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財布を交番に届けて徳を積みつつ、学んだこともあった話
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2024年がもうすぐ終わろうとしていた年末の朝。
家のすぐ近くの路上で財布を拾った。
正確には、夫が、拾った。
夫は早朝出勤の日で、朝早くに家を出た。
道路で財布を拾ってしまったものの、交番に寄る時間はなく、かといって、また道に置いていくわけにもいかず、結局そのまま職場に持参するしかなく。
途中外には出られない仕事なため、仕事帰りの21時に交番に預けに行く予定だった。
ただ、これ落とした人困ってるだろな、というモヤモヤが押し寄せる。
かといって、自分は外には行けない。
そんなフワっとした状態で私に連絡がきた。
何かしら情報があれば、と中を少し拝見してみたところ、連絡できるような電話番号もなく、都道府県も違う住所が記載されており、近所の人でもなさげ、だという。
今度は、それを聞いた私のほうがモヤモヤしてきた。
それは、絶対困ってる。
ましてやこんな年の瀬に、交番に早く届けたほうがよさげだ、と、変に正義感が湧いた。
そこで思いついた。
その日何もすることがないほどヒマだった私。
私が夫の職場に財布を受け取りに出向き、その足で交番に行く、という流れ。
善は急げ、ということで、すぐに出発。
外出できない夫が出てこれるギリギリの敷地で財布を受け取り(←あやしすぎて夫の職場から相当冷ややかな視線を浴びた…)、いざ交番へ。
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交番は、防犯登録解除などで何度か行ったことがあるが、結構無人タイムが多い。
今回はいますように、と祈りながら交番に到着した。
遠くから見えてはいたけど、
パトカーないなー、と思いながら中に入ると、
予感的中で、はい、無人。
また出直すことも考えたが、他人様の財布を持っている時点でなんだかウロウロするのもいい気分がしない。
なので、しゃーないので、無人交番あるあるの、お尋ね用電話機を取り、出てくれた別の署の方に用件を説明し、応答を待つことに。
すると、事故処理に出ていて30分後くらいに戻るので、その頃にまた来てもらえますか、とのことだった。
30分間、近くのコンビニのイートインでコーヒーを飲んだりして時間をつぶして、また交番に行ってみると、パトカーが帰還しているのが見えた。
おかえり警察!
先客もいなかったのでそのまま交番にIN。
電話をした件も伝わっており、話はスムーズにスタートした。
警察は朝からツルツル路面の事故処理が頻発していると、なかなかの疲労困憊具合だったが、ちゃんと対応してくれた。
落ちていた場所、夫が拾った状況、などを地図で示しながら説明し、
そこからは、警察が財布の中身をチェックするのをただただ見守る私。
こっちにしたら全然見たいわけではないのだが、立ち合いというか、いなくてはいけない。
金種ごとに枚数を記入したり、カードや会員証の果てまで種別し、確認はなかなか細かく、入っているものが多いと相当時間がかかるな、という印象。
すると、中身が思った以上にマイナンバーなどの個人情報満載で、なんならご夫婦なのか親子なのか分からないが、全てが2名分入っているような状態。
これは旅行先でさぞかし絶望してるだろうな、と心中お察しします状態だ。
警察も、ここまで入ってたらさすがに届け出ると思いますけどねー、と言いながら調書を作成していた。
すると、奥の方で調書を入力しながら検索をかけていた警官が「あ!」と言いながら登場し、「届け出が出てました!持ち主と連絡つきそうです」とのことだった。
警官2名と私、全員で一旦ほっとするという謎のほんわかタイム。
すると、
「3割くらいまでは謝礼もらえますけど、どうします?」と聞かれたので、
「いえいえ、そんなつもりじゃないので」
「では、どうしてもお礼の電話がしたいと言われた場合は連絡先教えますか?」
「いえ、それも全くいりません」
「では、親切な方が拾ってくれました、ということにしておきますね」
「はい、それでいいです」
「では、全て放棄ということで」
という流れとなり、”私は全て放棄します”というような所に署名をし、調書(放棄したということの証明らしい)をもらって帰宅した。
年末にいいことしたので気持ちがいいな、と、自分が拾ったわけでもないのにすがすがしい気持ちで帰宅した。
持ち主どうなったかな、という余計な心配もしなくてよい結末だったのも、余計に気分がいい。
あとで知ったのだが、各警察のHPには、警察に届いている落とし物を閲覧できるサイトがあり、いつ頃、どのあたりで、何を、みたいなのが見れるようになっている。
そんな親切なサイトがあるなんて全然知らなかったので、無くしたものを諦める前に1回このサイトを見てみると、意外と届いていることに気づけるかもしれないな、と思った。
にしても、あの財布、車にひかれなくてよかったのと、雪に埋もれて除雪車に雪ごと持っていかれなくてよかったですね、って感じで。
いずれにせよ、道路で財布を落とす、だなんて、絶望しか待ってないので、
カバンの奥底に入れておかないといかんな、と心から思った。
それよりなにより、
財布の中はいつもキレイにしておかないと、届けられた際に大恥をかくことになる、ということを学んだ。