金沢 舞台巡礼記録
2024年の3月8日と9日に「蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ」を中心とした舞台巡礼旅行をしてきました。
本稿は私の記憶と実感を振り返っていくものとなります。カットを回収できる実用性よりかは、独りでもくもくと歩きながら何を考えていたのか、そういうのを書いていきます。
もしよろしければお付き合いください。
ちなみに旅行翌週の生放送で 「蓮ノ空舞台巡礼部」なるものが生えてきましたが、本稿は蓮ノ空以外のコンテンツについても大きく触れているのでタグ付けはしておりません。すみません。(あとスタッフに読んで欲しくないです)
0日目
そもそもなぜこの時期に金沢旅行なのか。
もちろん蓮の舞台となっている場所という理由もありましたが、ユニット甲子園のチケを握るテンションでもなかったんですよね。
そういう意味では休息したいのが第一の理由でした。そして金銭的にも都合が良かったからです。
北陸復興支援割にて東京↔︎北陸が20,000円ぽっきり、なんなら旅行中は北陸の主要路線は乗り放題、そして北陸に親戚が住んでおり家に転がり込めば宿代まで無料。
日記をちょっと遡るとわかるように、なんだか仕事に疲れていたようです。会社は忙しい時でも日付を過ぎるようなブラックではないし人間関係もそんなに悪くない気がしています。ただ、やはり文字へ起こした時には出ない苦しさがあったりして蝕まれていました。情けない話、働くのが苦手なだけなのですが…そんな自分を鼓舞するための金沢旅行と相成りました。
初日
朝5時半ごろ起床。関東では大雪警報、玄関のトビラを開けるとわりと一面に銀世界。不安とは裏腹にキレイな白色の地面にスーツケースの車輪の跡をつけるのが「ホワイトボードの落書き」みたいで楽しかったね。
新幹線は時間通りに運行してくれてた。なんで? すごすぎると思う。
行きは「ガールズラジオデイズ」というラジオコンテンツを聴きながら。チーム徳光の放送を第一回から傾聴していた。中学生、手取川海瑠さんの恥ずかしながらも軽快なトークに懐かしさを感じつつ、超加速——。
大雪警報の関東とは反対に、長野まで来てしまえば雪は降っておらず、なんだか生活から逃げたい自分を世界が認めてくれてるみたいだった。
金沢着。
金沢駅
駅前の鼓門(つづみもん)を見ると、やはり花帆がはしゃいでいるシーンを思い出します。
彼女らが外出許可を貰って各地へ行くときも金沢駅から飛び出ていくんだろう。ラブライブ!決勝のため東京へ向かった日も例外ではなくて。
山にある蓮ノ空女学院との位置関係を考えるに、村野さやかさんは金沢駅へ着く前のバス停で降りて近江町市場へ向かうのだろうか。そんな無い路線図を妄想しながら歩き始めました。
近江町市場
さやのお手伝い先もある市場。ここはスクールアイドルクラブと地元の人とのつながりを担っているかなり重要な場所だと思う。蓮ノ空女学院は男子禁制で入れないため、作中のファンと繋がることができる数少ない場所です。
午前中、そして金曜日ということもあってか観光客というより地元の人たちも含めたみんなで賑わっていた印象です。独りで歩いてる自分も関係なく受け入れられている感じがして居心地が良かった。
いっぷくや
市場内のおでん屋さん。日本酒とおでん、最強の組み合わせでした。みらくらぱーくの次に世界中を夢中にできるぜ。
いっぷくやへ並んでる時に後ろにいた女性2人組が蓮のお話をされていてオタクバレしないかびくびくしてた。(バレてたと思う…)
観光されてるっぽいおばちゃんも蓮のPOPを見て「これアニメなんだって!」みたいなことをデカ声で話してた。
目に見えるだけでもぼんやりと蓮効果を感じるとともに、オタクコンテンツが忌み嫌われなくなったのは、こういう時にまず地元の人が受け入れているおかげかもしれない。商店街の雰囲気はまったく異なるが、コンテンツが親身になってくれる雰囲気になんとなく小金井のほうを思い馳せながら完食。
金沢城(新丸広場)
103期11月度Fes×LIVEの会場でもあり、しばしばスリーズブーケの練習、ライブ会場としても登場している広場。
広かった。広場なんだから当たり前だろという気もするが想像以上だった。ドドド!野球をしても余りそう。
城ということもあってか外国の方でにぎわっていた。蓮ノ空のこと好き好きクラブ海外支部の方へ向けて「Jpanese萌え」を発信していってほしい。
兼六園
おなじく一般観光客が多いゾーン。蓮ノ空歌留多さやかのカットを探しましたが見つからず(舟はいずこ……?)
