第25回忘バワンドロライ「年末年始」

「圭ちゃんお帰りィ。お友だちもいっしょ?明けましておめでとう。前にも来てくれたお友だちね~、年が明けてもみんなハンサムね~、葉流ちゃんは新年もイケメンでますます頑丈になったんじゃない?どうぞみんな入って。どうぞ~、あ、その金色の髪…前にも思ったんだけどその髪型って圭ちゃんにも似合いそうじゃない?金髪にしてほしいってワケじゃないんだけど、絶対に似合うってわかるのよ~。不思議ね…何かの啓示かしら。あら圭ちゃんどうしたの?パート?そうなの、間違ってたのよー。今日はお休みだったのよー。そうそう、圭ちゃんが言ってたコーンフレーク買ってきたわよ。トラが腕組みしてるコーンフレーク。あとモナカもね。あら~よく笑うお友だちね~、よく笑う子はおばちゃんも好きよ~。でもみんなはミルクボーイっていうよりはどすけべ看護のチェリー…ってダメね、そんなこと言ったらまた圭ちゃんに怒られちゃうわ~。もーやーねー、圭ちゃんってば、冗談よ冗談」

要圭がスーパーサイヤ人になり怒声をあげているころ、氷河高校のブルペンには二人の球児が立っていた。

「なぁなぁ巻田クン、首に赤いタオル巻いて腕組んで立ってや」
「ハァ?こうっスか?」
「アカンわぁー、全然トラに見えへんわ。どっちかいうたら最中の皮やわ」
「桐島さん、これ今日もう6回目っスよ」
「すごいなぁ巻田クン。立ってるだけでオモロイなぁ。喋ったら全然やのに」
「いや、だからもう6回目っスよ」
「すごいやん巻田クン。5以上の数も数えられるようになったんやん」
「意味わかんないっスよ!5ぐらい数えれてたし!!」
「もうええわ、飽きたし。巻田クン頭にバナナ刺さってんで」
「刺さってねェし!」
笑いながら歩いていく背中にそう声を張り上げ、「適当なことばっかり言いやがって」と呟いた。
「あ?テキトーなことばっかり?…ひょっとして、俺が2年生になったら桐島さんが3年生になってるってのもテキトーに言ってんじゃねーか?」

その日の夜、巻田はこの天才的なひらめきを寮のルームメイトに伝えた。話を聞いたルームメイトは、すぐにこれは自分だけでは手に負えないと判断し隣の部屋で話をぶちまけた。そして程なく巻田には「ゴリラ以下」との称号が与えられることとなった。

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