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ぼっち在宅介護 弱音は吐けないけど、まずいのはわかってるという話

ちょっとシリアスなお話です。
介護とか、高齢者問題とか、メンタル的な話とか、いろいろに関わりあるお話です。
長いです…


先日、真夜中3時に救急車が近所に停まっていたようで…私やオヤジは気付きませんで。
翌朝、近所の方から心配のお電話をいただいて知ったくらいでした。

結局、ウチのご近所の高齢ご夫婦のご主人が救急病院に運ばれたとのことでした。


私が介護でガッツリこちらにいついたのは3年半前になります。母が認知症さんになり、大騒ぎの挙句、「出ていく」と出ていき、寝たきりの父を一人にできなくなってからになります。

まぁまぁちょっと田舎で小さな集落で、隣の家との距離が家一、ニ軒分くらいあいていて、周りが田んぼや畑と言った感じのところです。

当初は、もうウチの騒ぎのことと、父の介護に追われて、私は周りも何も見えませんでした。

優しさなのか?ウワサ好きなのか?わからないけれど、様子を聞きに来る人もいれば、遠くの窓からそっと様子を見てる人もいたりする状況でした(苦笑、そういう土地柄なんです)

母の私と父への荒れっぷりは、もうこちらの頭がおかしくなりそうなくらいでしたので、私は来る人来る人にありのままを伝えて、いいように言いふらしてもらうことにしました。
(単にもういい格好をしてる余裕がなかったんですけど、いい訳が面倒になって…)
コロナもあったし、私が田畑の草刈りをしながら介護する姿は、すぐにウワサで広がってくれまして、会う人会う人「えらいなあ」「ようしてあげてねー」と声をかけてくれました。
嫌味で言う人もいたかもですが…
もう素直に言葉の通りを受け取ろうと決めて、全部を笑顔でかえしていきました。

すると、野菜に困れば「とりにおいで」や「持ってったるわ」、
田畑にこまれば「こうしたらええねん」など、地域の見えない決まり事なんかも改めて教えてくれまして、大変助かりました。


で、話はそれましたが、、、

救急車で運ばれたご近所さんはというと…
昔から、ちょっと内向的と言うか、一癖ある感じのご家庭のイメージでして、子供ながらに家族構成も謎なお宅でした。
当時は、おじいさんおばあさんと息子さんと言う感じだったかなぁ???くらいしかわかりません。

月日は流れて今、息子さんが高齢になられ奥さんと暮らされています。黙々と田畑を耕していて、挨拶しても返ってこない感じの方でした。
今、小さな自営をされて配達とかに出られています。

が、父の介護で戻ってきて、落ち着いた頃に見渡してみると、田畑も雑草に追われ、家の周りは薮化、軽トラの運転は異様なアクセル音が響き…大丈夫かなぁ?と言う印象でした。


ウチも家の周りの片付けができているわけでないし、介護で余裕もないですし、他人様のお宅の事情に介入するわけにはいかないので、丸三年は当たらず触らずでいたのですが、、、

年々、薮化と運転が危ぶまれてきて、民生委員さんも気にかけるようになっていました。


半月ほど前には、大雨の中、家の前で車が脱輪し、奥さんがフロントを押し、バックで脱出をはかっているのを見つけ止めに入りました。
二人は雨と脱輪でパニック状態でしたから、万一、ギアがDに入ったら…と思うと、余計なお節介と思われてもいい!と思った次第です。JAFを呼んでことなきを得ました。


その少し前から、田畑の草刈りや薮化問題とか一度二度と声をかけさせていただいていたので、その日も夕方に声をかけさせていただきました。


なかなかコミュニケーションが下手な方です。頑なです。奥さんもお手上げで、怒ったら会話しないと言う方でした。

ご主人を呼び出していただいて、
かくかくシカジカ、車の運転や草刈りについて、周りに相談したり、シルバーさんにやってもらうなどの話をしました。三度目です。
「わかってる、とにかく自分でやるから。やってできんかったら、人に頼むから。もう少し時間をくれ。春までにはやるから」

前は、「冬までに」
今回は、「春までに」
…話した時はもう春でした。

30分40分としつこく話をして、、、あかん…
「今日も長いこと、話聞いてくれてありがとうな、おっちゃん。今日はしんどかったなー。ウチも人様の世話焼いとる場合やないからさー、余計なお世話やったかもやけど、今日のは見てられへんかったしなぁ。草刈りとかもここがイノシシ呼んでるからさー。ちょっとな話したかってん。いっぱい話聞いてくれてありがとうな」と締めの言葉を言いながら背中をさすったら…

「いやいや、ありがとう。体がな、きついんや。(田畑のこと、集落のこと)ずっとやってきたんや。それしかやってきてない。だから、ちゃんとやらんとあかんことはわかってる。けど、怠け心が出てなあ。配達も行かなあかんし。やる暇ないんや。疲れてしもて。でも、今日のことはありがとう。そやけど、もう少し待ってくれ」
と話してくれまして、奥さんも私もびっくり…


「ありがとう」と言う言葉が返ってくるとは、おもわなかったんです。
初めて…


ずっとやってきた。
それしかしてきてない。
俺の全てだった。
それに体と気持ちがついていかなくなった現実を受け入れられずにいる。

そっかぁ。
そうだったんだねぇ。


同年代や年齢が上の人に言われたら悔しいし。病院に行けば、全てを取り上げられてしまうようで…
相談できずにきてしまっていたようです。

気持ちを聞いたら、またどうしてあげるのが良いのかわからなくなりつつも、、、前に進まないといけないのも現実で。
うだうだと誤魔化していて、悲劇が起こるのも見ていてつらいし…


やっぱり…弱音は吐けるうちに吐かないと、吐けなくなるからサ、おっちゃん。
自分の頭が動くうちに言葉にしないとさ。

(認知症の母は、吐けるうちに弱音をはけなかったんだと思うんだ。認知症も歳をとるのも、予定でもつもりでもなかったんだよ…気づいたら遅かったんだ。)


とかとかしていたら、救急車で運ばれてしまいました。大きな事故が起こる前に、病院に入れて検査できて、考える時間ができたことは、おっちゃんにも奥さんにも不幸中の幸いだったと思います。民生委員さんも一安心。


年齢が増すごとに、できること、持てるものが減っていくのは仕方ないことで、それを奪われてしまう!と思う前に、少しずつ形を変えて手放していくのが大事やなぁとつくづく思いました。


おっちゃんにはおっちゃんの、
周りに迷惑をかけたくない思いがあって…
その頑なさが迷惑をかけていて…
でも、もうそれを考える余裕が持てなくなってて。奥さんにも、感謝も弱音が吐けなくなってしまって…
まずいのはわかってるけど、引き戻れない…
わかってる…
わかってるねん…


だよねぇ…

でもな、周りはその気持ち話してくれへんとわからんねんで。


弱音は吐けないけど、まずいのはわかってるという話でした。

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