…仕方ないので、石見さんのアクスタを構えてお隣の天使様のカットを撮り退散しました。
テレビアニメ「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」の47都道府県の観光名所を椎名真昼さんと巡るビジュアル企画です。これ、椎名真昼さんの名前から「47(シイナ)」なのたった今気づきました。(いまさらすぎる)
本企画ってアニメ舞台巡礼の本質について考えさせられる気もします。これらひとつひとつのカットは周くんとのデートなのはわかるじゃないですか。そしてそのシチュエーションさえあれば、彼女の笑顔からなんだか2人のやりとりまで見えてきて拡張されるすさまじさ。周となら世界のどこだって楽しめる彼女を知ってるから、、、二期も楽しみ。
石川県立図書館
建物へ入ると本当に写真やフェスライブの会場として見た時の印象そのままの空間が広がっていた。煌びやかな建物に感動するかたわら、当たり前だけど知っている図書館と同じように学生が黙々と勉強していた。
英単語をそらんじるもの、スマホのタイマーを横に黙々と問題に励むもの、学業に励むほうの意味合いで学生が集っていた。もう何枚か写真を撮ろうとも思ったが、頑張ってる人の近くでうろちょろするのも迷惑なのでそっと帰りました。
今ここで勉強している人が蓮ノ空女学院のみなさんと試験会場で一緒になったりすることも考えたりして、彼女らの年齢を改めて感じた気がする。
私は読書をしないので素人目でしかないんだけど、外観や内装に並ぶほど面だしなどの選書も魅力的だったと思う。フェスライブのリハで本棚を眺めてうきうきする日野下さんとそれを見守る乙宗さんの影も見えて楽しかった。
卯辰山公園 見晴らし台
やはり蓮ノ空の舞台といえばここですよね。
多分ですが車とかない人は電動自転車をレンタルした方がいいと思います。俺は酒を飲んだドアホなので歩いておりましたが……。
蓮ノ空のアプリを初めて開いたとき、現在の時刻とともに卯辰山で6人が景色を眺めるカットで迎え入れられたのにかなりやられたのを思い出します。
「たまゆら」というアニメがあります。佐藤順一監督作品、キャラクターデザインは奇しくも蓮ノ空と同じ飯塚晴子さん。
本作のOVAに「とある山を登る話」があり、作中登った先でみんなで景色を眺めます。
このアニメでは父親と見たとある景色を見つけるのが目的で、そうして見つけた「いつかの景色をみんなで眺める」のがとても好きだったのです。
卯辰山の展望台に着いた時には、まさに同じ実感に満たされていました。
風が強く肌寒いようで、展望台まで歩いて向かったことで身体は暖かった。風により風車がガラガラと鳴き木々がざわめく音。金沢を広く展望することができる景色。そういう自分が感じる五感が彼女らの足跡と繋がっているのがたまらなかった。
もちろん時間という軸によって彼女らが画面の向こうで生きている実感はあれど、同じ空間に立つことでさらにそれが強固になったような、改めてそういう気持ちになれました。ありがとうございます。
蓮ノ空の「今」を感じたいという方には、やはりぜひ訪れていただきたい場所です。
東茶屋街・主計町茶屋街
いいふうな話してたのにごめん、せーはす金沢回を思い出しながらにちゃにちゃにちゃにちゃしてたら終わった。っぱ、のんちゅけの手に顎を乗せるういさまがさあ!
