とは言わないが、女の扱いが萌えエロゲハーレムみたいで稚拙で不愉快とは思うものの、剣術と男の生き様という点には誠実で、読者を舐めておらず、戦闘の内容が重複しない様に毎回工夫を凝らして、極めて真面目な漫画だと感じた。漫画家は原作を馬鹿にせず、真摯に漫画化と向き合っていると感じた。
自分は原作のなろう系を読んだ事がないし、今後も読む事はないだろう。ラノベは何作品か読んでいるので、経験的に文章を想像は出来るし、肯定と否定の評価を読むだけで容易に想像がつく。そして、自分は京極夏彦やテッドチャンのような世代や歴史の価値観を跨いだ小説が好きなので、自分の欲望にしか頭に無いなろう系、若い作品を馬鹿にしている節もある。
しかし、仕事を貰って、その依頼を受けて、担当した作品(案件)を馬鹿にするのは如何なものか。仮に望んだ仕事でないのなら、それは自分の能力が知名度を含めて好きな事を出来ないだけの未熟さに他ならないし、もし売れたのなら機会を与えてくれた原作に感謝すべきだろう。
自分はファミコン音楽と菅野よう子とハリウッド映画音楽で育った身だが、かけ離れた演歌や歌謡曲の仕事を受けた事が何度かある。はっきり言って趣味としては一度たりとも聞く事がない1ミリも興味もない音楽だが、仕事としては実に良い経験だった。自分と違う年齢層や客層故に頭を使う要素が多くあったし、自分の好きな分野を前面に押し出すわけにはいかず、それでいて互いの要素をいかに混在させて新鮮さと様式美を両立させるか、などなどやりがいのある仕事だった。
この漫画家は、実に稚拙。もしかして、公開されていない漫画の落ちは、実はやってて良かったちゃんちゃん、なのかも知れない。しかし、それなら、その要素を匂わせておかないと、原作者や原作ファンを敵に回すのは当然だし、自分のような門外漢にすら不要な印象を与える事になる。
ちなみに、自分が好きな菅野よう子という音楽家は、インストから歌まで、ジャズ、クラシック、ジャニーズ、宝塚、EDM、演歌などなど客層の年齢や性別など関係なく色んな仕事をしている。依頼者に全力で応えている。だから一部の音楽で丸パクリが明らかになった今でも業界から干されずファンからも愛されている。
プロ格闘ゲーマーの梅原大吾は、プロゲーマーに必要な事をこう言っている。それは、ゲームの強さでもなく、海外を渡れる英語力やコミュ力でも無い。大事なのは「コミュニティ愛」なんだと。
それがあればスポンサーとファンはついてくる。
自分は今回の漫画家を知らないし、今後も読む事はないだろう。それは、なろう系の漫画だからでは無い。なろう系を拒否する割に、自分がやりたい事が胸の大きい女を描く事って稚拙にも程があるから。女向けの恋愛作品だと、うしおととらやベルセルクやドラゴンボールや寄生獣など長く愛され漫画の教材になるほどの漫画を描けないから、くらいの志があるなら、まだわかるが、自分もただ浅薄な脳内の売女を消費したいだけって。萌え絵しか描けず実に狭い男の欲望しか相手に出来ない作家に未来があるとは思えない。
自分は、なろう系は男女の区別なく幼いと馬鹿にしているが、それでも今回の原作者には同情する。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?