【詩】野球観戦
カーンってなると
「うわー」って聞こえる
ボールは痛そうなのに
パシッってなると
拍手やら落胆やら好き勝手
このときだって痛いはずなのに
知りたいな
いま君が言ったこと
本当に思ってることなの?
あんなに悔しい声出してたのに
そんなこと言っちゃうの
応援ってなにかわからなくなっちゃうよ
ざわざわざわざわざわざわざわ
そういえばずっと浅く息をしてたこと
家について1人になるまで
気付かなかったよ
あそこじゃ君の声を聞けないよ
伝えたいことも届かなくて
大きな声では伝わらないこともあること
知らないのかな
ずっとさ
ボールが飛んできませんようにって思ってたよ
反対なことを望んでるような口ぶりをする君は
楽しそうだったね、本当に
ここにいる人はどれくらい
ギラギラしてるこの場所の
ちょっと離れたとこに浮かんでる
月が綺麗だったことに
気がついていたんだろう
綺麗だなぁって
思ってたんだろう
あのさ
勝つことってそんなにいいこと?
勝負しなきゃ負けることもないのに
必要な勝負なの?
こんなこと聞けないけどさ
いま君が言ってること
その人の目の前でも言えるの?
その人のしってる人の前で言えるの?
その仕草と声量で同じこと
できますか?
わたしはね
ただ美味しいものを食べたいだけだけど
一緒に食べてるだけでいいのに
食べなくてもいいのにな
ここにいる人は
たとえば後ろの席の人たちとかさ
違うと思うんだ、わたしと
だって気にもとめてないみたいに思えるんだ
白い粉のついた手でぎゅっとされて
投げられて
土に叩きつけられるか
カーンとされるか
パシッとされるかの
痛い未来が待ち受ける
空中で漂うほんの僅かな時間に
ああ
何を思ってるんだろうな
とかってさ
☆彡