下山してもう疲れきってたのでここらへんは写真をぜんぜん撮れておりません。リベンジしたい。
気候
金沢は「弁当忘れても傘忘れるな」と言われるほど突然の雨に降られる地域です。
「君は放課後インソムニア」のラジオで能登麻美子さんがゲストの際だったり、上田麗奈のひみつばこなど、北陸出身の声優さんの話を伺うこともあり、なんとなくその移る天気のことを知っていた気はしたけれど、初めてじっくり体感しました。
前方の空は曇っていても振り返ると晴れていたり、日向にぽつぽつと雨雪が降ったり、私が歩いた二日間もそういうことに見舞われました。
インソムニアのアニメや蓮ノ空の初めなど、北陸が舞台となる作品には晴れ間があまり見えない気候の地域から「学生特有の鬱屈感、(日野下花帆さんの)閉塞感」に近いものを表現しているのかな、なんて思いながら触れたりしていました。
しかし、ここで言いたいのはその閉塞感を体で感じられて良かった…のではなく、反省です。この街に住んでいる人にとっては当たり前の生活の一部を、ありがたがって、それもどちらかというと後ろ向きなことで消費していたのは良くないなあと感じました。
晴れた時に水面に反射する陽の眩しさや、霧雨に日差しがあたった時のきらめきは間違いなく美しくて、決して後ろ向きな感情だけが残る気候ではありませんでした。
舞台に思いを馳せる際には、そこに生活をしている人々がいる上で成り立っていることを忘れないようにしたい。
夜(宿)
兄と兄の友人がシェアハウスしている宿へ。
省略。
兄貴、番やのすしを奢ってくれてありがとう。
泊めてくれてありがとう。宿代実質プラス。
二日目
この日は基本的にまちのり(シェアサイクルのレンタル)によって移動していました。お酒を飲まないと自転車に乗れるのでみなさんもそうしたほうが良い感じだと思います。
健民スポレクプラザ
村野さやかさんが通っているとされるアイスリンクの舞台。土曜日ということもあってか子供たちで賑わっていた。
受付のおじいさまに「蓮ノ空の聖地巡礼で——」と伝えたがはてなマークを浮かべられた。(受付に言ってくれと書いてあったはずでは!?)と焦りながら「アニメ、好き、おで、写真、撮っても、いい?」とカタコトの日本語で素顔のピクセルばりのカメラマークを手でつくったのが功を奏したのか「ああ、あいよ」と粋な返事をいただく。
もしかしたら普通に引かれただけな気もする。
実際にスケートをする時間はなかったため、申し訳程度に自販機で飲み物を買いつつ、滑る子供達を少しだけ見て、冷静に不審者なのでそさくさと退散——。
アピナ野々市バッティングスタジアム
大沢瑠璃乃さんが充電するためにしばしば訪れているバッティングセンター。
俺も五億年ぶりにバッティングした。とある葉山陽和さんをリスペクトしてバント練習しようかなと思ったが、手を怪我したら自転車漕げなくなってリタイアだし、そもそも久しぶりすぎて怖かったので打席へ立つ。
ごめん5億年ぶりっての実はウソで高校ぶり(約7,8年?)とかでした。4クレ約100球でまともに前に飛んだのが20球なかったので、お金を無駄にした感じもしつつ、大沢さんの充電と同じことをできたのが嬉しくもありつつ。
徳光海岸
夏めきペインのジャケ写「#LOVE」がある場所で、10話の合宿が行われた海水浴場・8月度Fes×LIVEの会場でもあります。
3月ということも有り、私が訪れた季節的には「ミルク」と同じような冬の感触でした。
バッティングセンターから約1時間強かけて自転車を漕いでたどり着いたのもあり、関東育ちの私にとっては日本海が縁遠いものだったから、舞台とか関係なく遠くに来た達成感みたいなものもあった。
徳光PA
徳光海岸の目の前にあるパーキングエリア。
私が行きの新幹線で聴いていた、思春期の少女たちが日本各地のPA・SAからラジオをするコンテンツ…蓮ノ空と同じくリアルタイムにつながる「ガールズラジオデイズ」(ガルラジ)の舞台です。
蓮ノ空とガルラジの舞台を同時に目の当たりにしてしまったのが、なんだか不思議な感覚でした。作品と私たちの繋がっていたところの繋ぎ目が無くなるような。
大沢瑠璃乃さんがそこらでふらっと充電しているんじゃないか?という感触はバッセンとかでもありましたが…なんていうんだろう。
「ガルラジの舞台」から「蓮ノ空の舞台」を眺めた時に、いきなり自分と作品と距離感が淡くなったような、たとえ別の作品でも彼女ら同士がこの場所で交わえるんだというか、すでに交わっているようにも感じて胸が詰まった。
