弁護士も諦めた路上落下物による車修理代を保険会社に払ってもらった体験談

路上落下物を自分の前の車が踏みあげ、さらにその落下物が自分の車にぶつかった・・・そんな場合どうなると思いますか?

事故の経緯

ある日の深夜に国道4号線(2車線)の追い越し車線を走っていると、私の前を走っていた4tトラックの右後輪の辺りから、長さ70cmほどの弧状のタイヤ片が飛び跳ねてきました。

突然のことだったので避け切れず、私の車(プリウス)右前方のバンパーの角についているパーツにタイヤ片がぶつかって傷が付いてしまいました。
大した傷ではありませんが、それでも見ればハッキリわかるような傷です。
タイヤのゴムがはがれた内側にはワイヤーのような硬い物が入っていたため、そのワイヤー部分で傷ついたものと思われます。

すぐさま4tトラックを追い越して前方に割り込み、トラックを誘導して路肩に停止してもらい、車を降りて運転手に事情を話すと、「俺のタイヤではない、最初から落ちていた」と言うのです。路上に落ちていたタイヤ片を避け切れずに踏み上げてしまったようです。

すると前方100mほどの路肩にハザードを点滅させて停車している大型トレーラーを発見しました。

私もトラックの運転手も、すぐに「あのトレーラーのタイヤだ」と分かりました。

トレーラーの近くに二人で行ってみると、後方のタイヤがバーストしていました。4tトラックの運転手はトラブルに巻き込まれるのはゴメンだとばかりに、「あとは宜しくお願いします」と言って去っていきました。

トレーラーの運転席に行くと、運転手はガラケーを触っており、「バーストしたんですか?」と聞くと「そうなんですよ。もう会社に応援を頼みました。」とのこと。
どうやら、そのトレーラーの会社は福島にあるそれなりに大きな会社で、事故やトラブル時に現場で修理を行える専門の応援部隊があり、連絡をとったそうです。

その運転手に、「あなたのトレーラーのバーストしたタイヤ片が路上に落ちていて、それを私の前のトラックが跳ね上げて、私の車にぶつかりバンパーが傷ついてしまった」と報告し、警察と保険会社に連絡しました。保険会社は担当からの折り返し待ちになりました。

「タイヤ片と傷を見て欲しい」と、トレーラーの運転手と二人で歩いてタイヤ片を探しに現場に戻りました。

タイヤ片は道の真ん中に落ちていたため、歩道まで運びました。

ほどなく警察が到着し、タイヤ片を持ってトレーラーまで行き、そのタイヤ片がトレーラーのタイヤの破損部分と一致していることを全員で確認しました。

ところが・・・

警察が言うには「このケースはあなた(私)の前方不注意と前を走っていた4tトラックに責任があり、トレーラー側に責任は問えない」と言うのです。

4tトラックのナンバーを覚えているか聞かれましたが、まさかこんなことになるとは思っていなかったので覚えていませんでした。

保険会社の担当から折り返しの電話がありましたがやはり警察と同じ見解でした。

なんて理不尽な話でしょう。

前方の4tトラックと車間距離は普通という感じでした。私は追突しないように、常に車間距離を長めに取る運転を心がけています。
それでも、深夜に前方のトラックの後輪からタイヤ片が高さ1mほどの高さまで跳ね上がって突然飛んで来たら、誰だって避けられないような状況でした。

現場検証が終わり、トレーラーの運転手と連絡先の交換をし、翌日保険会社を通じて話を進めることになりました。


弁護士も「難しいでしょう」

翌日。

相手の保険会社から電話がありました。
警察と私の保険会社と同じ見解でした。
「修理代は払えない」と言うのです。

こうなったら弁護士です。
私の車の保険(イーデザイン損保)には弁護士特約があり(今は多くの保険で弁護士特約があります)、弁護士の費用は自己負担0円です。且つ、弁護士特約を使っても翌年の保険料には影響しません(他の保険会社は知りません)。

