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ぼっち在宅介護 父のミステリー〈薬を噛み砕く〉

最近、解けた謎について書きます。
小さないろいろはちょこちょこあるんですけど、感心したものを一つ。

父は、薬を全て断捨離しました。

が、断捨離後に飲みはじめた薬が一個だけあります。せん妄のお薬です。
写真にある小さな6ミリくらいの錠剤です。かなり薬でも小さい方なので、飲み込みやすいものになります。


が、最近、バリバリ噛み砕くのです。
チュアブル錠ではないので苦いし、小さいし固いので歯にセットするのも容易ではないし、舌を噛んだりしないか?と心配になるので、やめてほしいのですが…なぜはじめたか教えてくれません。

で、また、せん妄?はたまた認知度がさがったか?とか思ってたんですけども…



ここで、父のせん妄について少し。

父のせん妄は、幻覚とハイテンション、不眠でした。
「窓をしめろ!アイツがくる」とか「子供が走っとった」とか、幻覚に襲われる日々でした。

あまりよくない方が出ると…ベッド柵を外してしまい、転がるようにベッドから降りて、部屋から私を呼んだり。
良い方が出ると…昔の話を照れながらたくさん話してくれたり。。。


3日起き続け、3日寝るを繰り返す日々。
主治医に報告しますと
「あかん、こんなに眠れなかったら、しんどくなってしまう。とにかく、お父さん眠らせてあげないと!」と言うことで治療をはじめることにしました。

せん妄のお薬は効く人と効かない人がいるといわれましたので、私はすぐから自主的に簡易な記録をつけはじめました。(実は、実験データです、笑)認知症の併発が出てきたら、やめてもらう気持ちがあったからです。

(簡易な記録は、眠っている時間、おきていた時間、薬の回数、食事や水分の用量やスケジュール程度。これのおかげで、主治医が正常な状態か否かが判断できました。)

で、治療と言っても、お薬を飲むだけなんですけど、最初のお薬は液状でかなり苦く、なかなか飲んでくれませんでした。緑茶やコーヒーに混ぜるようにいわれましたが、なんだかばれてしまって…
しかも、せん妄状態だと、さらに気持ちが荒れて飲んでくれませんで…
寝ている隙に、口の端から入れたり、いろいろしましたが、3日目くらいにこちらが飲ませるのを諦めたくなりました。


で、その様子を主治医に伝えると
「薬を変えてみよう。小さい粒だから、飲み込みやすいよ」とのことで、これが処方されました。


で、処方箋薬局に行きましたら、、、
「お薬、すぐ変わられたんですね。合わなかったですか?」と聞かれ…
カクカクシカジカ話しましたら…
「せん妄のお薬は、最初は合わない方が多いかもしれません。症状が緩和してくるのに、数週間という方もあると聞いたりします。このタイプで飲めそうであれば、ちょっと頑張って続けてみてください。何かあれば、先生やこちらに質問を」と言われ…

え?そうなの?

私は勝手に眠り薬が入っていて、コテンと眠りはじめらるんだと思いこんでまして。
早く言ってよ〜って思いました。

それを機に、処方箋薬局の薬剤師さんのご意見もちゃんと聞いてみるようになりました。


で、また長くなっちゃった…

最初の薬を噛み砕くミステリーなんですけども…

父は、嚥下が下手になってくる前は、全然へっちゃらに飲み込めていました。

昨年の夏くらいから、飲み込みづらくなりまして…
入れ歯の調整をしていただいたりもしました。
が、この薬は特に麻痺した下顎と動きの悪くなった舌では、狭くなった喉元に運びにくくなっていたようです。


嚥下が難しくなったからか、体調が悪くなり…非常に血圧が高くなった週、その時だけ高血圧のお薬を出していただいたんです。
それが小さなチュアブル錠だったんです。

主治医が飲みにくくないようにと出してくれました。「噛んでもいいし、舐めてもいい、飲み込んでもいいからね」

それを父に伝えると、父は舐めてみたり、噛んで飲んでみたり、いろいろしていました。
チュアブル錠がはじめてだったんです。


しばらくして、高血圧のチュアブル錠は飲まなくなり…
ピンクのお薬は嚥下リハビリの成果が出てきて飲めるようになりまして、なんとなく過ごしていたんですけど…


春になって、急に、小さくムセることが増えてきました。暖かくなり、口内や体内の水分バランスとか、湿度の関係もあるかと思います。


すると、このピンクのお薬をガリガリ噛みはじめたんです。

???

チュアブル錠と間違えてる?
せん妄?
認知力下がった?
春だから?


と不審に思って、いろいろ聞いたんですけど?
何にも答えないし、しれっとムセながらもごはんもたべますし。

なんなんかなー?って思ってたんですけど。

噛み砕いたお薬はちゃんと飲んでるんですよ。
一回も嫌がらずにきちんと。
父にとっては、せん妄を抑えるとても大事な薬。

。。。。

「もしかして、わざと噛んでるの?砕いたら、小さくなって、飲み込みやすいから?」

父、うなづく。


「そっか!めっちゃわかってんじゃん!自分でできる工夫だったんだね?」


たしかに、、、
この6ミリ、「砕け!」といわれても、筋があるわけでもないので、砕きにくい。
口の中で砕いて、粉々ごと飲んでくれりゃー、きちんと量も摂れます。


そっかぁ、、、
要介護レベル5になって、
いろいろあやしいところが出てきても、
彼なりの努力はできるのだなぁと、
感動しました。


せん妄の薬は、
しっかり眠れて幻覚が減って。
彼にとっては、最後に自分らしく生き抜くのにどうしても飲んでおきたい薬と判断をしているようで、、、

ちょっとそっとのことで、飲むことを諦めたくないんでしょうなぁ。

よ!A型!
回数と用量は守りたいんだね。


父のミステリーが一つ解けて、スッとしました。

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