ここまでの旅は「蓮」と「私」でしかなかったからこそ、どこか物語と私という距離感は保っていた気がする。
「蓮」と「私」に加えて「ガルラジ」が重なったことで、「私」が相対的に向こう側へ近づいたような、そういう感覚です。
蓮では「視覚的に存在する舞台」を追っていましたが、ガルラジは「ラジオ内のお話で場所が登場する(視覚的に正解はない)」という違いもあったかもしれません。
蓮ノ空のカードではくっきり彼女らの姿と背景が同時に写っていますし、活動記録などでは同じ背景にいくつものシーンが描かれたりします。
しかし、ガルラジでは「松任海浜温泉という場所でこういうことがありました」というエピソードトークのみ存在します。
舞台の不確定さにより、自分の視界の中で自由に広がったというか、より実在性を親身に受け止めていたように思います。
そして正直に言いますと、ガルラジの更新が2023年3月に止まっていたのも感傷に浸る原因だったとは思います。他愛もない温泉の一幕ももう新しくは知れない寂しさ。これから先も彼女らは生きているとわかっていても、その姿はきっと想像するしかない。
更新が終わってしまえばコンテンツの思い出は「過去」へ置いて行かざるを得ませんでした。
そして過去となれば「作中の舞台」と「訪れる舞台」がいつまでも同じ姿を残しているとも限りません。
「たまゆら」のキービジュアルに広島県竹原市の階段カットが映されています。素敵な場所ですが、こちらは火災によって一部の建物が消失してしまっていて、今は少しだけ景色が変わってしまっています。
舞台というのは「場所」の概念を向こうとつなげてくれても、「時間」までは繋げてくれません。
そしてその「時間」を更新して今と繋いでくれているのが、蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブの皆さんということを改めて実感した旅となりました。
終わり
蓮ノ空を人へすすめる際に「追いかけるなら今だよ」という言葉をよく見かける気がします。
昨年12月頃はラブライブ!北陸大会を勝ち進めるのか本当にわからなかったから、どうなるのかハラハラ見守っていましたし、本記事が書かれている2024年3月には蓮華祭を前に大賀美沙知先輩をどう送り出すのか気が気でありません。来月、私たちが観測する中で初めて学年も上がります。
彼女らがスクールアイドルとして前進し「Link!Like!ラブライブ!」で繋がっている限り、この瞬間を共有したいから「今」すすめるんだと思います。
舞台巡礼も同じことが言えそうです。
リアルタイムコンテンツだからこそ今追うことで、今の彼女らの軌跡を辿ることができます。
「作中の舞台」と「訪れる舞台」に時間差も少ないため、ありありとした景色を辿ることができます。そのため、蓮の舞台を辿るなら「今」が良いし、訪れて良かったと改めて実感しました。
昨年に訪れた人にとって「金沢蓄音器館」が舞台でなかったのが、蓮ノ休日の舞台へ更新されるみたいな、彼女らのぬくもりがまだ残るタイミングに足を訪れられたのはとても良かった。
本記事の結論は、有り体に言えば「舞台巡礼するなら今!」という身も蓋もないお話になりますが、とはいえ、今を逃したら完全に意味がないわけでもないことも併せて記しておきます。
「場所でつながることができる尊さ」と、「彼女らがどこかで生き続けている実感」は灯火になっていました。
蓮ノ空の明らかな輪郭につられる形で、ガルラジの感触を得られたのは間違いなかった。好きなアニメを繰り返し見るとき、はじめの新鮮な衝撃はなくとも隙間を埋めるような発見があるみたいな、そういう違う趣は残っています。
例に漏れず、蓮ノ空もいつか必ず「過去」になります。金沢へ行って過去を感じた時に泣いちゃうぐらいには、精一杯向き合いたいと思います。
最後に「たまゆら ~卒業写真~ 第4部 朝-あした-」より、私が作品に触れる時に大切にしているキャッチコピーを引用させていただいて、本稿を締めさせていただきます。
いいかげんたまゆらの聖地巡礼をしたいですね。
以上!
蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ - ラブライブ!(公式サイト)
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