トヨタの見積もりは約11万ほどでしたが、そんな金額でも弁護士を使って対抗することにしました。

弁護士は翌日車両を見に来てくれました。
しかし、弁護士まで「相手の保険会社に支払わせるのは難しいでしょう」と言うのです。

ただ、これは想定の範囲内です。
それが弁護士の普通の対応です。

修理費11万円では弁護士費用の方が数倍高く、保険会社と提携している弁護士でなければ、普通なら断られます。車両を見てくれることすらないでしょう。

担当した弁護士が本気で戦ってくれるはずもなく、過去の判例通りに「無理です」と言ってるのです。

でも私は諦めませんでした。

一番許せなかったのはトレーラーの運転手がなぜタイヤ片を回収しなかったのかです。

トレーラーが停車していた場所と、タイヤ片が落ちていた場所の距離感からして、トレーラーの運転手はバーストに気が付いてすぐに路肩に停車し、タイヤを確認してバーストしているのを確認したから応援の要請を会社にしているわけです。
私がトレーラーの運転席に行って「バーストしたんですか?」と聞いた時も、「そうなんですよ。もう会社に応援を頼みました。」と答えています。

ではあの時なぜガラケーを見ながら運転席にいたのか?
会社への連絡は終わっていた状態です。

運転手は車を降りて、バーストしたのを目視で確認してタイヤのゴムが大きく欠損しているを見たはずです。

もしかしたら、その時は欠損していることに気が付かないで会社に電話しているのかもしれませんが、破損したタイヤが後方の車の通行を妨げている可能性があるのですから、念入りにタイヤの破損状況を確認していればタイヤ片がどこかに落ちていると気が付いたはずです。
そして、すぐに現場に戻り、タイヤ片を回収して後方からくる車両の安全を確保する義務があると思うのです。

もし回収してくれていれば前方のトラックもタイヤ片を踏まなかったし、私の車も傷つくことはありませんでした。


あきらめるのはまだ早い

私には切り札が有りました。

トレーラーの運転手のガラケー発信履歴の画面を私は見ていました。

事故現場で、警察から「トレーラー側に責任はない」と言われたため、このままでは自費で修理しなくてはならないかもしれない・・・と考えたら納得がいかず、「トレーラーの運転手はあんな大きなタイヤ片が路上にあったのに、タイヤ片を回収せず、運転席でガラケーを触っていた。自分のタイヤの修理だけしか頭になく、後続の車の安全など何も考えていないではないか…」。
そんな気持ちでした。

それだけに、後々、保険会社との交渉に役立つかもしれないと考えて、トレーラーの運転手が会社に応援の要請をしたガラケーの発信時刻を現場で見せてもらい、発信時刻を覚えていました。
運転手が会社に連絡してから警察が到着するまでの間、タイヤ片を探す気などさらさらなかったのを証明するためです。

私が警察に通報したのはトレーラーの運転手に「バーストしたんですか?」と聞きに行き、「そうなんです。」と運転手が認めた直後です。

運転手が自分の会社に連絡した時刻と私が警察に電話した時刻のズレは12分もありました。

その間、運転手は「参ったなぁ~」とのんきに運転席に座っていたことになります。

ところが、弁護士にこれを説明しましたが、親身になって聞いてはくれませんでした。最初に会った時のいい加減な対応と全く同じ。

翌日、弁護士は相手の保険会社と交渉してくれましたが、「やはり払う気はなさそうです」と言われてしまいました。

弁護士に無理だと言われると、多くの人があきらめてしまいますが、私はいつも諦めません。弁護士への相談は法律的な解釈を聞きたいのと、弁護士が介入したことで簡単に相手が折れるときがあるためで、ダメそうなら交渉するのは自分です。

弁護士には「では自分でやりますので結構です。」とだけ言っておきました。


自分で交渉したら「全額お支払いいたします」

こうなったら自分で交渉するしかありません。

私は相手の保険会社と何度も交渉を続けました。

そして数日後、保険会社の担当から「全額お支払いいたします」との回答がありました。

こんなもんです。

弁護士ができなくても自分でできることはたくさんあります。

面倒くさがらずに行動すれば結構うまくいくものです。

ここから先、どんな交渉をしたのかは有料記事にてご覧ください。


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