粒子とわれわれ
わたしたちたぶんあまりにも粒立っていて
それを覗き込みすぎるワルツ
いつもおどっている
拾って覗き込んでくるくるまわしているうちに
回転速度は増し三半規管が酩酊をおこし
コーヒーカップは糸巻きみたいに細くなる
たぶんだから帰り道を忘れる
狂っていることは わかっているけれど
見えない世界の小人のこえが連日
大きな音で聞こえ いろのついた模様になる
そういう目や耳で生まれてきたわたしたちなので
安全な沈黙を寄越したり
ギターのおとを窓辺の鉢植えに聞かせたり
大きな空の下でいっしょに息を吸ったりはいたり
してくれるあなた方がいると
粒のすきまはしずかに埋まる
また、そういうひろめな地帯のうえで
粒は地図上の座標になるし
一息つくこともできるのですね