「米国税関による2021年度の模倣品等の取締り報告」貿易と関税 2022/12/1
【記事の要約】
近年、COVID-19に関連した違法な輸入品や知的財産権侵害品が問題となっている。その中、米税関・国境警備局(CBP)は2021年度(2020年10月1日~2021年9月30日)の知的財産権を侵害する物品の水際での取締りに関する報告書を発表した。報告書では、商標権や著作権をその保有者が税関に登録することで税関が真偽の判別に役立てていることが報告された。加えて、他機関である移民・税関執行局捜査部門と連携した、模倣品や規制物品の違法な輸入・販売の取り締まり。また、少額貨物に関して詳しい事前情報の提供を受けることで、ローリスク貨物が把握しやすくなり保留中の貨物が約97%減少したことが報告されている。
【私の考え】
2021年度の模倣品等の取締り報告では、税関がやみくもに検査件数を増やした事例は紹介されていない。検査件数を増やすことは、迅速な通関の障壁になるため、CBPはリスクの高い貨物を優先的に割り出すシステムを構築しようとしていると考えた。その具体的な方法として、他機関との連携の他にも、商標権や著作権の保有者や輸出者とCBPが協力している。より広い範囲の利害関係者の力を借りた方が模倣品の取締りがうまくいくとすれば、模倣品輸出の半数以上を占める中国や香港の税関と協力することも有効だろう。